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コソボ Kosovo

翻訳|Kosovo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

コソボ
Kosovo

正式名称 コソボ共和国 Republika e Kosoves。
面積 1万908km2
人口 182万6000(2011推計)。
首都 プリシュティナ

バルカン半島中部に位置する国。北と東はセルビア,西はアルバニア,北西はモンテネグロ,南はマケドニアと接する。北部にコパオニク山地,南部にシャール山地が広がり,イバル川とその支流が中央部を貫流する。住民はおもにアルバニア人で,その他セルビア人,モンテネグロ人,ムスリム,トルコ人など。言語はアルバニア語,セルビア語など。宗教はイスラム教のほかセルビア正教など。1945年に成立したユーゴスラビア連邦人民共和国では,セルビア共和国に属するコソボ・メトヒア自治区として出発。1963年の憲法改正でコソボ自治州となる。1974年憲法改正によりセルビア共和国に属するものの同等の自治権をもつ自治州となった。しかし 1989年にセルビア憲法が修正され,自治州としての権限を大幅に失い,セルビア共和国の一行政区となった。これがコソボ紛争の原因となった。1999年の紛争終結後から国際連合の暫定統治下に置かれ,セルビアとの間で最終地位をめぐる交渉が続けられたが 2007年12月に決裂。2008年2月17日独立を宣言した。日本は2008年3月,コソボを国家として承認した。肥沃な中部のコソボ盆地と西部のメトヒア盆地では,オオムギ,コムギを中心とした農業,タバコの栽培,ヒツジの飼育が行なわれる。昔から鉱業が盛んで,褐炭,アスファルト,亜鉛などを産し,刺繍,じゅうたん,金属細工などの家内工業,手工業も行なわれる。中世ビザンチン・ロマネスク様式の建造物が現存し,2004年デチャニ修道院が世界遺産の文化遺産に登録された(2006年他の三つの建造物とともにコソボの中世建造物群として拡大登録)。主要都市はペチプリズレンなど。(→ユーゴスラビア史

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

コソボ

旧ユーゴスラビア時代のセルビア共和国の自治州。多数派のアルバニア系住民がセルビアによる自治権縮小に反発。紛争が激化し、北大西洋条約機構(NATO)軍のセルビア空爆後、コソボは99年に国連の暫定統治下に入った。ロシアなどの反対で国連安全保障理事会で解決できず、08年2月に独立宣言。日本はすぐに国家承認した。これまで国家承認した国は国連加盟国の約半数。

(2013-04-07 朝日新聞 朝刊 1外報)

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デジタル大辞泉の解説

コソボ(Kosovo)

バルカン半島中央部にある共和国。首都プリシュティナ。もとセルビア共和国の自治州であったが、2008年2月に独立を宣言。住民はアルバニア人が9割以上を占め、その他にセルビア人、トルコ人など。セルビア系住民はセルビアから行政サービスを受けており、独立に反対している。人口182万(2010年)。
[補説]1999年のコソボ紛争以来、コソボ国際安全保障部隊が駐留。米国、大部分のEU(欧州連合)諸国が独立を承認。日本も平成20年(2008)3月に承認したが、セルビアやロシアのほかスペイン・ギリシャ・中国など国内に分離独立運動を抱える国々の多くが未承認。国連やEUへは未加盟。

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大辞林 第三版の解説

コソボ【Kosovo】

セルビア共和国の南部を占める自治州。住民の大部分はイスラム教徒のアルバニア人。州都プリシュティナ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

コソボ
こそぼ
Republic of Kosovo

ヨーロッパ南東部、バルカン半島に位置する共和国。正式名称はコソボ共和国。セルビア、モンテネグロ、アルバニア、マケドニアと国境を接する。長くセルビア共和国南部の一自治州であったが、2008年に独立を宣言した。面積1万0887平方キロメートル、人口約190万(2002推計)、212万(2008推計)。首都はプリシュティナ。政体は共和制、元首は大統領、議会は一院制。流通通貨はユーロ。住民は、アルバニア人が92%を占め、ほかにセルビア系5%、その他(スラブ系ムスリム、ロマ、トルコ系など)3%から構成される。旧ユーゴスラビア時代から開発の遅れた地域で、後進地域の開発基金が導入されて、社会主義時代にかなりの改善はみられた。そのため従来の圧倒的な農耕社会のなかに工場が建ち並び、近代的なアパートも出現した。とくに首都プリシュティナには大学図書館などモダンな建物が多い。
 中世以来の伝統をもつ鉱業は依然、コソボの重要な産業で、鉛、銀、錫(すず)などのほか、大量の褐炭を産する。後者を利用した火力発電所、化学、木材、金属、電気、織物の工場、あるいは伝統的な金銀細工や製靴の家内工業もみられる。農業では小麦を筆頭に、タマネギ、ライ麦、大麦、エンバク、テンサイ(サトウダイコン)、ジャガイモ、インゲン豆、タバコ、麻などを栽培し、果樹園やブドウ園も拡大されつつある。また畜産にも力を入れている。[田村 律]

