コーポレートガバナンス(読み)こーぽれーとがばなんす(英語表記)corporate governance

デジタル大辞泉 「コーポレートガバナンス」の意味・読み・例文・類語

コーポレート‐ガバナンス(corporate governance)

企業ぐるみの違法行為を監視したり、少数に権限が集中する弊害をなくしたりして、企業を健全に運営すること。また、その仕組み。企業統治

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コーポレートガバナンス」の意味・わかりやすい解説

コーポレートガバナンス
こーぽれーとがばなんす
corporate governance

企業統治。会社を最適に制御すること。株式会社主権者は本来株主であるが、日本ではこれまで経営者主権型であった。しかし後を絶たない経営不祥事をめぐり「会社はだれのものか」という形で企業統治が問題にされだした。企業環境がグローバル化するなかで、本来の主権者たる(不特定多数の)株主(投資家)に対して情報を十分に公開していこうとする企業は増えつつある。企業の不正行為を防ぐための会社法制も整備されてきた。大企業に対しては、委員会設置会社監査役会設置会社のそれぞれに、社外取締役社外監査役過半数になるよう求め、その権限を強化するなど、内部統制の仕組みは整ってきた。しかし、2008年の世界的金融危機リーマン・ショック」をもたらした元凶企業のガバナンス機構がアメリカの会社法や証券取引所の求める形式を整えていながら機能していなかったように、形式上の仕組みを整えるだけでは意味がない。結局のところ、株主総会日を集中させない、議決権行使をIT(情報技術)化するなど、株主総会を投資家にとって使い勝手のよいものにして、株主が適正に判断できるように十分な情報開示をすることこそが、信頼されるコーポレートガバナンスの裏づけになる。

[原 正輝]

『青井倫一監修、大和総研経営戦略研究所編著『ガイダンス コーポレートガバナンス』(2009・中央経済社)』『久保克行著『コーポレート・ガバナンス――経営者の交代と報酬はどうあるべきか』(2010・日本経済新聞出版社)』

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知恵蔵 「コーポレートガバナンス」の解説

コーポレート・ガバナンス

株式会社にはCEO(最高経営責任者)を始めとする業務執行者と、株主を始めとするさまざまな利害関係者(ステークホルダー)がいる。いずれの立場にあるにせよ、会社が法令を遵守し、効率的に運営されることが求められる。そのように業務執行がなされるようにコントロールしたり、モニタリングしたりする仕組みなり体制がコーポレート・ガバナンスである。 要するに、株式会社では株主が実質的支配者で、その代理人が経営者である。この実質的支配者である株主や、従業員その他のステークホルダーの利害を反映した行動を代理人である経営者がとるように方向付けていくことであり、その仕組みである。こうした利害に基づき、その代弁者として業務執行の最高責任者である代表取締役社長をはじめとして執行役員の業務妥当性を監視していくために重要な役割を担っているのが取締役会内に設けられる指名委員会、報酬委員会、監査委員会など各種委員会とその構成メンバーとなっている社外取締役である。株主重視の米国型経営では、この取締役会に占める社外取締役の比率の高さ(60%以上)でも特徴付けられる。従業員重視から株主価値の最大化を追求する株主重視へと日本企業のコーポレート・ガバナンスは大きくかじを切ったところであるが、株主至上主義に対する疑問、短期利益偏重の短期株主より長期的な株主の尊重、株式持ち合いへの逆戻りなど、日本企業の米国型コーポレート・ガバナンスへの移行にはさまざまな弊害が取り沙汰されている。

(高橋宏幸 中央大学教授 / 2008年)

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株式公開用語辞典 「コーポレートガバナンス」の解説

コーポレートガバナンス

「企業統治」と訳されるが、明確な定義はない。概ね、次の意味で使われている。
1. 企業と株主の関係のあり方
2. 企業内部の意思決定や経営監視の仕組み
3. 企業の関係者である株主、経営者、従業員、および債権者等の利害調整をするためのメカニズム
4. 株主の利益を最大化させるための企業経営のチェック体制
の4つで構成される。
従来から「会社は誰のものか」という議論がなされてきたが、そこで、日本においてもコーポレートガバナンスのあり方が問い直されている。公開企業として、不特定多数の株主(投資家)から、より厳格なコーポレートガバナンスを求められるようになってきた。この観点より見た場合、SEC基準によって情報を開示することは、当該企業の信頼性を向上させることができると考えられている。平成15年4月に施行された商法改正によって、各企業は、委員会設置会社の導入が可能となった。米国型企業統治とも呼ばれており、新しい企業統治制度として注目されている。

