クインティリアヌス(英語表記)Marcus Fabius Quintilianus

デジタル大辞泉 「クインティリアヌス」の意味・読み・例文・類語

クインティリアヌス(Marcus Fabius Quintilianus)

[35ころ~95ころ]古代ローマ修辞学者・教育者弁論術教育に貢献。著「弁論術教程」。

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改訂新版 世界大百科事典 「クインティリアヌス」の意味・わかりやすい解説

クインティリアヌス
Marcus Fabius Quintilianus
生没年:35ころ-100ころ

ローマの修辞家。属州ヒスパニア(スペイン)のイベルス河畔の町カラグリスに生まれた。ローマで教育を受けた後,いったんヒスパニアに戻り,68年ガルバ帝に伴って再びローマに現れ,弁論術の教師として直ちに名声を獲得した。クインティリアヌスは,ウェスパシアヌス帝の治世に,年俸を支給された最初の修辞家となった。弟子の中には小プリニウスの名を見ることもできる。彼はおよそ20年間弁論術の教師として活躍した後,88年ころ引退して著述の道を歩み始めた。この時期に生み出された主著《弁論術教程》は全12巻からなる弁論家養成の手引書であり,おそらく96年以前に公刊された。本書は,第1巻の少年教育に始まって,弁論の構造を詳細に論じ,第12巻でこうして生まれた弁論家が実際に弁論を行う様子を描いて終わるという構成になっている。第10巻では,ギリシアラテン詩人,歴史家たちの作品を修辞の観点から批判的に論じており,古代においては彼の言葉がこれらの作品の価値を定めていた場合がしばしば見られる。その文体キケロ影響を強く受けており,力強くきびきびとしているけれども,ときに鈍重である。《弁論術教程》は,中世ルネサンスの著作家たちに修辞学の古典として受け入れられ,エラスムスもその影響を受けた一人であった。
レトリック
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百科事典マイペディア 「クインティリアヌス」の意味・わかりやすい解説

クインティリアヌス

ローマの散文家,修辞学(レトリック)者。ウェスパシアヌス帝によって修辞学教師に任ぜられた。《弁論術教程》12巻は子どもを弁論家に育てるための指導書で,弁論術を人格形成と結び付けている。
→関連項目ペルシウス

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世界大百科事典(旧版)内のクインティリアヌスの言及

【ラテン文学】より

…共和政の崩壊によって実際の活動の場を失った弁論は,学校に入り,修辞学となって,すべての学問の基礎としての地位を獲得した。有名な弁論術教師には,演説の見本集を残した大セネカ,《弁論術教程》を著したローマ最大の修辞学者クインティリアヌス,皇帝マルクス・アウレリウスの師フロント,弁論のための資料集を編んだウァレリウス・マクシムスValerius Maximusなどがいる。 白銀時代の最大の作家は小セネカ(以下単にセネカと記す)とタキトゥスであろう。…

【ローマ】より

…各都市に学校や図書館が設置され,ラテン文学は〈白銀時代〉を謳歌した。マルティアリス,ユウェナリス,タキトゥス,スエトニウス,クインティリアヌスらの作品は今も残っている。このほかキリスト教護教文学という新しいジャンルも現れ,法律学も盛期に入った。…

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