クークラックスクラン(英語表記)Ku Klux Klan

翻訳|Ku Klux Klan

デジタル大辞泉 「クークラックスクラン」の意味・読み・例文・類語

クー‐クラックス‐クラン(Ku Klux Klan)

米国の白人至上主義による秘密結社南北戦争後、南部地方で黒人排斥を目的として結成され、第一次大戦後は、ユダヤ人カトリック教徒・社会主義者などにもテロや暴行を加えた。白い服と白覆面とを着けて、脅迫の儀式を行う。白衣団。KKK

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共同通信ニュース用語解説 「クークラックスクラン」の解説

クー・クラックス・クラン(KKK)

米国の白人による過激な人種差別秘密結社で、南北戦争直後にテネシー州で結成され、南部諸州に勢力を拡大した。黒人を殺害したり、家を焼き打ちしたり行動が過激なため連邦政府が解散を命じたが、多数の小組織に分裂して現在も活動を継続。黒人だけでなく、ユダヤ人、カトリック教徒、同性愛者なども攻撃対象としている。白の三角ずきんとガウン姿、燃える十字架シンボル。1920年代には約400万人のメンバーがいたとされるが、米人権団体「南部貧困法律センター」は現在約4千人とみている。(ワシントン共同)

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精選版 日本国語大辞典 「クークラックスクラン」の意味・読み・例文・類語

クー‐クラックス‐クラン

  1. ( [英語] Ku Klux Klan ) 南北戦争後、アメリカ南部で黒人排斥を目的として結成された秘密結社。第一次世界大戦後、黒人、カトリック教徒、ユダヤ人、社会主義者などに対してテロ行為を行なった。白衣、白覆面、呪(のろ)いの儀式で知られる。略称KKK。〔増補改版や、此は便利だ‐追増補(1923)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「クークラックスクラン」の意味・わかりやすい解説

クー・クラックス・クラン
Ku Klux Klan

アメリカのテロリスト秘密組織。南北戦争後の再建期にテネシー州で組織され,急速に南部各地に拡大していった。クー・クラックスとはギリシア語のキュクロスkyklos(輪),クランはケルト語のクランclan(子孫)の転化語。KKKと略称される。敗戦南部は連邦軍の占領下におかれ,南部白人の旧指導者は政治から締め出され,南部政治は新しく投票権を与えられた旧黒人奴隷の票によって支えられた共和党に独占されていた。そのため南部白人の一般大衆は,再建政策に反対する南部民主党政治家の宣伝もあって,南部政治の現状を〈黒人による支配〉ととらえ強く反発していた。クランはこのような大衆感情にはけ口を与え〈白人による支配の復活〉を標榜し急速に勢力を拡大していった。クランは白い山型頭巾とガウンで全身を覆い,夜間ひそかに黒人や黒人支持の白人を襲撃し,リンチを加えた。だがさしもの運動も1870年代の初頭にクラン取締りのための連邦法が成立したりして,急速に下火となっていった。しかし第1次大戦後,移民排撃や反ラディカリズムの高まりといった〈反動の時代〉が始まると,クラン運動も再び息を吹き返し,1920年代,クラークEdward ClarkeやタイラーElizabeth Tylerという2人の宣伝家を得て,全国的規模の運動へと発展していく。〈アメリカ出生主義〉と〈白人およびプロテスタント優越主義〉を運動のスローガンとして,〈外国的なもの〉と〈不道徳性〉をその主要な敵とする彼らの主張は,20年代のアメリカ社会に広く受け入れられ,クラン運動は,彼らの正義のシンボルとされる〈もえる十字架〉とともに,反黒人,反ユダヤ,反〈反戦論者〉,反ボリシェビキ,反カトリック,反進化論の運動となって展開し,24年には400万を超える会員を数える全国組織となった。しかし,クラン運動の急激な成長は,その秘密主義やテロリズム,内部的腐敗を世論の批判にさらすこととなり,その後急速に衰退に向かう。しかし,50年代になると再びクラン運動の復活がみられ始めた。復活の直接の契機となったのは,54年の連邦最高裁による〈公立学校における人種分離〉に対する違憲判決ブラウン事件判決)と,判決後南部社会を襲った一種のパニック状態であるといわれている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クークラックスクラン」の意味・わかりやすい解説

クー・クラックス・クラン
Ku Klux Klan

アメリカ合衆国の,テロリズムを通じて白人至上主義を実現しようとした二つの団体。一つ目は南北戦争直後に結成され,二つ目は 1915年に組織された。略称 KKK。キュー・クラックス・クランとも呼ばれる。19世紀の KKKは元南軍兵士の社交団体として 1866年テネシー州で結成された。組織名は,サークルを意味するギリシア語のキュクロスに由来すると思われる。まもなく,再建法に不満をもつ白人の地下抵抗運動の団体となり,1867年に旧南部全体の組織に発展。構成員は迷信深い黒人をおびえさせるため白装束に身を包み,夜間に解放奴隷や白人支援者を襲って暴行,殺害した。連邦議会は 1870,1871年に相次いで KKKに対抗する法を定めたが,南部で白人による支配を回復するという KKKの所期の目的はほぼ達成され,活動は 1870年代に収まった。
20世紀の KKKは 1915年にジョージア州で組織された。ロシア革命や急増する新移民を脅威とみる白人プロテスタントの反発を代弁し,1920年代には 400万人以上の構成員を擁した。十字架を燃やす行為は KKKの象徴となり,カトリック教徒,ユダヤ人,外国人なども敵対的存在に位置づけられた。その後大不況の際に構成員が激減,1944年に一時解散したが,1960年代の公民権運動の際に南部で復活し,爆破・銃撃事件を繰り返した。しかし南部でも民族融和が進むと KKKは孤立し,20世紀末には数千人に減少,さらに分裂を繰り返し,一部ネオ・ナチズムや極右組織に合流していった。(→アフリカ系アメリカ人

