コロンボ(読み)ころんぼ(その他表記)Colombo

翻訳|Colombo

デジタル大辞泉 「コロンボ」の意味・読み・例文・類語

コロンボ(Colombo)

スリランカの旧首都。セイロン島南西岸に位置する港湾都市。古くからインド洋航路の要地であり、15世紀初頭にシンハラ王朝の都になった。16世紀初頭にポルトガルが要塞を築き、続いてオランダ、英国の植民地政庁が置かれた。1985年にスリジャヤワルダナプラコッテに遷都。人口、行政区62万(1990)。

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精選版 日本国語大辞典 「コロンボ」の意味・読み・例文・類語

コロンボ

  1. 〘 名詞 〙 ( [ポルトガル語] colombo ) ツヅラフジ科のつる性多年草。東アフリカ原産。根は紡錘状に肥大する。茎と葉には短毛を密布。葉は柄をもち、掌状に五~七裂する。雌雄異株。花は淡緑色で、円錐状に多数密生する。根を輪切りにして乾燥したものをコロンボ根といい健胃薬に使う。〔医語類聚(1872)〕

コロンボ

  1. ( Colombo ) スリランカの旧首都。セイロン島南西岸に位置する世界的港湾都市で、インド洋航路の重要港。紅茶をはじめ、ココヤシ、カカオ、ゴムなどを輸出。一六世紀以来ポルトガル、オランダ、イギリスの支配下に軍事的・経済的要地として発展。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コロンボ」の意味・わかりやすい解説

コロンボ(スリランカ)
ころんぼ
Colombo

セイロン島西岸にある港湾都市でスリランカの前首都。同国の貿易、交通はもとより文化の中心地でもある。人口64万2163、周辺都市のデヒワラ、マウント・ラビニア、モラトゥワなどをあわせた都市圏人口は122万1904(2001)。熱帯モンスーン気候下にあり、年平均気温26.9℃、年降水量は2397ミリメートルに達する。港は30~40隻の船が寄港可能で、茶、ゴム、カカオ、コプラなどを輸出するほか中継貿易が活発である。鉄道は南はマタラ、北は海岸線に沿ってプッタラム、東はキャンディなどと連絡している。

 市の中心街フォート地区は官庁・ビジネス街で、大統領官邸、1837年に灯台として建造された時計塔、銀行、商社などがある。その南部にベイラ湖があり運河で港と結ばれている。港の南岸沿いに緑地公園のゴール・フェイスがある。フォート地区の東にあるペッター地区は、イスラム商人タミル人のバザール街で、宝石店や青物市場がある。南東部のシナモン・ガーデンは高級住宅街で、その付近にコロンボ博物館、市庁舎、国際会議場などがある。港付近には製粉、たばこ、茶などの工場があるが、近代的な工場は東部の縁辺地域に立地する。新国会議事堂と官庁都市は中心部の南東9キロメートルに建設されている。また東方11キロメートルには仏教聖地のケラニヤ、南方13キロメートルにはリゾート地として有名なマウント・ラビニア、北方34キロメートルにはコロンボ国際空港がある。

[吉野正敏]

歴史

地名の起源はコランバという果樹に由来し、シンハラ語の古文典は、この語を「海港」「城塞(じょうさい)」の意に用いている。またポルトガル人がコロンブスにちなんで改称したともいわれる。海洋交易の要地で、10世紀にはアラブ商人の居留地ができていた。14世紀に近郊のコーッテーに、シンハラの王臣で姻戚(いんせき)でもあった、南インド商人出身の豪族アラガッコーナーラ家の居城ジャヤバルダナプラが造営され、15世紀初めシンハラの王がここに遷都した。コロンボの交易の利に着目したものであろう。16世紀初めにはポルトガル人がコロンボに築城し、16世紀なかばにはコーッテーの王ダルマパーラをカトリックに改宗させ、16世紀末には彼の領土をポルトガル王に寄贈させた。コロンボはそれ以降1656年までポルトガル領、ついで1796年までオランダ領、1948年までイギリス領セイロンの植民地政庁所在地となり、独立後、85年の遷都までセイロン(スリランカ)の首都となっていた。

[高畠 稔]



コロンボ(Furio Colombo)
ころんぼ
Furio Colombo
(1932― )

イタリアの小説家。反小説、反体制の運動を展開している「新前衛派」(ネオアバングァルディア)の一員。代表作『狂った女たち』(1964)では、現代アメリカ社会を一種の土壌に例え、そこにばらまかれた種子が生育するような女たちの群像を合成写真のごとく描き出すことによって、変貌(へんぼう)しつつある現代社会の混沌(こんとん)の姿を鮮やかに浮かび上がらせている。

