ギルガメシュ叙事詩(読み)ギルガメシュじょじし(英語表記)The Epic of Gilgamesh

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ギルガメシュ叙事詩
ギルガメシュじょじし
The Epic of Gilgamesh

バビロニア=アッシリア文学のなかで最も重要な作品の1つ。古代メソポタミアの有名な英雄ギルガメシュの物語の集大成。アッカド語で記された文献は,ニネベのアッシュールバニパルの図書館跡出土の 12枚の書板がおもなもので,欠損部分は,メソポタミア各地およびアナトリアで発見された多くの断片により補足されている。この原型というべきシュメール語の断章が,前2千年紀前半に書き残されている。歴史上のギルガメシュは,前3千年紀前半にウルクを支配した実在の人間で,キシュの支配者アッガと同時代であるとされている。しかし,詩のなかには史実と思われることは述べられていない。親友エンキドゥが,女神イシュタルの怒りに触れ,12日間の病気で苦しんだ末に没したことから,ギルガメシュが不死を求めて放浪する,というのが本編の主要テーマ。

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百科事典マイペディアの解説

ギルガメシュ叙事詩【ギルガメシュじょじし】

古代オリエントで広く流布した英雄叙事詩。実在の王とみられるギルガメシュGilgameshはシュメールの断片的神話物語に早くから登場しているが,これをもとにアッカド語で編集されたもの。3分の2が神で3分の1が人間のギルガメシュと野人エンキドゥ,美の女神イシュタルらが主な登場人物。主にアッシリア語で書かれたニネベ版によって知られる。その第11の書板にノアの洪水に似た洪水物語があることを1872年G.スミスが指摘した。以後新テキストや新史料の発見,各国語への翻訳が続き,世界各国の神話との比較も行われている。
→関連項目ウトゥナピシュティム

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世界大百科事典 第2版の解説

ギルガメシュじょじし【ギルガメシュ叙事詩 Epic of Gilgamesh】

初期楔形文字で書かれたシュメール王名表に記載されている実在の王ギルガメシュGilgameš(シュメールの表記ではギシュ・ビル・ガ・メス)は早くに神話的人物となり,シュメールの断片的な神話物語に登場する。これをもとにしてアッカド語で編集されたのがこの叙事詩で,主として前8世紀ころにアッシリア語で書かれたニネベ版約3600行のうち現存する約2000行によって知られている。ほかにバビロニア語版の一部,ヒッタイト語およびフルリ語の断片などがあり,古代世界に広く流布していたことがわかる。

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精選版 日本国語大辞典の解説

ギルガメシュじょじし【ギルガメシュ叙事詩】

(ギルガメシュはGilgamesh) 古代メソポタミアの英雄叙事詩。ウルクの王ギルガメシュを主人公とし、シュメール語、アッカド語、ヒッタイト語などで記された種々の伝承が知られる。

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世界大百科事典内のギルガメシュ叙事詩の言及

【粘土板文書】より

…叙事詩には実在したと考えられる英雄ギルガメシュを主人公とするエピソードが多く,哀歌には都市ウル,ニップール,ウルク,エリドゥ,アッカドなどの破壊を哀悼する作品が知られている。有名なバビロニア語版およびアッシリア語版の《ギルガメシュ叙事詩》は〈友情〉と〈死〉を主題として構成された長大な物語で,旧約聖書のノアの洪水伝説の原型と考えられるエピソードもこの中で語られている。この《ギルガメシュ叙事詩》は古代オリエント全般に流布していた。…

【メソポタミア】より

…一連のシュメール叙事詩においてウルク支配者の功業が語り伝えられている。とりわけ《ギルガメシュ叙事詩》はアッカド語,ヒッタイト語,フルリ語にまで書き移され,古代西アジア文学中の最大の作品となった。ギルガメシュは初期王朝期I期ないしII期に実在したと思われるが,この時期のウルク周辺では多くの小村落が姿を消すとともに,ウルク自体の規模も大膨張した。…

※「ギルガメシュ叙事詩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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