出典 株式公開支援専門会社(株)イーコンサルタント株式公開用語辞典について 情報

M&A用語集 「コーポレートガバナンス」の解説

コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンス (企業統治) とは、企業経営を管理監督する仕組みを意味する。株式会社では、会社の所有者である株主により選任された取締役が会社の経営を行う。会社の経営者は、株主に対して株主の利益の最大化を実現すべく会社を経営する責任を負っているが、経営者がその責任を適切に果たしているか管理監督をする仕組みが本来のコーポレートガバナンスであり、具体的には、1.株主総会、取締役会、監査役会等の組織構成 2.取締役会、監査役会等の組織の構成員の選任方法 3.取締役、監査役等に対する報酬の決定方法 4.経営状況の監査の仕組み 5.株主への情報開示の仕組み等の制度のあり方 をいう。これまで日本では、会社は経営者あるいは従業員のものという意識が強く、企業統治のあり方に対する意識はあまり強くなかったが、最近では企業の相次ぐ不祥事や、買収がらみの騒動等を背景として、「企業は誰のものか?」「企業統治はどうあるべきか?」を問う声が高まっている。

出典 M&A OnlineM&A用語集について 情報

百科事典マイペディア 「コーポレートガバナンス」の意味・わかりやすい解説

コーポレート・ガバナンス

企業統治または企業支配と訳す。企業の意思決定は通常取締役である経営者が行うが,実はステークホルダー(利害関係者)が様々な影響を与える。株主,経営者,従業員,顧客,取引先などが相互にチェックし,経営の独占的支配,反社会的行動を制御すべきという意を含む。米国では機関投資家の権限強化が進み,経営者に対する株主の支配権が強い。→株主反革命株主代表訴訟

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コーポレートガバナンス」の意味・わかりやすい解説

コーポレートガバナンス
corporate governance

企業統治。株主主権の原則を再確認し,経営者による違法行為の防止のみならず,より効率的な企業運営を目指すこと。独立した社外取締役監査役の登用や,徹底した情報開示などによるチェック機能を充実させ,経営の健全化をはかる。従来の監査役設置会社に対して,業務の執行と監督の分離を目的とする委員会設置会社の形態が選択的に取り入れられるなどの制度改革が進められた。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「コーポレートガバナンス」の解説

コーポレートガバナンス

「企業統治」と訳される。株主や銀行、債権者、取締役、従業員など企業を取り巻くさまざまなステークホルダー(利害関係者)が企業活動を監視して、健全かつ効率的な経営を達成するための仕組み。欧米では1980年代に、企業の業績悪化や不祥事発生の原因が経営者の専制的な支配にあったという認識から、企業の統治を改善する動きが生まれた。ここから、企業の業務を執行する機能(マネージメント)と経営者の執行活動を監視する機能(ガバナンス)とを分離することが求められるようになっている。日本でも2003年4月の商法改正により、マネージメントとガバナンスを分離するための委員会等設置会社が認められるようになっている。

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人材マネジメント用語集 「コーポレートガバナンス」の解説

コーポレート・ガバナンス

・corporate governance
・企業統治、または企業の意思決定に対して影響を及ぼす体制等を指す。あるいは、企業が社会や個人のために、どのようにあるべきかを示す考え方を言う。
・企業の事業は、多くのステークホルダー(株主・顧客・従業員・取引先・金融機関等)によって成り立っているため、経営者の利己的な意思決定を抑制し、相互の利害関係を円滑に調整しながら経営をコントロールする仕組みが必要であり、近年企業統治の観点から当概念が重要視されている。

出典 (株)アクティブアンドカンパニー人材マネジメント用語集について 情報

ブランド用語集 「コーポレートガバナンス」の解説

コーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンスとはステークホルダーによって企業を統制し、監視する仕組みのことをいう。企業統治。情報開示のあり方や、監査役や社外取締役を含む取締役会など会社の機関のあり方などを指すことが多い。

出典 (株)トライベック・ブランド戦略研究所ブランド用語集について 情報

人事労務用語辞典 「コーポレートガバナンス」の解説

コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンスは、日本語では「企業統治」と訳されることが多く、企業経営において公正な判断・運営がなされるよう、監視・統制する仕組みを表しています。

出典 『日本の人事部』人事労務用語辞典について 情報

会計用語キーワード辞典 「コーポレートガバナンス」の解説

コーポレート・ガバナンス

不正行為を防ぐために企業を監視するための仕組みのことで、「企業統治」と訳されます。

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