河島英昭

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改訂新版 世界大百科事典 「コロンボ」の意味・わかりやすい解説

コロンボ
Colombo

スリランカ民主社会主義共和国の前首都。人口64万(2001)。1505年にポルトガルの船隊が漂着し,17年にニッケイ貿易のための商館を築いて以来,1656年から1796年までのオランダ領時代,それにつづく1948年までのイギリス領時代を通じて,西ヨーロッパ列強によるスリランカ支配の中心であった。コロンボ市の東部に隣接したスリ・ジャヤワルダナプラ・コーッテ市に建設された国会議事堂の完成とともに,行政機関も徐々に移転し,コロンボの首都機能を分散させる計画が1982年から実施され,85年1月からスリ・ジャヤワルダナプラ・コーッテに首都は移転した。かつて要塞の築かれていたフォート地区は,今日商業活動の中心地に変貌してしまっている。

 植民地経済の発展と運命をともにしてきたこの港湾都市は,宗主国から輸入する工業製品,宗主国へ輸出する香料,コーヒー,紅茶,ゴム,ココナッツなどの農産物を中心に,コロンボ港を基点にして市域を拡大してきた。独立を達成した後は,工業化に力を入れる政策が採用され,南と北の双方にスリランカ最大の工業地帯が形成されつつある。とりわけコロンボ市の北部からカトナヤカ国際空港に至る一帯は,1978年より〈自由貿易地帯〉に指定され,大コロンボ経済委員会Greater Colombo Economic Commissionに統轄され,外国企業の誘致が推進されている。

 多民族国家スリランカの首都にふさわしく,コロンボにはシンハラ人,タミル人,マラッカラム人(アラブ・インド系イスラム教徒),バーガー人(ヨーロッパ人との混血による民族集団)などが混住し,仏教だけでなくヒンドゥー教,イスラムおよびキリスト教の宗教施設も多い。教育,医療,文化の施設が整備され,残余の農村地帯との格差拡大が大きな社会問題となっている。コロンボ市に隣接するデヒワラ・マウント・ラビニア市,モラトゥワ市およびスリ・ジャヤワルダナプラ・コーッテ市を含めると,人口約100万の大都市となる。
執筆者:


コロンボ
calumba
colombo
Jateorhiza

薬用植物として知られるツヅラフジ科のつる性木本。葉は大きく,掌状に切れ込んでいる。雌雄異花。雄花は細長い総状の円錐花序につく。雌花は総状花序につく。萼片6枚,花弁6枚,雄花ではおしべ6本,雌花ではめしべ3本。実は核果で,たくさんのとげがある。J.columbaJ.miersiiJ.macranthaなどが熱帯アフリカに分布している。

 J.columba Miers.は塊根が生薬となり,アルカロイド,パルマチンpalmatine,ヤテオリジンjateorhizineなどを含み,苦味健胃薬として家庭薬の配合原料となる。現在では主にインドで栽培され,そこから世界各地へ輸出されている。
執筆者:


コロンボ
Matteo Realdo Colombo
生没年:1516-59

イタリアの医者。クレモナに生まれ,ベネチアとパドバで医学を学ぶ。1544年A.ベサリウスのあとをついで,パドバ大学で解剖学と外科を講じた。46年ピサ大学に移り,2年後に法王パウロ4世の招きでローマに赴いた。59年出版の遺著《De reanatomica(解剖書)》のなかに,左右心室中隔の閉鎖性と肺循環を述べ,のちのW.ハーベーの血液循環説に寄与した。コロンボが生前セルベトゥスの肺循環(1553)を知っていたかどうかは,いまだにわかっていない。
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百科事典マイペディア 「コロンボ」の意味・わかりやすい解説

コロンボ

スリランカ最大の都市でかつての首都。セイロン島の南西部,インド洋岸の港湾都市。紅茶,ゴム,ココナッツ製品,コプラを輸出する。北郊に〈自由貿易地帯〉が設定され経済,工業開発が進む。1517年ポルトガルが領有,1656年オランダ領,1796年英領。1885年最初の防波堤の完成後,南のガルに代わって繁栄。博物館(1873年創立),大学があり,仏教,ヒンドゥー教,イスラム,キリスト教の宗教施設が多い。1985年,コロンボの南東部に隣接するスリジャヤワルダナプラコッテに首都が移転した。67万3000人(2007)。
→関連項目ゴールスリランカ

