デジタル大辞泉
「シモンズ」の意味・読み・例文・類語
シモンズ(Arthur William Symons)
シモンズ(John Addington Symonds)
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シモンズ
- [ 一 ] ( Arthur Symons アーサー━ ) イギリスの詩人、批評家。フランス象徴派の影響を受け、みずからも象徴詩を書いた。著に「文学における象徴主義運動」、詩集「昼と夜」「ロンドン夜景」などがある。(一八六五‐一九四五)
- [ 二 ] ( John Addington Symonds ジョン=アディントン━ ) イギリスの文学者、批評家。広範な学識と流麗な筆をもって、主著「イタリア文芸復興史」を書いた。ほかにダンテやギリシア詩人の研究、伝記の英訳などがある。(一八四〇‐九三)
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シモンズ(Arthur Symons)
しもんず
Arthur Symons
(1865―1945)
イギリスの詩人、批評家。若くしてフランス象徴派詩人をイギリスに紹介、世紀末デカダンス運動の理論的指導者となった。彼の批評理論は詩集『シルエット』改訂版(1896)、『ロンドンの夜』第2版(1896)の序文や『文学におけるデカダンス運動』(1893)、『象徴主義の文学運動』(1899)の主著に詳しいが、その功績は、ペイターを師とする印象主義とフランス象徴主義を結び付け、新しい文学運動を起動すべき基本理念として定着させた点にある。1896年に創刊した雑誌『サボイ』は、ビアズリー、コンラッド、ダウソン、詩人で批評家のジョンスンLionel Pigot Johnson(1867―1902)などを紹介し、彼の理念を実践に移したものであった。
[前川祐一]
シモンズ(Julian Symons)
しもんず
Julian Symons
(1912―1994)
イギリスの詩人、評論家、推理作家。詩集『人に関する混乱』(1939)でデビュー、『20世紀詩』誌の名編集者として知られる。その後推理作家としてコミカルな作品を発表。論著『ディケンズ論』(1951)、『カーライル論』(1952)などで批評家としても活躍。その後新聞雑誌の文芸欄を担当、近著に推理小説の歴史書『血みどろの殺人』(1972)がある。
[船戸英夫]
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シモンズ
Arthur William Symons
生没年:1865-1945
イギリスの詩人,文芸批評家。フランスやイタリアで学び,早くからボードレールなど,フランスの象徴派詩人の価値を認め,イギリスにおいて象徴派文学運動および世紀末文学運動のもっとも早い推進者となった。詩集としては《昼と夜》(1889)など。フランスの詩作品の翻訳も多数ある。批評書としてはブラウニング研究(1886),ペーター研究(1932),ほかに《イギリス詩におけるロマン主義運動》(1909)など多数あるが,代表作は1899年に発表した《文学における象徴主義運動》で,イギリス国内に大きな影響を及ぼしたほか,国外にも感化が及んだ。例えば1913年にこの本は岩野泡鳴の手で訳され,《表象派の文学運動》という題で日本に紹介された。訳は必ずしもよいとはいえないが,大正から昭和初期にかけて文学者の間に衝撃をまき起こし,日本の象徴派文学に一つの紀元を画した。
執筆者:小池 滋
シモンズ
John Addington Symonds
生没年:1840-93
イギリスの著述家。オックスフォード大学に学んだが,病気のためイタリア,スイスに転地し,最後に南スイスのダボスに住んで,長い闘病生活を送りながら多くの著作をものした。主著は《イタリアのルネサンス》全7巻(1875-86)。そのほかに《ダンテ研究》(1872),ミケランジェロの評伝(1893),多くのイタリア文学翻訳もある。近代印象主義批評の先駆といわれる。
執筆者:小池 滋
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シモンズ
Symons, Arthur (William)
[生]1865.2.28. ペンブルックシャー,ミルフォードヘイブン
[没]1945.1.22. ケント,ウィターシャム
イギリスの詩人,批評家。変則的な教育を受けたのち,イェーツが創設した「詩人クラブ」に参加,『イエロー・ブック』などの前衛的な雑誌に寄稿,ボードレールをはじめフランス象徴派の詩人を紹介して,イギリスにおける象徴派運動の先駆者,そして世紀末文学を代表する詩人となる。詩集には『昼と夜』 Days and Nights (1889) ,『シルエット』 Silhouettes (92) ,『ロンドンの夜』 London Nights (95) ,『善悪の像』 Images of Good and Evil (99) 。また,雑誌『サボイ』 The Savoyをビアズリーとともに主宰 (96.1~12.) ,『文学における象徴主義運動』 Symbolist Movement in Literature (99) をはじめ多くの評論を書いた。
シモンズ
Symonds, John Addington
[生]1840.10.5. ブリストル
[没]1893.4.19. ローマ
イギリスの評論家。オックスフォード大学に学ぶ。健康に恵まれず,イタリアで闘病生活をおくりつつ著述に専念。主著は膨大なエッセー集ともいうべき文化史『イタリアにおけるルネサンス』 History of the Renaissance in Italy (7巻,1875~86) 。ほかに『イタリアおよびギリシア素描』 Sketches in Italy and Greece (74) などの評論,『シェリー』 Shelley (78) などの評伝,詩集『新と旧』 New and Old (80) ,チェリーニの『自叙伝』の翻訳 (88) がある。
シモンズ
Simmons, Duane B.