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クークラックスクラン」の意味・わかりやすい解説

クー・クラックス・クラン
くーくらっくすくらん
Ku Klux Klan

アメリカ合衆国の人種差別主義的秘密組織。KKK(ケーケーケー)と略称される。南北戦争(1861~65)後、共和党急進派主導の南部民主化に抵抗するため、特権を奪われた旧奴隷主が白人大衆を扇動して組織した暴力的秘密結社の一つ。白いガウンと覆面を着け、十字架を燃やす黒人脅迫の儀式は有名。民主党がこれを利用したため、全南部に一挙に広がり、数千の人々を殺害し、傷つけた。彼らの暴力的な選挙介入に助けられ、民主党は次々と勝利、彼らの暴力を取り締まるための連邦法ができた1870年ごろには、クランはすでにその目的を達成し、形式的には消滅する。しかし、黒人に対する暴力的脅迫は日常的社会現象として、その後むしろ強まりさえした。そして、第二次クー・クラックス・クランが第一次世界大戦中に組織され、戦後の社会不安の波にのって急成長した。一時は200万の会員を擁し多数の上院議員、知事らの政治家が公然とクランを名のった。第二次クランは、黒人ばかりか、カトリック系移民、ユダヤ人、東洋人を攻撃し、伝統的価値観を守ると称して全国の中小都市に勢力を拡大した。大恐慌期には、反共、反ニューディールを強調、ナチスと協力したが、戦後支持を失い、一時消滅した。第三次クランは、1960年代公民権運動の最中に再建され、数多くのテロ事件を起こした。一時はFBIの取締りにより活動は抑制されたが、70年代後半以後ふたたび息を吹き返し、活動を継続している。

[上杉 忍]

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百科事典マイペディア 「クークラックスクラン」の意味・わかりやすい解説

クー・クラックス・クラン

略称KKK。米国のテネシー州で南北戦争後の1865年に創設され,〈白人による支配の復活〉を標榜して南部諸州に広がった秘密結社。白い頭巾とガウンを身にまとい,黒人や黒人支持の白人に対し集団でリンチを加えた。政府に解散を命じられ1870年代に衰退したが,第1次大戦中に,自由主義・社会主義に敵対し反ユダヤ・反カトリック主義を呼号する国粋主義的反動団体として復活,1950年代にも公民権運動の高まりとともに復活した。→黒人問題
→関連項目秘密結社

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「クークラックスクラン」の解説

クー・クラックス・クラン(KKK)
Ku Klux Klan

アメリカの人種差別主義の秘密結社。再建時代に南部で白人優越を守るために組織され,黒人を放火やリンチで脅迫した。目的が達成されて一時活動は止んだが,1915年に復活。20年代前半にはアングロ・サクソン中心のアメリカの擁護を唱えて北部でも勢力を伸ばした。その後北部では衰退したが,南部では盛んに活動し,人種平等が国民的原則になったのちも,一部の地域で存続している。

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旺文社世界史事典 三訂版 「クークラックスクラン」の解説

クー−クラックス−クラン
Ku Klux Klan

アメリカ南部の白人の秘密テロ結社。KKK とも略称される
南北戦争後の再建期に,南部の白人がもと奴隷である黒人に対して優越を維持するために組織し,白い山型頭巾とガウンを着用し,暴力を用いて黒人を恐怖させた。1870年代には取締法が成立して,運動は下火となったが,第一次世界大戦後は広範な反カトリック・反ユダヤ・反有色人種を主眼として活動し,一時,会員は約500万人を数えた。その後会員数は減少したが,1970年代以降女性会員を認めるようになり,会員数が増加。

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デジタル大辞泉プラス 「クークラックスクラン」の解説

クー・クラックス・クラン

アメリカの白人至上主義団体。南北戦争後の1865年に組織された秘密結社。主に旧南部地域を中心に組織を拡大。顔を隠す白い三角頭巾と白装束に身を包み、黒人や黒人を支援する白人を襲い、集団暴行や殺害を繰り返した。こうした活動は1870年代に一度収束するが、20世紀に入り、黒人だけでなく移民全般を敵視する白人プロテスタントの秘密組織として復活。幾つかの組織に分派しながら、今日に至るまで活動を続けている。略称はKKK。

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世界大百科事典(旧版)内のクークラックスクランの言及

【黒人問題】より

…これによって少なくとも表面的には,黒人も白人と平等の地位を得たように見えたし,事実一時は黒人人口の多い南部各州に黒人議員が現れて,黒人の政治的進出がめざましかった。しかしその反動としてクー・クラックス・クランのような団体が生まれ,黒人に対するリンチが数多く発生した。(2)差別待遇完成時代 77年に連邦軍が南部から引き揚げて,この問題についての熱意を失うと,南部人の価値観がしだいに復活する。…

【秘密結社】より

薔薇十字団は三十年戦争の混乱のなかから出現し,テンプル騎士団は十字軍の退廃に再度秩序をもたらそうとする欲求から生まれた。マウマウ団は白人宣教師や白人植民者によって伝統的生活形態を破壊されたキクユ族の苦悩から,クー・クラックス・クランは南北戦争の敗者たるアメリカ南部から,それぞれ発生する。現在ではほぼ犯罪結社化しているマフィアもまた,本来はシチリアが近代ヨーロッパの秩序に取り込まれようとした時代の孤島固有のアルカイックな習俗の崩壊過程で,楽園回帰的衝動から生み出された結社である。…

※「クークラックスクラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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