改訂新版 世界大百科事典 「コノテガシワ」の意味・わかりやすい解説
コノテガシワ
Chinese arborvitae
Platycladus orientalis (L.) Franco(=Biota orientalis (L.) Endl.
Thuja orientalis L.)
中国北部原産のヒノキ科の常緑小高木で,枝が平たく手のひらを立てたように見えるので〈児手柏〉という。庭園樹として広く植えられる。高さ5~10m,幹は下から分かれ,樹皮は灰褐色。密に分枝し,枝は平板状で直立し,両面同色で表裏の区別がない。鱗片状の葉を十字対生する。3月ころ同じ株に雌花と雄花をつけ,淡紫緑色。秋に青白色の球果を結び,各果鱗に角状の突起がある。種子に翼がない。中国大陸北・中部では耐寒性造林樹種として用いられる。陽樹で生長は遅いが刈込みに耐えるので,日本でも北海道南部から沖縄県まで庭園樹として植えられる。また葉の煎汁は疫痢などの薬に,種子は滋養強壮薬とされる。実生あるいは挿木で増やす。園芸品種が多く,幹が直立し球果の角の曲がるワビャクダン,株立ち全体が小型で広円錐形のセンジュ,あるいは針葉が黄金色のオウゴンコノテガシワなどが有名である。
執筆者:濱谷 稔夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報