[生]1834
[没]1889.2.19. 東京
アメリカの医療宣教師。安政6 (1859) 年来日,翌 1860年開業医となり横浜で診療を行なった。明治3 (1870) 年大学東校 (東京大学の前身) の教師。 1873年から十全病院に勤務し,1877年のコレラ流行のときは,防疫の指導と協力を行なった。駆虫薬「セメンエン」を調剤したので,セメン先生といわれた。福沢諭吉の親交を得て慶應義塾内に居住し,日本の歴史研究も行なった。
シモンズ
Symons, Julian Gustave
[生]1912.5.30.
[没]1994.11.19. カンタベリー近郊
イギリスの詩人。詩が政治的傾向を帯びることを拒否した。雑誌『20世紀の詩』 Twentieth Century Verseを編集 (1937~39) し,詩集のほかに評伝,探偵小説がある。
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シモンズ
イギリスの女優。ローレンス・オリビエ制作・監督・主演の映画《ハムレット》(1948年)でオフィーリア役に抜擢され,ベネチア国際映画祭女優賞を受賞,一躍国際的女優となりハリウッドで活躍する。演技力と気品を備えた美人女優として数々の大作に出演した。主な出演作に《黒水仙》(1946年),《聖衣》(1953年),《野郎どもと女たち》(1955年),《大いなる西部》(1958年),《スパルタカス》(1960年)など。
シモンズ
英国の詩人,批評家。フランス象徴主義を論じた《文学における象徴主義運動》(1899年)は文学史上重要な役割を果たした。詩作は世紀末的傾向が強い。
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シモンズ
正式社名「シモンズ株式会社」。英文社名「SIMMONS CO., LTD.」。製造業。昭和39年(1964)「シモンズ・東京ベッド製造株式会社」設立。同42年(1967)「シモンズ・ジャパン株式会社」に改称。同60年(1985)「シムランド株式会社」に改称。平成元年(1989)現在の社名に変更。本社は東京都港区芝浦。ニフコ子会社のベッド会社。高級ベッドの製造・販売を行う。輸入家具の販売も手がける。
出典 講談社日本の企業がわかる事典2014-2015について 情報
シモンズ Simmons, Duane B.
1834-1889 アメリカの宣教師,医師。
安政6年(1859)に来日。横浜で伝道し,翌年居留地で医院をひらく。いったん離日し,明治2年再来日。大学東校の医学教師をへて,横浜の十全病院の設立につくし,J.C.ヘボンとともに名医として知られた。13年同病院を退職。福沢諭吉の知遇をえて,晩年は慶応義塾内に居住した。明治22年2月19日東京で死去。55歳。ニューヨーク出身。
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世界大百科事典(旧版)内のシモンズの言及
【エリオット】より
…1915年,ロンドンでイギリス女性と結婚,高校教師やロイド銀行員として生計を立てながら,文壇的交友を深め,著作にふけった。処女詩集《プルーフロックの恋歌》(1917)には,彼がアーサー・シモンズの《文学における象徴主義運動》を通して親しんだフランス世紀末詩人たち,とくにラフォルグやコルビエールの影響が見られ,アイロニカルな独白の語り口が巧みな効果をあげている。同じころ精力的に書いた評論では,彼のもう一つの影響源であるエリザベス朝劇作家や[形而上詩]人の再評価を唱えたが,彼の究極の狙いは当時の保守的な詩壇に衝撃を与えるような新しい詩的言語の創造であったろう。…
※「シモンズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」