グアニル酸(読み)グアニルさん(英語表記)guanylic acid

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

グアノシン一リン酸 ( C10H14N5O8P ) の総称。グアノシンのリボースの5′,3′または2′-水酸基にリン酸がエステル結合した構造で,エステル結合の位置によって,5′-,3′-,2′-異性体を区別する。 GMPと略されるのは,普通は5′-異性体であるが,2′-,3′-異性体を2′-GMP,3′-GMPと記すこともある。2′-異性体は Guano-2′-P,3′-異性体は Guano-3′-P,または Gp,5′-異性体は pGとも略される。5′-,3′-異性体はリボ核酸 (RNA) の構成ヌクレオチドの一つ。 RNAのアルカリ加水分解物には2′-,3′-異性体が含まれる。 RNAを酵素で消化すると,酵素によって3′-異性体を与える場合 (リボヌクレアーゼ T2 など) と5′-異性体を与える場合 (ヘビ毒ホスホジエステラーゼなど) がある。 GMP (5′-異性体) は生体遊離でも存在し,アデノシン三リン酸 (ATP) からリン酸を受取ってグアノシン二リン酸 (GDP) やグアノシン三リン酸 (GTP) となる。

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栄養・生化学辞典の解説

 C10H14N5PO8 (mw363.22).

 5-グアニル酸,グアノシン5-リン酸,グアノシン5-一リン酸,グアノシン一リン酸ともいう.グアニンとリボースリン酸が結合したヌクレオチドの一種.5-グアニル酸はシイタケうま味成分として工業的に生産されている.

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

プリンヌクレオチドの一つで、グアノシンに1分子のリン酸が結合したものである。グアノシン一リン酸ともいい、GMPと略称される。生体内ではリボ核酸(RNA)の構成成分の一つとして非常に重要である。またうま味調味料の一つとしても利用されている。

 グアニル酸には、リン酸の結合する位置によって2'-グアニル酸、3'-グアニル酸、5'-グアニル酸の3種の異性体が存在する。RNAをアルカリで加水分解して得られるのは2'-グアニル酸と3'-グアニル酸の混合物である。5'-グアニル酸は天然に遊離の状態でも存在し、グアノシン三リン酸(GTP)やグアノシン二リン酸(GDP)などの前駆体として重要である。5'-グアニル酸は、生体内でイノシン酸からキサントシン-5'-リン酸を経由して合成される。このほかにグアニンあるいはグアノシンから生成される経路もある。

[笠井献一]

食品

干しシイタケのうま味成分の本体。5'-グアニル酸ナトリウムに強いうま味があることが1960年(昭和35)にヤマサ研究所の国中明(くになかあきら)によって明らかとなった。また、1961年にグアニル酸が干しシイタケのうま味成分であることが解明された。シイタケのグアニル酸はシイタケに含まれている酵素により、核酸から変化して生じる。生シイタケの場合は、組織を擦りつぶし数時間放置すると生じる。グアニル酸はシイタケ以外にもマツタケ、エノキタケなどほかのキノコにも含まれている。1960年代に酵母より抽出した核酸から酵素処理によって、工業的に5'-グアニル酸ナトリウム(5'-GMP)がつくられ、核酸系調味料として商品化され、イノシン酸ナトリウムとともにグルタミン酸ナトリウムに混ぜられ複合調味料がつくられた。

[河野友美・山口米子]

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化学辞典 第2版の解説

guanosine monophosphate.C10H14N5O8P(363.22).グアノシン 5′-リン酸(5′-GMP),グアノシン 3′-リン酸(3′-GMP),グアノシン 2′-リン酸(2′-GMP)の3種類の異性体が存在する.生体内から得られるものは5′-GMPと3′-GMPであり,一般に,グアニル酸とよぶときは5′-GMPをさす.5′-GMPは結晶性がよく,純粋な化合物が得やすい.ナトリウム塩はシイタケの味がするので,調味料として使われる.5′-GMPはATPによりホスホリル化されてグアノシン二リン酸(GDP),グアノシン三リン酸(GTP)となる.GTPはリボ核酸の合成の基質となるほか,リボソームでタンパク質生合成の際に重要なはたらきをする.5′-GMPは分解点190~200 ℃.pK1 2.4,pK2 6.1,pK3 9.4.λmax 256(ε 1.24×104,pH 2),260 nm(ε 1.21×104,pH 12).3′-GMPは分解点175~180 ℃.-8°(水).いずれも水に可溶,有機溶媒に不溶.[CAS 117-68-0:3′-GMP]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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