ケアシノスリ(英語表記)Buteo lagopus; rough-legged buzzard

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケアシノスリ」の意味・わかりやすい解説

ケアシノスリ
Buteo lagopus; rough-legged buzzard

タカ目タカ科。全長 46~60cmで,ノスリに似ているが,色が淡く,脚には指元(跗蹠〈ふしょ〉)まで羽毛が生える。尾羽は白く先端に黒い帯がある。風切羽の先も黒い。背面は暗褐色で,頭部と腹面は背面より色が淡く,くすんだ白色の個体も多い。ユーラシア大陸から北アメリカ北部寒帯冷帯に分布する。タイガの開けた林やツンドラに生息し,張り出した崖の上などに巣をつくる。渡り鳥で,繁殖後はヨーロッパ南部から東アジア北部,中国東部,アメリカ合衆国に渡る。食べ物は小哺乳類が多いが,鳥なども捕える。木の枝に留まって,または帆翔して獲物を探すが,停空飛翔をすることもよくある。日本には冬鳥として小数海岸,農耕地,原野干拓地などに渡来し,本州中部以北でときどき観察されるが,西日本ではまれ。習性,動作はノスリによく似ている。(→猛禽類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケアシノスリ」の意味・わかりやすい解説

ケアシノスリ
けあしのすり / 毛足鵟
rough-legged buzzard
[学] Buteo lagopus

鳥綱タカ目タカ科の鳥。北半球の北部で広く繁殖し、冬はやや南へ渡るものもある。日本ではおもに北日本や日本海側の地域に、数少ない冬鳥として渡来する。全長約55センチメートル、翼長約44センチメートル、体の上面は褐色、下面は白くて腹部に黒褐色の斑(はん)がある。尾の基部は白い。草原や海岸の草地にすみ、停空飛翔(ひしょう)をしてネズミなどをとらえる。杭(くい)、土塊、枝に止まって休む。

高野伸二

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世界大百科事典(旧版)内のケアシノスリの言及

【タカ(鷹)】より

…あまり特殊化していないグループであり,まばらな林にすみ,地上の獲物をとるものが多い。ケアシノスリButeo lagopusとアカゲノスリB.regalisだけが,脚が指の付け根まで羽毛におおわれている。 ハイタカ類はもっとも典型的なタカで5属約50種がある。…

【ノスリ(鵟)】より

…日本では北海道から九州までの低山帯の山林で繁殖し,高い木の上に小枝を積み重ねて巣をつくり,1腹2~3個の卵を産む。 ノスリ属の鳥は,日本にはノスリのほか,オオノスリB.hemilasiusとケアシノスリB.lagopusが冬鳥として大陸から少数渡来する。ノスリ属は世界に約25種が分布し,北アメリカではノスリにかわって尾が赤褐色のアカオノスリB.jamaicensisが多く生息している。…

※「ケアシノスリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」