コロンボ

イタリアの家具・プロダクトデザイナー。ミラノ生れ。現代美術からデザインに転身し,1962年にはミラノにデザイン事務所を開設。FRPを使った椅子〈エルダ〉(1963年)や,プラスチック成形技術を使った量産の椅子として画期的な〈ユニバーサル〉(1965年)など新素材を積極的に採用。ワゴンに小型冷蔵庫,電気コンロ等を組み込んだ〈ミニキッチン〉(1963年)や,ポリウレタン製クッションの組み合わせで好みの形態のベッドや椅子にできる〈アディッショナル・システム〉(1967年)など,複合的機能をもつ製品をデザイン。機能やシステムまでデザインするという斬新なアプローチで1960年代のイタリア・デザインをリードした。1969年バイエル社の展示会のため未来の住居空間〈ビジオーナ〉を製作。SF映画の一場面のような空間だが,その裏には緻密に計算された合理的空間構成がなされている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コロンボ」の意味・わかりやすい解説

コロンボ
Colombo

スリランカ南西部,行政府が置かれコロンボ県の県都。 1948~82年はスリランカの首都。スリランカ第1の都市である。同国南西岸に位置し,世界有数の港をもつ。8世紀頃,ケラニ川河口にアラブ商人が港をつくり,宝石や香料の貿易港としたのが起源で,1505年ポルトガル人が漂着,1551年には実権を奪い,砦を築いて貿易基地とした。その後 1658年からオランダ,1796年からイギリスの支配下となり,植民地経営の拠点となった。独立後,政治,経済,文化の中心地として急速に発展。繊維,ゴム,食品,製油,農器具製造などの工業が立地するほか,茶,ゴム,ココナッツなどを輸出し,食糧,肥料,機械などを輸入。鉄道はすべてコロンボを起点として全国の主要都市と結ばれる。ビドゥヨーダヤ大学,ビドゥヤランカラ大学,コロンボ大学があり,市公会堂は美しい建造物として有名。仏教をはじめヒンドゥー教,イスラム教など各種の寺院や多くのキリスト教聖堂がある。人口 64万 2163 (2001) 。

コロンボ
Colombo, Matteo Realdo

[生]1516? クレモナ
[没]1559. ローマ
イタリアの解剖学者,外科医。 W.ハーベイに先立って肺循環 (心臓から両肺への血液循環) を発見したといわれる。パドバ大学で A.ウェサリウスに学ぶ。ウェサリウスは彼の才能を愛して助手にし,1543年に辞職するとき後任に指名した。しかし,ウェサリウスの学説が古典的な医学を脅かすものになったとき,恩師の激しい敵対者の一人に変った。のちピサからローマに行き,教皇ユリウス3世の侍医となった。著書"De re anatomica" (1559) は,心臓の血液が心筋の収縮期に押出され,拡張期に流入することを記した最初の書物として知られる。

コロンボ
Colombo, Furio

[生]1931. シャティヨン
イタリアの小説家,評論家。 1960~65年アメリカに滞在。帰国後,評論『ケネディのアメリカ』L'America di Kennedy (1964) で文壇に登場した。新前衛派に属し,小説『狂った女たち』 Le donne matte (64) のほか,評論『暴力に代って』 Invece della violenza (67) ,『闘争の条件』 Le condizioni del conflitto (70) など。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「コロンボ」の解説

コロンボ
Colombo

1985年までスリランカの首都。16世紀以来香辛料などの南海貿易の中継港として栄えた港湾都市。1656~1796年のオランダ領時代,つづく1948年までのイギリス領時代を通じてスリランカ植民地経営の中心となった。48年の独立後もコロンボ港を中心として発展し,香辛料,コーヒー,紅茶などの輸出,工業製品輸入の中心となっている。近年都市化が進み,環境悪化などが大きな問題となっている。

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旺文社世界史事典 三訂版 「コロンボ」の解説

コロンボ
Colombo

スリランカ(旧名セイロン)の前首都。インド洋航路の重要貿易港
16世紀以来インド洋航路の要港として重要視され,ポルトガル・オランダ・イギリスの支配を受けた。1948年のセイロン独立後,85年にスリジャヤワルダナプラコッテに遷都するまで首都。

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世界大百科事典(旧版)内のコロンボの言及

【スリランカ】より

… 15世紀初頭に鄭和の船隊が来島し,中国(明朝)の朝貢国となるが,植民地として実質的な支配を受けることはなかった。1505年にポルトガルの艦隊がコロンボ近くに漂着した。この頃,南部のシンハラ王朝は分裂し,三つの小王国に分かれていた。…

※「コロンボ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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