イヌタデ(読み)いぬたで

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イヌタデ」の意味・わかりやすい解説

イヌタデ
いぬたで / 犬蓼
[学] Persicaria longiseta (Bruijn) Kitag.
Polygonum longisetum Bruijn

タデ科(APG分類:タデ科)の一年草。茎は直立または斜上し、高さ20~50センチメートル、円柱形で普通は紅紫色を帯びる。葉は互生し、広披針(こうひしん)形または披針形で先端がとがり、縁(へり)と裏面脈上に毛がある。葉鞘(ようしょう)は筒状で等長の縁毛がある。花期は6~10月で、枝の先に長さ2~5センチメートルの穂状花穂をつくり、紅紫色、まれに白色の小花をつける。花被(かひ)は5枚で倒卵形、長さ約1.5ミリメートル。雄しべは普通8本、花柱は3本、痩果(そうか)は暗褐色の三稜(さんりょう)形で長さ約1.5ミリメートル、光沢があり、宿存する花被に包まれる。北海道から九州にかけての原野道端に普通にみられ、また、朝鮮、中国、東南アジアなどに広く分布する。別名アカマンマは「赤の飯」のことで、粒状の紅花を赤飯に見立て、幼児のままごとに使われることからいう。

[小林純子 2020年12月11日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イヌタデ」の意味・わかりやすい解説

イヌタデ(犬蓼)
イヌタデ
Persicaria longiseta(Polygonum longisetum)

タデ科の一年草で,俗にアカノマンマと呼ばれる。日本各地のやや湿った路傍や田のあぜなどにごく普通に生じる。根もとから多くの茎を伸ばし,タデ科の特徴として葉のつけ根に膜質鞘状のオクレア (葉靴) をもつが,この鞘の上部に長さ 1cmほどの長い毛が多数並ぶ点がこの種類の特徴である。秋に,長い穂を出して紅紫色の小花を密生する。近似の種類が多く,林下の陰地などに生じるハナタデ P. yokusaianaなどがある。 (→タデ〈蓼〉 )  

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