翻訳|silica gel
水ガラス(ケイ酸ナトリウム)の水溶液に酸を加えることにより生成する含水ケイ酸ゲル(ヒドロゲル)を洗浄し,加熱脱水して得られる白色の固体で,二酸化ケイ素(シリカ)SiO2・nH2Oからなる。数nmの孔が無数に開いており,このため内部表面積は500~700m2/gに達する。水H2O,二酸化イオウSO2その他の極性物質を吸着する性質が強く,このため空気の乾燥剤として用いられる。一定量の水分を吸着すると除湿能力は失われるが,外見からこの状態を判定するためにシリカゲルに塩化コバルトをしみこませて青色とし,塩化コバルトが結晶水を得てその色が桃色に変わったことにより吸着能力を失った目安にするものもある。水分の吸着容量はそこで接する空気の関係湿度に対して吸着平衡関係によって定まる一定値をとるが,とくに低湿度で吸着容量の大きいA型と高湿度で吸着量の増加するB型がある。化学的にも安定で水にも不溶で無害であり,油中の水分除去にも用いられる。種々の化学反応において600~700℃までは比較的安定であるので,貴金属その他の触媒の担体として,またシリカゲル自身が触媒として用いられることも多い。
執筆者:鈴木 基之
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ケイ酸のゲルのこと。成分はSiO2・nH2Oである。水分子の数は条件によって変わる。天然に存在するケイ酸の多くはシリカゲルとして産する。合成品は、水ガラス(ケイ酸ナトリウム)水溶液と、硫酸または塩酸との複分解によって得られるシリカゾルをゲル化させる。普通、無色の粒状物として市販され、比重は2.2~2.3。酸には強いが濃アルカリ溶液に徐々に溶ける。水蒸気、アンモニアガスなど多くの物質に対して吸着力が強い。コバルト(Ⅱ)塩をしみ込ませたものは、無水のときは青色、吸湿すると淡紅色に変化する。淡紅色となったものを加熱すると脱水されて、ふたたび青色となり、乾燥剤として広く用いられる。そのほか、脱水剤、クロマトグラフィー用吸着剤、触媒の担体などとしても用いられる。
[守永健一・中原勝儼]
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組成式SiO2・nH2Oで表されるゲル状の固体.可溶性ケイ酸水溶液を鉱酸で分解し,ゾルを経由してゲル化させ,水洗してつくられる.四面体型SiO2が重合し,重合の切れ目にはOHが結合し,さらにそれが水和した構造をもっている.非晶質含水ケイ酸であって比表面積が大きく(数百 m2 g-1),吸着性がいちじるしいので,乾燥剤として広く用いられる.そのほか,吸着剤,触媒担体などにも用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…そのほかモレキュラーシーブ(分子ふるい)は,合成アルミノケイ酸アルカリで,三次元網目構造の結晶格子の空間に一定の大きさの分子のみをとりこむ物質で,水分子のみをとり出すモレキュラーシーブは精密な実験に適していることがある。またシリカゲルは活性な化学物質と違って,取扱いが容易であり,また安全性が高く,吸湿能力が低下しても加熱脱水することによって容易に再生できるので(塩化コバルトを吸着させたものは,青色のとき吸収能力があり,なくなるとピンクになる),タバコ,茶,のり(海苔)などの食品,医薬品などの防湿用に普通に用いられている。【中原 勝儼】。…
…ベントナイトの硫酸処理などにより製造される場合もある。酸性白土を酸処理してシリカゲル,アルミナシリカゲル,あるいは吸着能をさらに高めた(活性化した)活性白土などを製造する場合もある。【湊 秀雄】。…
…オパールはその一つで,密度は2.1~2.3g/cm3,融点は1600℃以上である。 実験室で可溶性のケイ酸塩水溶液に適当な酸を加えたコロイド状ケイ酸を蒸発乾固させると,しばしばシリカゲルと呼ばれる多孔質の無定形二酸化ケイ素が得られる。これを融剤とともに適当な温度,圧力で融解し,適当な熱力学的条件に保てば,条件に応じて,石英,リンケイ石,クリストバライトの任意の結晶が得られる。…
…日本では一般に乾式法が行われているが,高純度の可溶性白土が得られる条件があれば,湿式法が有利である。水ガラスは強いアルカリ性であるが,これを酸で中和して得られた沈殿を乾燥したものがシリカゲルで,乾燥剤として多量に使用されている。また,セッケンの製造用,接着剤用,土木工事における土質改良剤などの用途もある。…
※「シリカゲル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
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