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サリドマイド サリドマイドthalidomide

翻訳|thalidomide

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

サリドマイド
thalidomide

バルビツル酸睡眠薬ドイツサルファ剤の研究中に発見され,1956年に初めて臨床に応用された。副作用が少く,持続性のある睡眠薬として使われていたが,サリドマイド事件が起って製造販売が禁止された。この事件以来,薬物の催奇形性に関心が高まり,新薬の製造販売許可が以前よりきびしくなった。 (→奇形 )

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知恵蔵の解説

サリドマイド

1957年に旧西ドイツ製薬会社であるグリュネンタール社から発売された睡眠薬の名称。日本では、58年1月20日から、大日本製薬(現:大日本住友製薬)が睡眠薬としてサリドマイド製剤「イソミン」の販売を開始。また60年8月にはサリドマイドを含有する胃薬「プロバンM」を発売。妊婦のつわり防止などに使用された。しかし、妊娠中にサリドマイドを服用した妊婦から「アザラシ肢症」をはじめとする障害を持つ子供が誕生したことから、62年5月に販売中止、9月には回収となった。一方、58年の発売後ほどなくして「アザラシ肢症」などの先天奇形が報告されはじめた本国旧西ドイツでは、サリドマイドに起因するとした小児科医W.レンツの警告により、61年に国内の同製剤は回収・販売中止になっていた。これに対し日本では、「関連不明」との見解から回収・販売中止が遅れたことで被害が拡大したといわれ、1000~1200人(うち正式認定は309人)の被害者を生んだ。
このように、一度世の中から消えたサリドマイドであるが、近年、多様な薬効に注目が集まっている。エイズや様々ながんに対する有効性があるといわれており、98年には、ハンセン病治療の特効薬として、アメリカで正式認可されている。また、多発性骨髄腫に対する有効性が明らかとなり、厚労省は2008年10月16日に「再発または難治性の多発性骨髄腫」の治療薬として、サリドマイド製剤を再認可した。ただし、承認にあたり、薬害防止の観点から(1)「サリドマイド製剤安全管理手順」を適正に遵守(じゅんしゅ)すること(2)緊急時に十分対応できる医療施設において、十分な知識・経験を有する医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例のみを対象に投与すること(3)全症例を対象に使用成績調査を実施し、定期的にその結果を公表すること-などの条件が付けられている。同剤は、販売名「サレドカプセル100」として、09年2月に藤本製薬株式会社から発売を予定している。

(星野美穂 フリーライター / 2009年)

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デジタル大辞泉の解説

サリドマイド(thalidomide)

鎮静・催眠薬の一種。1957年に西ドイツで開発。妊娠初期に服用するとあざらし肢症奇形児の出産が多くなることが明らかになり、各国で製造・販売が禁止された。
[補説]日本での発売開始は昭和33年(1958)、昭和37年(1962)に出荷・発売停止、回収となった。その後、血液癌(がん)の一種、多発性骨髄腫に薬効があるところから、平成20年(2008)10月に厚生労働省が製造・発売を再承認。ハンセン病にも効果があるとされるが、その仕組みは不明。

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百科事典マイペディアの解説

サリドマイド

化学式はC13H1(/0)O4N2。白色針状結晶,無味無臭。1956年西ドイツで作られ,その後,鎮静・催眠剤として市販されたが,妊婦が用いるとアザラシ肢症の奇形児を生むことがあり,1962年ごろ世界各国で社会問題となった。
→関連項目サリドマイド訴訟薬害

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世界大百科事典 第2版の解説

サリドマイド【Thalidomide】

バルビツレート系催眠薬として,ヘミー・グリュネンタール社(西ドイツ)で開発され,1956年にコンテルガンの名で市販された。この薬は世界で広く用いられ,日本でもイソミンの商品名で発売された。しかし,間もなく四肢に欠損のある奇形児アザラシ肢症phocomeliaの増加と関係があるのではないかとの疑いがもたれ,61年にW.レンツらにより原因物質として告発され,発売は禁止された。それまで,サリドマイドは鎮静,催眠の目的のほかにも,広く処方され,痛み,咳,不眠症などに使われる複合錠剤中にも使われ,妊婦も手軽に服用していたのである。

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大辞林 第三版の解説

サリドマイド【thalidomide】

1958 年に旧西ドイツで開発された睡眠薬の一種。妊娠初期に服用すると胎児にアザラシ肢症などの奇形障害が生じることが判明し、61 年製剤・使用が禁止された。しかし 90 年代に入り、ハンセン病などへの治療効果が認められて海外で承認され、日本でも 2008 年(平成 20)10 月、多発性骨髄腫治療薬としての製造販売を承認しても差し支えないとの結論が発表された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

サリドマイド
さりどまいど
thalidomide

1957年に西ドイツで開発された非バルビツール系鎮静・睡眠薬。一時繁用されたが、本剤を服用した妊婦からあざらし肢症などの先天性障害児が生まれ、社会問題となり、世界中で製造、販売が禁止された。わが国では1958年(昭和33)発売、62年に出荷停止、販売停止の措置をとった。有名な薬害事件の一つである。
 アメリカでは当初医薬品として承認されなかったが、その後の薬効研究で癌(がん)細胞の栄養補給路である血管の形成抑制などが認められ、ほかに治療法のない末期の骨髄腫患者に投与したところ3分の1の患者に改善がみられたことから、1998年10月骨髄腫の治療薬として承認された。副作用の作用機序の研究から新たな薬効が発見された珍しい例である。日本では「日本骨髄腫患者の会」の要望で、条件つきで輸入申請が認められ、厳重管理の下(もと)で使用されていたが、2008年(平成20)10月安全管理の徹底などを条件に、多発性骨髄腫の治療薬としての製造販売が厚生労働省により認可されている。[幸保文治]

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世界大百科事典内のサリドマイドの言及

【奇形】より

…たとえば,四肢の発生過程では,骨を形成する骨前駆細胞が必要な数の骨原基をつくるが,その形成阻害で骨や指などに欠損の生じることがある。サリドマイド奇形はまさにその例である。(3)異態 前2者とは異なり,この奇形は脊椎動物ではほとんど知られていないが,学問的には重要で興味深いものが多い。…

※「サリドマイド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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