歴史

長い間ビザンティン帝国の支配下に置かれていたが、12世紀にセルビアが占拠し、後に王国が成立するとその舞台となり、中世の黄金時代を築いた。それには各地の鉱山(トレプチャTrepaの亜鉛やノボ・ブルドNovo Brdoの銀)が重要な役を演じた。1389年、コソボ平原でオスマン・トルコ軍とセルビアを中核とするバルカン連合軍との戦い(コソボの戦い)に敗れ、トルコのバルカン進出が決定的となった。コソボに居住していたセルビア人は、主として宗教的な理由から、17~18世紀にかけ、ドナウ川を越えて北上し、ハプスブルク帝国支配下のボイボディナ地方に移住した。過疎化したコソボにはアルバニア人が移住し、このためコソボには多くのアルバニア人が居住するという現代の民族構成が生じたのである。1912~13年の第一次バルカン戦争の結果、セルビアに編入されたが、開発は遅れ、農業を主とした最貧地域で、住民の大半は非識字者であった。
 第二次世界大戦後の1945年、旧ユーゴスラビアを構成するセルビア共和国のコソボ・メトヒアKosovo i Metohija自治区(63年に自治州)となり、改善が進んだ。しかし旧ユーゴの解体を経て新ユーゴスラビアとなっても最後進地であることに変わりはなかった。ここからアルバニア系住民の不平不満が爆発し、いわゆる「コソボ紛争」が発生し、しばしば流血の惨事に至ったのである。1990年アルバニア系住民は独立を宣言し、その後、独自の議会をもち独自の大統領を選出しているが、セルビアはこれを認めず、一触即発の危機をはらみ、一種の厳戒体制下にあった。1998年2月に両者の武力衝突が激化し国際問題化したため、1999年、米ロ英仏独伊による調停工作が行われた。しかしセルビア側の拒否をきっかけに1999年3月NATO(ナトー)(北大西洋条約機構)軍によるユーゴ全土への航空爆撃が始まった。1999年6月ユーゴ側が和平案を受諾したことによりNATOは空爆を停止したが、逆にコソボのアルバニア系住民が大量に難民となるなど泥沼の状況を呈し、国際社会に大きな動揺をもたらした。
 ミロシェビッチ政権の崩壊後、2001年に自治州議会選挙が行われ、コソボ暫定自治政府が立ち上げられたが、1999年以来コソボは国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)の暫定統治下にある。さらに、2004年3月にはアルバニア系勢力による大規模な暴動が発生、セルビア人施設などへの破壊活動が行われ、死者19名、負傷者954名、3600名以上の非アルバニア系住民が避難民となるなど、衝突は続いている。なお、空爆で使用された劣化ウラン弾によるとみられる被害(白血病や癌(がん)などを発症する健康被害)が「バルカン症候群」とよばれ問題となっている。2005年、国連安保理が関係当事者によるコソボの地位交渉の開始を決定した。[田村 律]

コソボ独立をめぐる状況

国連の暫定統治下におかれたコソボ自治州であったが、2008年2月17日コソボ議会がコソボ共和国として独立宣言を採択、アメリカやEU諸国が独立を認め、日本も同年3月コソボ共和国を国家として承認した。なお、セルビアはコソボの独立を承認していない。[編集部]
『柴宜弘編『バルカン史』(1988・山川出版社) ▽千田善著『ユーゴ紛争はなぜ長期化したか――悲劇を大きくさせた欧米諸国の責任』(1999・勁草書房) ▽梅本浩志著『ユーゴ動乱1999――バルカンの地鳴り』(1999・社会評論社) ▽町田幸彦著『コソボ紛争――冷戦後の国際秩序の危機』(1999・岩波ブックレット) ▽岩田昌征著『ユーゴスラヴィア多民族戦争の情報像』(1999・御茶の水書房) ▽中津孝司著『南東ヨーロッパ社会の経済再建――バルカン紛争を超えて』(2000・日本経済評論社) ▽長倉洋海著 写真集『コソボの少年』(2000・偕成社) ▽ペーター・ハントケ著、元吉瑞枝訳『空爆下のユーゴスラビアで――涙の下から問いかける』(2001・同学社) ▽百瀬宏・今井淳子・柴理子・高橋和著『国際ベーシックシリーズ5 東欧』(2001・自由国民社) ▽大石芳野著『コソボ破壊の果てに 大石芳野写真集』(2002・講談社) ▽千田善著『ユーゴ紛争――多民族・モザイク国家の悲劇』(講談社現代新書) ▽柴宜弘著『ユーゴスラヴィア現代史』(岩波新書)』

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