ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ショルティ」の意味・わかりやすい解説
ショルティ
Solti, Sir Georg
[没]1997.9.5. フランス,アンティーブ
ハンガリー生まれのイギリスの指揮者,ピアニスト。本名 György Stern Solti。20世紀後半,世界で最も高く評価された指揮者の一人。特にロマン派の管弦楽曲やオペラの演奏に定評があった。ブダペストのリスト音楽院でバルトーク・ベーラやコダーイ・ゾルタンに師事。18歳のときブダペスト歌劇場の指導スタッフとなり,1938年に同歌劇場で指揮者としてデビュー。ユダヤ系であったため,第2次世界大戦が勃発すると身の安全を求めてスイスのチューリヒに逃れた。外国人であるため指揮者の職を得ることはできなかったが,1942年にジュネーブ国際コンクールのピアノ部門で優勝。戦後,1946~52年のバイエルン国立歌劇場を振り出しに,1952~60年フランクフルト市立歌劇場,1961~71年コベントガーデン歌劇場の音楽監督を歴任。1971年ナイトに叙され,1972年にイギリスの市民権を取得した。1969年から1991年までシカゴ交響楽団の音楽監督を務め,同楽団の世界的名声を復活させた。1972~75年パリ管弦楽団の首席指揮者にも就任,1971~73年にパリ国立歌劇場の音楽顧問,1979~83年にロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者兼芸術監督を務めた。指揮者としては躍動的かつ深い解釈に基づく演奏を特徴とし,ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト,ルートウィヒ・ファン・ベートーベン,フランツ・シューベルト,リヒアルト・ワーグナー,リヒアルト・ゲオルク・シュトラウス,グスタフ・マーラーなどのオペラや交響曲をはじめ,スケールの大きな作品で数々の名演奏を残した。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報