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シェーグレン症候群 シェーグレンしょうこうぐんSjögren's syndrome

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

シェーグレン症候群
シェーグレンしょうこうぐん
Sjögren's syndrome

全身の粘膜乾燥を特徴とする症候群で,1933年にスウェーデン眼科医 H.シェーグレンが初めて報告した。眼球乾燥症唾液腺の萎縮による口内乾燥,虫歯,慢性関節リウマチ脾腫,肝腫,レイノー現象紅斑,脱毛などが起り,血漿中のγ-グロブリンが増加する。しばしば膠原病自己免疫疾患を合併し,また,細網内皮系悪性腫瘍に合併することもある。 20~40歳代の女性に多発する。根本的な治療法はなく,対症的に人工涙液,人工唾液,パロチンなどが用いられる。

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デジタル大辞泉の解説

シェーグレン‐しょうこうぐん〔‐シヤウコウグン〕【シェーグレン症候群】

涙腺・唾液腺(だえきせん)の分泌低下を主症状とする病気。膠原(こうげん)病や慢性関節リウマチの合併していることが多い。スウェーデンの眼科医シェーグレン(H.S.C.Sjögren)が報告。

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百科事典マイペディアの解説

シェーグレン症候群【シェーグレンしょうこうぐん】

涙や唾液の分泌が悪くなるため,口中や目の中が乾く病気。単に乾燥症状が生じるだけの乾燥症候群と,慢性関節リウマチ,全身性エリテマトーデスなどの膠原(こうげん)病があって乾燥症状が起こる,二つのタイプに分けられる。
→関連項目味覚障害

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家庭医学館の解説

しぇーぐれんしょうこうぐん【シェーグレン症候群 Sj[1-09-76-1]gren Syndrome】

や唾液(だえき)が出にくくなる病気
[どんな病気か]
 シェーグレン症候群は、膠原病(こうげんびょう)(免疫のしくみとはたらきの「膠原病について」)としてくくられる病気の1つで、おもに、涙腺(るいせん)や唾液腺(だえきせん)などの外分泌腺(がいぶんぴつせん)に炎症が生じ、涙や唾液などが出にくくなる病気です。
 関節リウマチや強皮症(きょうひしょう)など、ほかの膠原病と合併することが多くみられます(約50%)。ほかの膠原病をともなわない場合は、乾燥症候群(かんそうしょうこうぐん)と呼ぶこともあります。
 中年女性によくみられます。日本での患者数は約1万7000人とされています。
[原因]
 原因は不明ですが、ほかの膠原病を合併することが多いので、免疫の異常が関係していると考えられています。
[症状]
 涙が出にくいため、目にごみが入った感じがして、ごろごろするなどの異物感があります。また、明るいところでは、まぶしい感じがします。これは、目の表面の角結膜(かくけつまく)というところに炎症が生じているためです。
 唾液も出にくいため、いつも口の中が乾燥し、のどが渇きます。そのため、水分を含まない食物が食べにくくなり、飲み込むのも困難になります。必然的に水分摂取量が増えるため、排尿(はいにょう)の回数も増えます。
 唾液の分泌が少ないために、口の中の浄化ができず、舌があれて、口角(こうかく)がただれたり、むし歯も多くなります。
 また、耳下腺(じかせん)や顎下腺(がくかせん)が腫(は)れることもしばしばあります。鼻や耳、気管支など、ほかの粘膜(ねんまく)の分泌物も減り、鼻の乾燥感や嗅覚(きゅうかく)の異常、外耳道炎(がいじどうえん)、中耳炎(ちゅうじえん)、気管支炎などがおこりやすくなるのです。肺の炎症もみられます。
 胃酸の分泌が悪くなって、胃炎や消化不良もみられます。
 腎臓(じんぞう)では、腎臓の間質(かんしつ)という分泌や代謝をつかさどっているところに炎症が生じ、血液が酸性にかたよったり、骨がもろくなったりすることもあります(腎尿細管性アシドーシス)。
 皮膚が乾燥し、女性の場合には腟(ちつ)の乾燥症もみられます。
 全身症状としては、関節の痛み、輪のような紅斑(こうはん)、紫斑(しはん)、発熱、レイノー現象(皮膚の血行障害で、最初白くなり、ついで青くなってチアノーゼになり、回復すると赤くなる現象)などもみられます。
 また、この病気は、ほかの膠原病だけではなく、慢性甲状腺炎(まんせいこうじょうせんえん)(「慢性甲状腺炎(橋本病/自己免疫性甲状腺炎)」)や原発性胆汁性肝硬変(げんぱつせいたんじゅうせいかんこうへん)(「原発性胆汁性肝硬変(PBC)」)、リンパ腫(しゅ)など、免疫の異常をともなう病気を併発することがあります。
[検査と診断]
 血液検査では、赤血球(せっけっきゅう)の沈降速度(ちんこうそくど)(赤沈(せきちん))が速くなり、貧血、白血球(はっけっきゅう)の減少、γ(ガンマ)グロブリン(抗体(こうたい)などの免疫グロブリンたんぱく)が増加するとともに、唾液腺由来のアミラーゼという酵素(こうそ)の増加などがみられます。
 また、リウマトイド(リウマチ)因子や抗核抗体(こうかくこうたい)(自己の細胞の核を標的にする自己抗体の一種)を調べると、たいてい陽性を示します。
 抗核抗体のなかでも、抗SS‐A抗体と抗SS‐B抗体がみられるのが特徴で、とくに後者は、この病気にだけみられるといってもよいほどで、診断に役立ちます。
 涙の分泌は、小さな濾紙(ろし)を下のまぶたにあてて、どのくらいの長さに涙がしみるかをみます(シルマーテスト)。
 眼科的検査では、角結膜に炎症が生じているかどうかを調べます。
 唾液の分泌は、ガムをかませるガムテストで調べます。また、唾液腺を造影剤を使ってX腺で撮影し、唾液腺が炎症によって破壊されているかどうかをみます。
 アイソトープ(放射性同位元素)を静脈に注射し、それが唾液腺に取り込まれる量をみて、その機能の程度を調べる方法もあります(唾液腺シンチグラフィ)。
 また、くちびるの組織の一部をとって、顕微鏡でその組織を観察し、病理組織学的に小唾液腺に炎症があるかどうかも検査されます(口唇生検(こうしんせいけん))。
 診断は、前記の症状と検査結果からつけられます。厚労省の調査研究班から診断基準が発表されており、それに照らし合わせて診断されます。また、ほかの膠原病が合併しているかどうかも診断されます。
◎人工の涙液や唾液も用いられる
[治療]
 涙や唾液の分泌を高める薬が用いられますが、治療の多くは局所療法が中心です。
 局所療法として、目の乾燥に対しては、人工涙液(じんこうるいえき)の点眼薬が用いられます。口内の乾燥に対しては人工唾液(じんこうだえき)が用いられます。
 重い内臓の病変がある場合は、ステロイド薬や免疫抑制薬で治療します。
 関節リウマチなど、ほかの膠原病をともなっている場合には、これらの病気の治療も合わせて行ないます。
[日常生活の注意]
 食事は、かたいものや刺激物を避け、水分の多い、消化のよい、バランスのとれたものをとります。
 住居は、快適な温度と湿度を保ち、とくに空気の乾燥に注意します。
 歯をよくみがき、むし歯を予防するとともに、感染症に留意し、かぜをひかないように、また、こじらせないように注意します。
 さらに、過労を避けるほか、ストレスを蓄積しないように注意することも必要です。

