シェニエ(その他表記)André-Marie de Chénier

デジタル大辞泉 「シェニエ」の意味・読み・例文・類語

シェニエ(André Marie de Chénier)

[1762~1794]フランス詩人ロマン派、また高踏派先駆者フランス革命に参加し、刑死。作「悲歌」「牧歌」など。

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精選版 日本国語大辞典 「シェニエ」の意味・読み・例文・類語

シェニエ

  1. ( André Marie Chénier アンドレ=マリー━ ) フランスの詩人。清純優雅な詩情をもち、ロマン派、また高踏派の先駆者とされる。詩集「タラントの乙女」「自由」など。(一七六二‐九四

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改訂新版 世界大百科事典 「シェニエ」の意味・わかりやすい解説

シェニエ
André-Marie de Chénier
生没年:1762-94

フランスの詩人。イスタンブールに生まれ,パリで教育を受けた。フランス革命が起こると穏健派に属し,反ジャコバン・クラブの論客として知られたが,32歳の若さで断頭台に消えた。生前はほとんど詩を発表せず,詩人としては無名に近かった。詩の草稿の一部が刊行されたのは1819年になってからであり,詩作の全容が明らかになるのはさらにその半世紀後である。刊行直後から,当時台頭しつつあったロマン派の詩人たちに先駆者として熱烈に迎え入れられた。彼はギリシア古典の模倣によって,古代の詩の素朴さと新鮮さを再び詩に取り戻すことに成功し,ホメロスを歌った〈盲人L'aveugle〉や〈ターラントの娘La jeune tarentine〉などの傑作を含む《牧歌Bucoliques》や《悲歌Elégies》をつくり,また,百科全書派の新しい科学思想を古代の詩形に盛り込むという壮大な構想をもった幾編かの未完の叙事詩を残している(《創造L'invention》《エルメスHermès》《アメリカL'Amérique》)。彼は18世紀の時代精神を表現した最高の詩人であると同時に,19世紀における詩の復権を準備した先駆者である。ジョルダーノオペラアンドレア・シェニエ》は彼を主人公としたものである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シェニエ」の意味・わかりやすい解説

シェニエ
しぇにえ
André Chénier
(1762―1794)

フランス18世紀最大の詩人。フランス人の外交官を父に、ギリシア人を母として、コンスタンティノープル(現イスタンブール)に生まれる。5歳よりパリに住む。軍隊生活ののちスイス、イタリアを旅行、1787~90年にはロンドンのフランス大使館に勤務。フランス革命に共鳴し、激動の革命のなかに身を投ずるが、革命の過激化とともに反対の立場にたつ。4か月の牢獄(ろうごく)生活ののち、テルミドールの反動の前日に処刑された。生前にはほとんど詩は知られていなかった。代表作には『若きタランチーヌ』『若き囚(とら)われの女』のような短詩形式の、牧歌、田園詩、哀歌、叙情詩や、ホメロスを歌った『盲人』、形而上(けいじじょう)詩『ヘルメス』などの長編詩がある。古典文学、とくに古代ギリシアの詩の影響がみられる。獄中で書いた『風刺詩』には恐怖政治に対する絶望が語られている。最後の古典派とも最初のロマン派ともよばれているが、詩句に諧調(かいちょう)や柔軟さを与える詩法上の革新は、ロマン派へとつながるものであった。その生涯、とくに革命期のシェニエの姿は、イタリアの作曲家ジョルダーノによってオペラ『アンドレア・シェニエ』(1896初演)に描かれている。

[原 好男]

『谷長茂・佐貫健訳「シェニエ詩集」(『世界名詩集大成2 フランス編1』所収・1960・平凡社)』

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百科事典マイペディア 「シェニエ」の意味・わかりやすい解説

シェニエ

フランスの詩人。イスタンブール生れ。母はギリシア人。フランス革命に共鳴し活躍するが,やがて立憲君主制擁護の論陣を張ったため,処刑された。古典的形式を完備した格調高いその抒情詩は大部分死後出版。ギリシアの詩歌とディドロらの哲学に魅せられたロマン派(ロマン主義)の先駆者で,オード囚われの若い女〉や,ホメロスを歌った〈盲人〉などの牧歌(パストラル)が有名。ほかに長編形而上詩《エルメス》など。その半生は,U.ジョルダーノによりオペラ化されている。弟のマリー・ジョゼフ〔1764-1811〕も詩人,政治家。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シェニエ」の意味・わかりやすい解説

シェニエ
Chénier, André-Marie de

[生]1762.10.30. コンスタンチノープル
[没]1794.7.25. パリ
フランスの詩人。 18世紀最大の抒情詩人で,革命を支持しながらもロベスピエールの恐怖政治を攻撃,断頭台に上った。ギリシア詩と近代哲学を熱狂的に賛美し,この両者をみずからの詩において統一しようと試みた。その詩は生前にはほとんど発表されず,1819年に初めて全集が出て,ロマン派や高踏派の詩人たちから先駆者と仰がれた。代表作は,人類の進歩を主題とした哲学詩『ヘルメス神』 Hermès,古代から得た霊感とロマンチックな感性とを結び合せた『田園詩』 Idylles,『悲歌』 Élégies,支配者への憎しみ,虐殺の恐怖,革命の行過ぎを批判した獄中作『風刺集』 Iambesなど。

シェニエ
Chénier, Marie Joseph Blaise de

[生]1764.2.11. コンスタンチノープル
[没]1811.1.10. パリ
フランスの詩人,劇作家,政治家。 A.シェニエの弟。フランス革命に際し,歴史に取材した愛国的,共和主義的色彩の強い戯曲を残した。狂信を攻撃した政治悲劇『シャルル9世』 Charles IX (1789) ,自由を主題にした『カイウス・グラックス』 Caïus Gracchus (92) などの戯曲のほかに,詩としては『出陣の歌』 Le Chant du départ (94) が有名。

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