セッカ(その他表記)fan-tailed warbler
Cisticola juncidis

改訂新版 世界大百科事典 「セッカ」の意味・わかりやすい解説

セッカ (雪加/雪下)
fan-tailed warbler
Cisticola juncidis

スズメ目ヒタキ科の鳥。全長約13cm。雌雄同色。体上面は黄褐色黒色の縦斑があり,下面は淡色。尾は先端が白く,くさび形をしていて扇状に広げる。春・夏季には全体にやや黒っぽくなる。アジア東南部,オーストラリア北部,南ヨーロッパ,アフリカの大部分に広く分布し,日本では北海道を除く各地に生息する。北日本のものは冬季温暖な地方に移動する。おもに乾燥した草原河川敷のヨシ原や水田にすむ。繁殖期になると雄はヒッヒッヒッと鳴きながら上昇し,次いでチャチャッチャチャッと鳴きながら舞い降りる。草の上に止まって同様に鳴くこともある。一夫多妻で繁殖するものが多い。雄はテリトリー内にいくつもの巣をつくり,そこに雌を引き付ける。巣はイネ科植物の葉をクモの糸で巧みに縫い合わせてつくり,上部の狭い壺形をしている。1腹の卵数は4~8個。抱卵育雛(いくすう)は雌だけが行う。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セッカ」の意味・わかりやすい解説

セッカ
Cisticola juncidis; zitting cisticola

スズメ目セッカ科。全長 12.5cm。背面は黄褐色地に黒斑があり,下面は灰白色。尾は開くと扇状になる。草原,河原,畑,高原などにすみ,繁殖期に雄はなわばりの草むらからときどき「ひっ,ひっ,ひっ」と鳴きながら舞い上がり,上空を旋回し,「じゃっ,じゃっ,じゃっ」と鳴いて舞い降りる。一夫多妻で,雄が草の葉をクモの糸で綴り合わせて楕円形の筒状の巣をつくり,雌を呼び込む。その後雌は単独で巣を完成させ,子育てを行なう。アフリカヨーロッパ南部からインドを経て東南アジアオーストラリア北部まで断続的に広く分布する。日本の北部や,朝鮮半島中国の北部で繁殖する鳥は,冬季には生息地の南部へ渡る。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セッカ」の意味・わかりやすい解説

セッカ
せっか / 雪下
雪加
fan-tailed warbler
[学] Cisticola juncidis

鳥綱スズメ目ヒタキ科ウグイス亜科の鳥。湿地の草原、高原などにすむ昆虫食の小鳥で、繁殖期の雄は、体のわりに大きな尾を広げて先端の白さを目だたせながら草むらから飛び出し、上昇しながらヒッヒッヒッと鳴き、下降しながらチャッチャッと鳴く独特のディスプレーを行う。全長約12センチメートル。上面は黄褐色で黒い縦斑(じゅうはん)があり、夏羽では黒みが強くなる。地中海沿岸、南アジア、フィリピン、オーストラリア北部に分布し、ほとんど渡りをしない。日本では、本州から八重山(やえやま)列島まで分布しており、雄が5~9月にイネ科植物の葉をクモの糸でまとめて巣をつくる。一夫多妻。卵数は4~7個である。生まれたその年のうちに繁殖する雌がある。鳥類ではほかに例がなく、注目されている。

[竹下信雄]

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百科事典マイペディア 「セッカ」の意味・わかりやすい解説

セッカ

ヒタキ科の鳥。翼長5.5cm。冬羽は頭上,背面が褐色で,黒褐色の縦斑がある。腹面は黄褐色。アフリカ,ヨーロッパ南部,インド,東南アジア,オーストラリアで繁殖。日本では沖縄を含む全国の草原,川原等にすむが,冬季は暖地へ渡る。ススキ等の草間にクモの糸とチガヤの穂等でコップ状の巣を作る。繁殖期にはヒッヒッヒッと鳴いて上昇し,ジャッジャッと鳴いて下降する。近縁種にオオセッカがいる。

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