塩蔵牛肉の意で,一般には塩づけした牛肉を蒸煮したもの,とくに,その缶詰製品を指す。牛肉を適宜の塊に切り,食塩,亜硝酸ナトリウム,硝酸カリウム(硝石)を加えて数日間冷蔵する。これを蒸気がまに入れ,115℃前後で60~90分蒸煮したのち,すじなどを除きながら肉の繊維をほぐし,調味料,香辛料,油脂,肉汁などを混ぜて缶詰にする。塊のままほぐさずに製品とするものもある。現在の市販品には牛肉以外の畜肉を混用することもあり,日本農林規格はそれらの畜肉コンビーフ缶詰について,畜肉とは牛肉,馬肉,メンヨウ肉,ヤギ肉または豚肉をいい,食用油脂を混和してよいとしている。原料肉の表示記号は,牛肉使用CB,牛馬肉使用CF,その他はIAとなっている。いずれも開缶してそのままサラダにしたり,あるいはいためたりする。コンビーフが日本に紹介された時期は明らかでないが,1923年の関東大震災後の《朝日新聞》に連載されたアメリカの漫画《親爺(おやじ)教育》(別名《ジグスとマギー》)にはしばしばこれが登場し,大いに親しまれたものであった。
執筆者:平野 雄一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
牛肉の塩蔵加工品の一種。この名称は、17世紀ごろまでは粒状(コーン)の粗塩を用いて塩蔵したので、コンビーフ(塩蔵肉)の名が生まれたという。製法は、牛肉の脂肪の少ない部分から骨、腱(けん)、余分の脂肪、大きな血管などを除き、3%の食塩と0.1%の硝石などの発色剤、調味料、香辛料などを加えて数日間低温で塩蔵し、115℃で100分間ほど蒸し煮し、温かいうちに肉の繊維をほぐし、通常は食用油脂、調味料、香辛料で調味して缶詰や瓶詰にする。ほぐさずに塊のまま製品にするものもある。日本では、牛肉以外に馬肉、豚肉、羊肉なども使われ、食肉を塩漬(えんせき)し、煮熟(しゃじゅく)して詰めたもの全体を「コーンドミート」、そのなかで牛肉のみを使用したものを「コンビーフ」という。牛肉と馬肉を使用したものは、以前はニューコンビーフと表示することができたが、2006年(平成18)にJAS(ジャス)(日本農林規格)により「ニューコンミート」または「ニューコーンドミート」の品名に改正された。
コンビーフは、脂肪分が多く、適度の塩味があるので、煮込み物、サラダ、炒(いた)め物など、各種の料理に肉を加えるとともに、調味材として利用することができる。
[河野友美・山口米子]
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