米国の自治領・北マリアナ諸島の一つ。戦前・戦中は国策会社、南洋興発のサトウキビ産業で発展、主に沖縄からの入植者による日本人社会が形成された。太平洋戦争で米軍が1944年6月に上陸し、日本軍は部隊全員の死を覚悟した「玉砕戦」を展開。民間人と合わせ約5万人が死亡したとされる。陥落後、隣のテニアン島とともに日本本土を空襲する米軍機の拠点となった。上皇ご夫妻は天皇、皇后在位中の2005年に慰霊に訪れた。(サイパン共同)
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西太平洋,マリアナ諸島の火山島で,グアム島の北に位置する。面積185km2,人口6万2392(2000)。1565年レガスピが上陸し,この付近の島々を正式にスペイン領とする旨を宣した。古くはグアムと同様多くのチャモロ族が住んでいたが,カトリックの強制的布教に反抗して1670年布教師を殺害し,スペイン政府によってグアムに強制移住させられ,98年以降無住の地となった。その後カロリン諸島から幾度か移住が試みられ,1815年には台風によって住居を失ったトラック諸島民200人が集団移住したことが知られている。カロリンからの移住者を中心に島の西海岸にガラパンの町がつくられた。ガラパンにはドイツ時代(1899-1914),日本時代(1914-44)ともに支庁が置かれ,マリアナ諸島の政治的中心であった。日本時代には多くの日本人が移住し,各種の産業に従事した。とくに製糖が盛んで,その代表的企業は南洋興発であり,多数の日本人がこの会社の下で小作として働いていた。1930年当時,日本人人口はチャモロ族,カロリン諸島人の合計人口の3倍以上であった。第2次大戦末期の44年6月15日,アメリカ軍が西海岸に上陸し島内に進攻した。補給のない日本軍は島の北側に追いつめられ,7月6~7日ころ玉砕した。また,このとき非戦闘員が海に飛び降りて自殺した北岬は今もバンザイ・クリフの名で知られている。戦後はアメリカによる国連信託統治領を経て,アメリカの自治領北マリアナ諸島の政治的中心である。
執筆者:青柳 真智子
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太平洋中西部、ミクロネシアにある島。マリアナ諸島ではグアム島に次ぐ第二の島で、1978年に成立した北マリアナ連邦の主島である。南北約23キロメートル、東西約10キロメートル、面積122平方キロメートル。火山島で、最高峰はタグポチャウTagpochau山(474メートル)。サトウキビ、コプラのほか、マンガン鉱、硫黄(いおう)を産する。人口7万5800(2001推計)。1521年マジェラン(マゼラン)が到達、1565年以来スペインが領有し、先住民のチャモロ人はカトリック教徒化されてその固有文化を失った。1898年スペインからドイツに売却、ガラパン港を中心に西海岸が開発され、さらに1924年以降、日本の南洋委任統治領となって、島の北半部のなだらかな高地一帯がサトウキビ農園として開かれた。ガラパンの町も一時は人口2万を数えたが、第二次世界大戦中の1944年、この町はいったん壊滅的な戦禍にあった。その後、アメリカ信託統治時代に急速に復興し、78年北マリアナ連邦成立とともにその首都になっている。また、島は連邦成立以来、観光開発に力が注がれている。島の南西岸チャラン・カノアChalan Kanoaはチャモロ人の最大の集落で、全島のショッピング・センターとなっている。サイパン国際空港(アスリート空港)へは成田、グアム島からの便がある。
[大島襄二]
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…愛称スーパーフォートレスSuperfortress。ボーイング社により開発された米軍の大型長距離爆撃機で,太平洋戦争中は,1944年6月16日,中国大陸の成都から発進し,北九州八幡地区の爆撃に使用されて以降,サイパン島,テニアン島などを基地として,終戦まで日本の各都市の爆撃,および広島,長崎への原爆の投下に使われ,後に朝鮮戦争においても使用された。開発は1940年1月に開始され,試作機の初飛行は42年9月に行われた。…
※「サイパン島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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