翻訳|quiz
教授の試問の意味もあるが,一般にはゲーム的な質問と解されている。しかしクイズにはっきりした定義はない。広い範囲で考えれば,ことばによるなぞ遊び,文字や絵による判じ物,知識や数理で解かせる出題,図形を使った出題,パズルなどすべてこのなかに入る。なかでも歴史的に古いものはなぞ遊びで,古代民族のなかにはなぞを出題して客をもてなす風習をもつ民族もあったという。ギリシア神話に出てくるスフィンクスのなぞ解きや,戦国時代魏の話とされる中国の〈箸なぞ〉が知られている。日本でもなぞ遊びの歴史は古く,平安時代の宮中で当時の上層階級の者たちがなぞ遊びに興じたようすが《枕草子》にえがかれ,《宇治拾遺物語》には12個の〈子〉の字を示して〈ねこの子,子ねこ,ししの子,子じし〉と読ませる文字なぞも出てくる。《徒然草》にある〈牛の角文字〉の文字なぞも有名である。数学的なものとしては,江戸時代初期の数学者吉田光由の著した《塵劫記(じんこうき)》(1627)や毛利重能(もうりしげよし)の《割算書》(1622)のなかにも,数学問題として数学クイズに似たものが出題されている。
クイズに近代感覚を盛り込んだパズルが日本で盛んになったのは明治後半からで,西洋文化の摂取によって出版物が増えだすと,欧米からの移入とみられるパズルが,ときの児童雑誌《少年園》や風刺雑誌《団々珍聞(まるまるちんぶん)》などに盛んに取り上げられるようになった。外国でもパズルは盛んで,パズル作家としては,アメリカ人のS.ロイドやイギリス人のH.E.ジュードニーが有名である。現在でも世界的な人気を保っているクロスワードパズルは1913年《ニューヨーク・ワールド》紙の日曜版に初登場して評判になった。クイズは手軽な知的遊戯として放送界や出版界で盛んに取り上げられているが,今後も時代に即した形式や内容を生みながら庶民生活のなかで生き続けるものと思われる。
→謎(なぞ) →パズル
執筆者:田淵 秀明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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