クロム鉄鉱(読み)クロムテッコウ(その他表記)chromite

翻訳|chromite

精選版 日本国語大辞典 「クロム鉄鉱」の意味・読み・例文・類語

クロム‐てっこう‥テックヮウ【クロム鉄鉱】

  1. 〘 名詞 〙 クロムと鉄との酸化鉱物組成 FeCr2O4 黒色から黒褐色の金属光沢をもち、褐色条痕のある等軸晶系結晶。マグネシアクロム鉄鉱と固溶体をつくり、火成鉱床残留鉱床などとして産する。金属クロムクロム酸塩重クロム酸塩クロム煉瓦(れんが)などの原料に用いられる。〔鉱物字彙(1890)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロム鉄鉱」の意味・わかりやすい解説

クロム鉄鉱
くろむてっこう
chromite

クロム(Cr)のもっとも重要な鉱石鉱物の一つ。スピネル族鉱物の一員。磁鉄鉱のクロム置換体に相当する。塩基性岩の長石に乏しい部分や超塩基性岩中に塊状や層状の集合体をなし、大規模な鉱床を形成するほか、これらの岩石に伴われる炭酸塩岩中、特殊な変成スカルンや隕石(いんせき)中に産する。また月表面の月面海玄武岩mare basaltにも含まれる。塩基性岩関係のものは蛇紋石、苦土橄欖(かんらん)石、透輝石などとともに産し、変成スカルン中のものは、石英、透輝石、灰クロムざくろ石などとともに産する(石英と共存しないという従来のいい伝えは誤り)。日本では愛媛県宇摩(うま)郡土居(どい)町(現、四国中央市)の赤石鉱山(閉山)のものの一部がクロム鉄鉱にあたるほか、群馬県高崎市吉井地区でも端成分に近いものがある。命名は、紅鉛鉱中に発見された元素クロムが主成分をなしていることによる。

[加藤 昭 2016年8月19日]


クロム鉄鉱(データノート)
くろむてっこうでーたのーと

クロム鉄鉱
 英名    chromite
 化学式   Fe2+Cr3+2O4
 少量成分  Mg,Mn,Zn,Al,Fe3+,V3+,Ti
 結晶系   等軸・擬等軸
 硬度    5.5
 比重    5.12
 色     黒
 光沢    金属
 条痕    暗褐黒
 劈開    無
       (「劈開」の項目を参照)
 その他   南アフリカ産のもののなかには光学的性質上,等軸晶系でないものがある

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最新 地学事典 「クロム鉄鉱」の解説

クロムてっこう
クロム鉄鉱

chromite

化学組成FeCr2O4の鉱物。スピネル族に属し,クロム苦土鉱MgCr2O4とともにクロム鉄鉱系列をつくる。AB2O4中BがCrを主とする鉱物であって,Aの位置にはFeとMgが置換しクロム鉄鉱とクロム苦土鉱間に完全な固溶体をつくる。Bの位置にはFe3とAlがCrをしばしば置換する。スピネル型構造。クロム鉄鉱は立方晶系,空間群Fd3m。格子定数a0.8344nm。八面体結晶が多い。通常,塊状・細粒状・緻密。断口不規則,脆弱,硬度5.5, 比重4.5~4.8。金属光沢,黒色,条痕褐色。しばしば弱磁性を有する。非常に薄い切片は透明,薄片中褐・褐黒色,屈折率n2.08,研磨片中反射光下で灰白で褐色味を帯びる。褐赤色内部反射。常に多少のMgは含む。Mn・Znを含むことはまれ,AlはCrを置換,Fe3のCr置換は通常少量。ふつう,かんらん岩・蛇紋岩など超苦鉄質岩中に産出する。クロム鉄鉱とクロム苦土鉱は同じ産状を有し,含鉄クロム苦土鉱が最も多く存在する組成である。またマグマ分化作用によって濃集縞をしばしば生成する。破砕鉱物として川・海砂中にも含まれ,隕石中にも存在することがある。クロム原料として用いられる。化学組成にちなんで命名。

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参照項目:スピネル

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改訂新版 世界大百科事典 「クロム鉄鉱」の意味・わかりやすい解説

クロム鉄鉱 (クロムてっこう)
chromite

クロムの重要な鉱石鉱物。化学組成はFeCr2O4であるが,多くの場合FeはMgに,CrはAlおよびFeによって一部置換されている。立方晶系。八面体,塊状,粒状。もろい。黒色,金属光沢。モース硬度5.5,比重4.5~4.8(実測値),5.09(純粋なFeCr2O4についての計算値)。条痕は褐色。クロム鉱床は大規模な層状塩基性貫入岩体中に層状をなすものと,造山帯中のカンラン岩体あるいは蛇紋岩化したカンラン岩体に伴うものがある。南アのブッシュフェルト貫入岩体,ローデシアのグレートダイクなどは前者の例であり,ロシアのウラル山脈,フィリピン,トルコ,日本のクロム鉱床などは後者の例である。日本のクロム鉱床としては北海道八田鉱山,日東鉱山,鳥取県広瀬鉱山,若松鉱山などが有名。砂鉱をなす場合もある。隕石中にも産出する。重要な用途は合金用,耐火煉瓦用,化学薬品用である。
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化学辞典 第2版 「クロム鉄鉱」の解説

クロム鉄鉱
クロムテッコウ
chromite

Fe Cr2O4.クロマイトともいう.スピネル族AB2X2に属す.天然には,Fe,CrがそれぞれMg,Alに一部置換されている場合が多い.かんらん岩蛇紋岩などの塩基性岩いん石中にしばしば見いだされる.立方晶系,空間群 Fd3m,格子定数 a0 = 0.8344 nm(人工).八面体,または塊状,へき開なし.硬度5.5.密度4.5~4.8 g cm-3.金属光沢,黒色,2.08~2.16.FeのすべてをMgで置換したものはマグネシオクロム鉄鉱(MgCr2O4)といわれる.塊状鉱床,砂クロム鉱床として産出し,合金鉄,二クロム酸,耐火れんがの原料になる.

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百科事典マイペディア 「クロム鉄鉱」の意味・わかりやすい解説

クロム鉄鉱【クロムてっこう】

金属光沢をもつ黒色半透明または不透明のもろい鉱物で,クロムの鉱石。組成はFeCr2O4。等軸晶系で結晶は八面体。硬度5.5,比重4.5〜4.8。ときに弱い磁性を帯びる。カンラン岩,蛇紋岩中に含まれ,緑色のクロムザクロ石,すみれ色のキン(菫)泥石などを伴う。砂鉱としても産する。
→関連項目尖晶石

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロム鉄鉱」の意味・わかりやすい解説

クロム鉄鉱
クロムてっこう
chromite

FeCr2O4クロムの重要な鉱石鉱物。スピネル族鉱物。等軸晶系完面像。硬度 5.5,比重 4.2~4.8。褐色ないし鉄黒色。亜金属ないし金属光沢。条痕は褐色。橄欖岩や蛇紋岩中に網状脈として産することが多く,ニッケル鉱物や白金鉱物をしばしば伴う。

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