翻訳|show window
商品あるいはサービスに関連する展示を行い,道行く人に見せるための飾窓。ストアウィンドーstore windowともいう。次のような五つの機能,すなわち(1)道行く人に足を止めさせる足止め機能,(2)店内商品の代表的なものを展示し,店の取扱い領域を示す店舗紹介機能,(3)扱い商品のうち,魅力的なものを飾り,入店の動機づけを行う顧客誘導機能,(4)店づくりの主張やテーマを展示し,客の意識や審美眼に訴える主張機能,(5)店,街を美しくする美化機能,をもつ。ショーウィンドーが生まれたのは,板ガラスの普及以後のことである。アメリカでまず発達し,1840年ころには,北東部の大都市で現在のような店頭装飾のウィンドーが生まれた。次いで,60年代から70年代にかけて,イギリス,フランスでもさまざまなウィンドーがつくられている。とくにアメリカでは,バウムFrank Baum(《オズの魔法使い》の著者)により98年に全米窓業者協会が設立され,また,そのための専門誌《The Show Window》まで創刊されているほど,店頭装飾に対する関心が高い。
日本への導入は,20世紀に入ってからで,1903年,アメリカで欧米式陳列技術を研究して帰った三井呉服店の豊泉益三がつくったのが最初であった。次いで同じ年に,白木屋の新築落成と同時に,ショーウィンドーも開設された。その後,百貨店を中心につくられていき,15年には,飾窓専門誌《ウヰンドー画報》も創刊された。こうして近代的なディスプレー広告は広まっていった。ウィンドーの発達には,そこに商品を展示したいメーカーも力を入れ,たとえば森永製菓は,1921-22年に,小売店の店頭装飾競技会を各地で開催している。現在では,店舗の窓だけではなく,空港,ターミナル駅,人通りの多い地下道,映画館,劇場など,さまざまな場所に独立のショーウィンドーがつくられている。
執筆者:星野 匡
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
商品陳列窓をいう。ヨーロッパでは、商店内を見せていた窓が、徐々に展示に重点を置いたものへと移行していったと考えられるが、18世紀の商店にはすでにくふうされたショーウィンドーの例がみられる。日本では19世紀末または20世紀初めごろから、欧米の影響を受けながらショーウィンドー付き店舗が建てられるようになった。これは小売店経営の近代化を背景とし、座売り方式から陳列方式への販売方式の変化に対応するものでもあった。今日では、単なる商品展示だけではなく、専門のディスプレーデザイナーによるさまざまな表現手法の展開がみられるほか、設置場所が実際の店舗とは離れたアイランドウィンドーとよばれるもの、あるいは展示専用室としてのショールームなどが各地でつくられるようになっている。また、営業時間の短い欧米では、閉店後の展示を重視した店舗設計が行われ、全面ガラス張りとし照明をくふうするとともに、間口以上に展示面を確保するため平面が凹型となるようなショーウィンドーを設置し、後日の来客を獲得しようとする動きもみられる。
[髙田光雄]
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