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大辞林 第三版の解説

シェーグレンしょうこうぐん【シェーグレン症候群】

全身の外分泌機能を営む腺組織が障害される病気。主として涙腺・唾液腺がおかされる。単独でよりは膠原病こうげんびようなどに合併してみられることが多い。 〔スウェーデンの眼科医シェーグレン(H. Sjögren)が報告〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

シェーグレン症候群
しぇーぐれんしょうこうぐん

涙腺(るいせん)と唾液(だえき)腺の分泌低下(乾性角結膜炎と口腔(こうくう)乾燥症)を特徴とする外分泌腺の慢性炎症性疾患で、しばしば関節リウマチあるいはその他の膠原(こうげん)病を合併するものをいう。1933年スウェーデンの眼科医シェーグレンSjgrenによって初めて記載された比較的まれな疾患で76年(昭和51)厚生省(現厚生労働省)の特定疾患(いわゆる難病)に加えられた。患者は圧倒的に女性が多く、発症時年齢は45~48歳がもっとも多い。乾燥症状は、目では異物感・眼精疲労・眼痛など、口については口内乾燥感・摂食時飲水量増加・虫歯増加などがみられ、耳下腺の腫脹(しゅちょう)などもある。治療としては保存的対症療法が行われ、乾燥に対しては人工分泌液、合併した膠原病にはそれぞれの単独疾患の場合と同様に治療し、副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤や免疫抑制剤などを必要に応じて用いる。日本に多い乾燥症候群だけの場合の予後はよいが、合併症のある場合はその内容により異なる。[高橋昭三]

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世界大百科事典内のシェーグレン症候群の言及

【結膜】より

…これは同時に唾液腺も萎縮するので口も渇く。さらにリウマチによる関節炎症状をも伴い,全身的にはシェーグレン症候群Sjögren syndromeと呼ばれ,眼科的には乾性角結膜炎keratoconjunctivitis siccaと呼ばれる。続発性の結膜乾燥症には,酸,アルカリ等による薬傷,トラコーマ後遺症としての結膜の瘢痕(はんこん)化によるもの,薬剤アレルギーによって発症するスティーブンズ=ジョンソン症候群Stevens‐Johnson syndromeによるもの,あるいは,日本では少ないが,ビタミンA欠乏症によるものがある。…

【膠原病】より

…結節性多発動脈炎に限らず,他の壊死性血管炎,過敏性血管炎,アレルギー性肉芽腫性血管炎,ウェーゲナー肉芽腫症なども,類似の症状・病変を示すことから,膠原病の範疇(はんちゆう)に入れられている。また乾燥症候群を示すシェーグレン症候群も膠原病の一つとして扱われることが多く,全身性エリテマトーデスや全身性進行性硬化症あるいは多発性筋炎などの入りまじった症状を示す混合性結合織病mixed connective tissue disease(略してMCTD)も膠原病の中に含まれる。そのほかベーチェット病なども膠原病の中に入れる学者もいるが,これに異論を唱える学者も多く,膠原病には含まれないことが多い。…

【涙】より

…急性炎症がなくなったのち,涙囊鼻腔吻合術を行う。(4)シェーグレン症候群Sjögren syndrome 乾性角結膜炎,口内乾燥,慢性関節リウマチを主症状とする症候群。病理学的には涙腺や唾液腺の萎縮があり,涙液分泌は低下する。…

【リウマチ】より

…また慢性関節リウマチは,他のリウマチ性疾患を併発することがあり(重複症候群overlapping syndromeという),さらに他臓器の病変を伴うことがある。すなわち,外分泌腺の機能不全(シェーグレン症候群),漿膜炎(ライター症候群),顆粒球減少,肝脾腫(フェルティ症候群)などを併発することがある。(3)検査と治療 炎症反応(CRP陽性,血沈亢進,補体価変化など)が活動期にあり,活動性が抑えられると正常化してくる。…

※「シェーグレン症候群」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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