ジョージアン様式(読み)ジョージアンヨウシキ

デジタル大辞泉 「ジョージアン様式」の意味・読み・例文・類語

ジョージアン‐ようしき〔‐ヤウシキ〕【ジョージアン様式】

英国ハノーバー朝国王ジョージ1世・2世・3世・4世の時代に行われた建築工芸様式。約100年の間に、古典回帰異国趣味などさまざまな様式がみられた。

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改訂新版 世界大百科事典 「ジョージアン様式」の意味・わかりやすい解説

ジョージアン様式 (ジョージアンようしき)

イギリス芸術の一傾向。ジョージアンGeorgianは,英国王ジョージ1世の即位(1714)からジョージ4世の没年(1830)に至る同名の4国王の時代につくられた建築,家具,銀器などにみられるすべての様式を包括する便宜的な呼称。したがっていくつかの様式的局面を含むが,建築上のジョージアン様式はまず前代の巨匠C.レンのバロック的業績に対する反動として始まった。すなわち古代ローマ建築の構造を重視する簡素なパラディオ主義が復活し,その信奉者イニゴ・ジョーンズへの回帰が企てられた。バーリントン伯の庇護下にコリン・キャンベルは《ウィトルウィウス・ブリタニクス》(1715)第1巻を,W.ケントは《イニゴ・ジョーンズのデザイン》(1727)と銘打った室内デザイン図集を刊行し,これらはイギリスにおけるパラディオ主義の住宅様式の指針となった。しかしこの間,壮麗なイギリス・バロックの頂点ともいうべきブレニム宮殿が完成し,ここに,フランス風の幾何学的庭園術に対して自然の景観を生かしたイギリス式造園法が確立された(庭園)。また古代回帰の風潮がさらに高まり,ローマのみならずエトルリアギリシア,エジプト,中近東なども含む異国風が流行した。18世紀中期以降,ヨーロッパ大陸のロココ趣味の波が及ぶと,それに付随した中国趣味(シノアズリー)や,ゴシック趣味(ゴシック・リバイバル)などもさかんに行われた。こうしてこの時代の後半にはロココ,中国趣味,ゴシック,ギリシアなどのさまざまの様式を折衷したデザインが流行することになるが,この傾向を個性的に総合した新古典主義的作品が建築家R.アダムによって実現し,その名をとってアダム様式と呼ばれた。ロンドンのホーム・ハウス(現,コートールド研究所)はその絶頂を示すものである。ジョージ4世の好んだ様式は別名リージェンシー様式と呼ばれる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジョージアン様式」の意味・わかりやすい解説

ジョージアン様式
じょーじあんようしき
Georgian style

イギリスのハノーバー朝、最初の4人の国王ジョージ1世、2世、3世、4世の治世(1714~1830)に行われた建築・工芸の様式。期間が100年余にわたるため様式的にもさまざまな局面を有している。前半はC・レンに代表されるバロックに対する反動から、W・ケントらを中心にパッラディオの復権が唱導され、イタリア・ルネサンス建築に範をとった種々の試みがなされた。高まりつつあった古代への憧憬(しょうけい)は、グランド・ツアーの流行と相まって、人々をローマからギリシア、さらに近東へと駆り立て、18世紀もなかば過ぎには中国趣味(シノワズリー)などの異国趣味やゴシック趣味の流行をも生み出すことになった。こうしたなかでロバート・アダムは、発見されたばかりのポンペイ遺跡などの研究に基づいて、軽快な装飾モチーフを駆使した優雅で端正な新古典主義建築を実現した。工芸では、陶磁器のJ・ウェッジウッドや家具のT・チッペンデール、T・シェラトンなどが目覚ましい活躍をみせている。

[谷田博行]

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「ジョージアン様式」の解説

ジョージアンようしき【ジョージアン様式】

イギリスのジョージ1世から4世までの時代(1714~1830年)の建築・工芸様式。イタリアの建築家パラディオに範をとった古典的様式。建築物ではロンドンのサマセットハウスが代表的。

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