オオセッカ(その他表記)Locustella pryeri; Japanese marsh warbler

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オオセッカ」の意味・わかりやすい解説

オオセッカ
Locustella pryeri; Japanese marsh warbler

スズメ目センニュウ科。全長 13cm。背面は赤褐色の地に黒色縦斑があり,腹面は褐色がかった白色で,眼上に黄白色の眉斑がある。ツメバケイに見られるような翼角(の曲がり)の爪が雛にも成鳥にもある。中国南部と日本にのみ分布し,2亜種に分類される。湖沼や川べりの湿生草原などに生息する。日本では,青森県秋田県少数繁殖し,千葉県越冬しているが,近年茨城県の霞ヶ浦千葉県の利根川河川敷などでも繁殖が確認された。繁殖期には雄が「じゅく,じゅく」とさえずる。日本にすむ亜種は環境省のレッドデータブックで絶滅危惧IB類に指定されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「オオセッカ」の意味・わかりやすい解説

オオセッカ
Japanese marsh warbler
Megalurus pryeri

スズメ目ヒタキ科の鳥。中国東北部と日本のそれぞれごく限られた地域にしか分布していない珍しい種。確実な繁殖地は,現在では青森秋田,利根川下流域からしか知られていない。全長約13cm,全体に赤みのある褐色をしており,体上面には黒い縦斑がある。ヨシやカヤツリグサ類からなる湿性草原で繁殖し,昆虫主食にしている。草むらの中を移り渡り,姿を見せることは少ないが,繁殖期,雄は草上から空中に短く飛び立ちながらよくさえずる。さえずりは,クチュクチュとかジュクジュクと聞こえる。6~8月に産卵,育雛(いくすう)を行う。巣はヨシの茎にかけ,5~6個の卵を産みこむ。秋・冬季には暖地に移行し,日本では本州中部以南の太平洋側の湿地で越冬するものが多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オオセッカ」の意味・わかりやすい解説

オオセッカ
おおせっか / 大雪加
Japanese marsh warbler
[学] Megalurus pryeri

鳥綱スズメ目ヒタキ科ウグイス亜科の鳥。日本の東北地方で繁殖し、関東、東海地方で越冬する。また、中国の遼東(りょうとう)湾沿岸地方で繁殖し、揚子江(ようすこう)流域で越冬する別の個体群もある。日本では1935年(昭和10)宮城県で初めて繁殖が確認されたが数年後に消滅し、1972年(昭和47)青森県、翌年秋田県で再発見された。全長約13センチメートル。上面は褐色で黒い縦斑(じゅうはん)があり、下面は白い。アシ、ススキケカモノハシなどの密生する湿地を好み、地上近くの草の茎に巣をつくり、5~6卵を産む。繁殖期には、独特のさえずり飛翔(ひしょう)をする。草につく昆虫をおもに食べる。特殊鳥類に指定されている。

[竹下信雄]

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百科事典マイペディア 「オオセッカ」の意味・わかりやすい解説

オオセッカ

ヒタキ科の鳥。翼長5.7cm。日本の一部と中国東北部にのみ生息する極東の固有種。国内全体で1000羽程度しかいないと見られる。セッカに似てやや大きい。背は茶褐色で黒い縦斑がある。尾羽は長めでくさび形。日本では青森,秋田,茨城,千葉の湿地にすみ,ススキやスゲの根元に球形の巣を作る。昆虫食。絶滅危惧IB類(環境省第4次レッドリスト)。
→関連項目仏沼

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