フランスの哲学者,神智学者。啓蒙の世紀,18世紀後半における神秘思想の一大潮流,いわゆるイリュミニスムilluminismeを代表する人物。マルティネス・ド・パスカリの教団への加入を契機に思想家としての生涯を歩みはじめ,処女作《誤謬と真理》(1775)の成功により社交界に出入りして,フランス内外に多くの支持者を得た。その後《望みに駆られた人》(1790),《霊人の使命》(1802)ほか,ほとんどの著書を〈無名の哲学者〉の名の下に発表。後期の作品においてはベーメの哲学から多くの発想を借りている。その思想は信仰と科学の両立を第一目標に置き,哲学的には啓蒙思想の機械論的・唯物論的傾向,宗教的には狂信とカトリック教会のドグマに反抗したヒューマニズムに特徴付けられる。〈転落〉状態にある人間が本来の〈神人〉の地位を徐々に回復し,神-人間-宇宙を結ぶ統一的照応関係の復原を目ざす,という神話的救済論に立つ自然哲学を難解な文体に包んで説いた。論考の対象は人文・自然科学全般にわたり,中国,インドなどの非キリスト教文化にも重要な位置が与えられた。また1789年に始まったフランス革命には,神智学的観点から鋭い論評を加えている。彼の思想は19世紀ロマン派の哲学・文学に受け継がれ,ドイツではバーダー,シュレーゲル兄弟,フランスではセナンクール,ノディエ,バルザックらの上に影響を跡付けることができる。
執筆者:今野 喜和人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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…4世紀にはすでに聖遺物崇拝が定着している。聖マルティヌス(サン・マルタン)の臨終(397)には,トゥールとポアティエの住民が集い,遺骸の帰属をめぐって争った。9世紀にはローマから殉教者の遺骨を北ヨーロッパの諸修道院へ輸送斡旋したデウスドーナなる人物の活躍が知られている。…
※「サンマルタン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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