サリン

デジタル大辞泉 「サリン」の意味・読み・例文・類語

サリン(Sarin)

毒ガス一種無色無臭液体で、成分はイソプロポキシメチルホスホリルフルオリド。即効的に神経機能を破壊する。第二次大戦前に同様の毒ガスのタブンソマンなどとともに開発された。化学式C4H10O2FP
[補説]日本では、オウム真理教の起こした平成6年(1994)の松本サリン事件、平成7年(1995)の東京地下鉄サリン事件によって多数の死傷者を出した。これらを受けて、平成7年(1995)4月にサリンの製造・所持等を禁止する「サリン等による人身被害の防止に関する法律(通称サリン防止法)」が施行

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精選版 日本国語大辞典 「サリン」の意味・読み・例文・類語

サリン

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Sarin ) 毒ガスの一つ。無色・無臭の液体で、成分はイソプロポキシメチルホスホリルフルオリド。きわめて毒性が強く、即効的に神経機能を破壊する。

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化学辞典 第2版 「サリン」の解説

サリン
サリン
sarin

isopropyl methylphosphonofluoridate.C4H10FO2P(140.09).1938年,ドイツで開発された有機リン系神経剤で,軍事利用された.タブン,ソマン,VXなどと同様の構造を有し,VXやソマンより毒性は低いが,揮発性がとくに高いため,強力な毒ガスとなる.融点-57 ℃,沸点147 ℃,46 ℃(1.06 kPa).1.381.トリメチルホスファイトより合成され,アルカリにより容易に分解される.コリンエステラーゼ阻害活性を有し,吸入・皮膚経口暴露により縮瞳・視覚障害・嘔気などを起こし,最終的に呼吸障害をもたらす.治療にはほかの有機リン剤中毒と同様に,硫酸アトロピン,PAM(2-ピリジンアルドキシムメチオジド)などを用いる.LD50 100~500 mg/kg(経皮),5~10 mg/kg(経口),50~100 mg/m3(1 min,吸入).[CAS 107-44-8][別用語参照]神経ガス

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百科事典マイペディア 「サリン」の意味・わかりやすい解説

サリン

化学式は(CH32CHO−P(CH3)OF。第2次大戦中にドイツで化学兵器として開発された有機リン系の神経ガス。呼吸器や皮膚などを通して体内に吸収され,コリンエステラーゼと結合して,神経伝達物質アセチルコリンの分解を妨げる。筋肉を麻痺させ,けいれん,顔面蒼白,昏睡から窒息死に至る。ホスゲンマスタードガスの数十倍の毒性をもつとされる。
→関連項目オウム真理教事件神経ガス

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サリン」の意味・わかりやすい解説

サリン
sarin

構造中にフッ素をもつ有機リン化合物の一種で,農薬研究開発の過程から 1938年,ナチスが猛毒の神経ガスとして開発した。サリンはリン酸のメチル化合物とフッ素化合物から製造する。常温では無色の液体だが,無臭で揮発しやすい。大気 1m3中 100mgの濃度のガスを1分間吸入するだけで,半数が死亡するほどの強い神経毒性をもつ。毒性はシアン化水素 (青酸) の 25倍以上。呼吸だけでなく,皮膚からも吸収される。

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世界大百科事典(旧版)内のサリンの言及

【化学兵器】より

…化学兵器の特徴としては,その使用法にも関連するが,一般に,作戦地域の風向・風速などの気象条件に効果が左右されること,戦闘員・非戦闘員の区別なく被害を与えること,建築物や兵器などには被害を与えないことなどがあげられる。 神経剤は神経機能をおかし死に至らしめる物質で,VX,サリン(GB),タブン(GA),DFP,ソマン(GD)などがある。神経の突起が次の神経細胞に接続する部分のシナプスでは,神経の興奮は化学伝達物質であるアセチルコリンによって伝えられる。…

※「サリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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