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セミケミカルパルプ semichemical pulp

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

セミケミカルパルプ
semichemical pulp

セミケミカル法で製造するパルプ機械パルプ化学パルプの中間の性状を有し,高歩どまりで収率は 65~85%。木材チップを蒸解して中程度軟化させたのち,リファイナーで解繊し,繊維化する。蒸解薬剤により酸性法,中性法,アルカリ法の3種の製法がある。一般に製造されるの性質としては,剛度,密度が高く,不透明性が低い。漂白したさらしパルプは化学パルプに混合して使用され,未漂白の未さらしパルプは板紙段ボール芯紙,特殊板紙,新聞用紙などとして利用される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

セミケミカルパルプ
せみけみかるぱるぷ
semichemical pulp

セミケミカル法で製造したパルプ。略称SCP。半化学パルプともいう。針葉樹チップでも広葉樹チップでもパルプ原料として使え、機械パルプのように収率が高く、化学パルプのように強度の優れたパルプが得られる製法を求めた結果生まれたものである。セミケミカル法は、基本的操作としては木材チップを機械処理する前に、蒸解薬液で軽度の蒸解(煮てパルプ化すること)をして木材を幾分やわらかくし、機械的に解繊処理してパルプを得る方法である。パルプの収率を60~90%の間で任意に選ぶことができ、得られるセミケミカルパルプは、原料と選んだ蒸解薬液とその収率に相応の強度が期待できる。収率が高いわりに強度が大きいが、製法からいって機械パルプと化学パルプの長所と短所をもっている。木材が高く電力が安いときには生産が大きく伸びたが、その逆に木材は比較的安く集められるが電力が高くなると、産業として成長が止まるか下降してしまう。
 日本では広葉樹をパルプ原料として使える画期的方法として歓迎され、1953年(昭和28)に導入された。前段の化学処理法としてはアルカリ法(AP法)、亜硫酸法(SP法)およびクラフト法(KP法)の蒸解薬液が使用できたが、とくに亜硫酸法によるものが優れていた。亜硫酸法のうちでも酸性亜硫酸セミケミカル法で得られたパルプは、収率、強度および白色度が高く、それまで新聞用紙の抄造(しょうぞう)の際のつなぎに用いていた化学パルプの亜硫酸法にかわって使われた。ナトリウムを塩基として用いた中性亜硫酸セミケミカルパルプ(NSSCP)は色が褐色ではあったが、漂白がクラフト法に比べて容易で、晒(さらし)パルプは一時印刷用紙の製造に使われた。また未晒(みさらし)パルプは段ボールの板紙用パルプとして収率、品質、強度が優れているとしてもっとも広く利用され、その需要の伸びは著しかった。なお後段の機械処理としてはディスクリファイナーとよばれる解繊機に、化学処理後の木材チップを通すことによってパルプが連続的に生産されるようになった。
 セミケミカル法は1970年代の後半になって課された厳しい公害規制に適合する廃液の処理が困難だったこと、ほぼ同時におきたオイル・ショックにより石油製品と燃料および電力の高騰がパルプの原価を押し上げたことなどが重なり、需要は伸び悩んだ。さらに地球環境問題から古紙の回収と再生利用が至上の課題となるに及んで、産業を取り巻く環境が激変した。板紙の原料のほとんどが古紙の再生パルプに置き換えられて、日本ではセミケミカルパルプの使命は終わったかにみえる。しかしセミケミカル法とともに生まれたディスクリファイナーは機械パルプの製法を変え、また製紙工場からそれまで主力であった叩解機(こうかいき)ビーターを駆逐するなど紙パルプ産業に大きな影響を与えた。[御田昭雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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