改訂新版 世界大百科事典 「クサトベラ」の意味・わかりやすい解説
クサトベラ
Scaevola frutesches Krause
東南アジアからオーストラリア,南太平洋諸島の熱帯域海岸に普通なクサトベラ科の常緑で草本的な低木。高さ1~3mで,太くてやや多肉な枝はよく分枝しながらすらりと伸びる。葉は互生,狭倒卵形で,先端は円い。花は,熱帯では通年,日本では夏季に見られ,葉腋(ようえき)から出る花序に数花がつく。実は液果,楕円形で長さ約8mm。日本では屋久島以南の暖地海岸に生育する。葉が食用にされるが苦みがあり重要でない。幹基部の材はよく木化しており,塩水に耐え,ボートの部品に使われるという。葉や樹皮はマレーシア地域で民間薬に利用される。
クサトベラ属は南半球のオーストラリア地域で分化している樹木や草本約100種を含み,いくつかの種が観賞用に温室で栽植されている。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報