翻訳|Sheffield
イギリス,イングランド北部のサウス・ヨークシャー(旧ヨークシャーのウェスト・ライディング地区)南西部にある工業都市。地名は〈シーフ河畔の平地〉の意。人口64万0720(2001)。ペナイン山脈の東麓,ハンバー川支流のドン川とシーフ川,ポーター川などの合流点に位置し,鉄鋼,刃物工業を中心に重工業地域を形成する。もとはハラム荘園の一部であったが,12世紀初めにノルマン貴族がこの地に築城してから発展。14世紀ころから,付近で産出する鉄鉱石,木材,砥石を背景に木炭製鉄と刃物製造が活発になった。15世紀には水車動力が利用され,刃物工業都市として独占的地位を獲得していった。しかし本格的な重工業の成立は,ヨークシャー炭田の開発される産業革命以後であり,1859年設立のベッセマー製鋼所を中心とする,銃砲身,船舶用装甲板などの特殊鋼生産に特色を有している。また1742年ころから開始された銀めっき銅製品(シェフィールド・プレート)の生産も有名である。現在では伝統的なナイフ,はさみのほか,兵器,車両,活字,缶詰などの製造も行われている。市内には15世紀の塔を残す大聖堂や刃物,めっき製品の収集で知られる市立博物館,J.ラスキンの収集品を納めるラスキン博物館および1905年創立のシェフィールド大学などがある。
執筆者:長谷川 孝治
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イギリス、イングランド中部、サウス・ヨークシャー大都市県の工業都市。ペニン山脈東麓(とうろく)に位置する。人口51万3234(2001)。マンチェスターの東約55キロメートルにあり、ドン川(ハンバー川の支流)がシーフ川と合流する地点に位置する。水運の便に恵まれ、7世紀ごろから集落が発達、商業中心地となった。早くから鉄の製錬が行われたが、14世紀以降、刃物製造が盛んとなり、17世紀以降はイギリスの刃物生産をほぼ独占している。当初鋼材は輸入したが、産業革命後に近くの石炭と鉄鉱石を利用して鉄鋼生産が始まり、イングランドの代表的な鉄鋼業都市の一つとなった。しかし、その後各地で鉄鋼業がおこり、19世紀なかばには近くの鉄鉱石が枯渇(こかつ)して鉄鉱石の輸入が必要となったため、刃物を中心とする高級鋼の加工生産に重点を移した。この間、19世紀初期に数万にすぎなかった人口が、1901年には約41万に急増した。軍艦、戦車、銃砲、レール、エンジンなどの鋼材のほか、鉄、真鍮(しんちゅう)、銀、光学器械、紡績などの工場群がドン川沿いに建ち並び、郊外に広がる起伏に富んだ美しい自然の風景と好対照をみせている。市内にはラスキン博物館、マッピン美術館をはじめとして、各種博物館、美術館、図書館、劇場、コンサート・ホールなどの文化施設が整備されており、教会、病院も多い。1905年創立のシェフィールド大学は、医学部、工学部を中心とするイギリスの代表的な大学の一つで、1962年に日本研究センターが新たに設けられている。第二次世界大戦中にはドイツ空軍の爆撃を受け、中心市街地と周辺郊外地は大きな被害を受けた。
[井内 昇]
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…一方,ペナイン山脈東麓側のヨークシャー工業地域では,綿工業ほどの衰退はみられないが,羊毛工業の集中・専門化は進み,ブラッドフォードなどの西ヨークシャー諸都市で高級品の生産が行われている。また南ヨークシャーのシェフィールドには伝統ある鉄鋼業が立地している。かつて黒郷(ブラック・カントリー)と呼ばれたバーミンガム周辺のミッドランド工業地域は,鉄鋼業が縮小し,代わって自動車などの機械工業がコベントリーなどで発展している。…
※「シェフィールド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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