ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サットン」の意味・わかりやすい解説
サットン
Sutton, Walter Stanborough
[没]1916.11.10. カンザスシティー
アメリカの遺伝学者。カンザス大学で1年間工学を学んだのち,生物学に転向 (1897) 。 C.マクラングのもとで研究。 1901年修士号取得後,コロンビア大学に移って医学を修め,09年にカンザス市で外科医を開業。終生医業にたずさわった。コロンビア大学大学院在学中 (1902~03) に発表した2編の論文が遺伝の染色体説のさきがけとなった。バッタを材料として染色体の観察を行い,体細胞では性染色体以外の染色体はそれぞれ同形同大のもの同士が対をなしていることを発見,生殖細胞形成の際に起る減数分裂で,この対をつくっている染色体のそれぞれが別々の細胞に入っていくことを観察した。彼はこれらの観察事実が G.メンデルの論文に記された遺伝要素の行動に対応することを指摘し,遺伝子は染色体に含まれていると説いた。彼の観察およびそれに基づく理論は,遺伝の染色体説に基礎を与えるものであった。
サットン
Sutton
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