改訂新版 世界大百科事典 「センキュウ」の意味・わかりやすい解説
センキュウ
Cnidium officinale Makino
薬用植物として栽培される中国原産のセリ科の多年草。茎は30~60cm,中空で円柱形。葉は2回3出羽状複葉で,小葉は欠刻および鋸歯があり,葉柄の基部は広い鞘(さや)状となって茎を抱く。8~9月ころ,枝先に複散形花序を作って,小さい白い花を多数つける。果実はできない。地下には太い塊状の根茎がある。根茎を70℃くらいの湯に15分ほど湯通しして乾かしたものを,生薬では川芎(せんきゆう)と呼ぶ。夏の涼しい本州中部以北の高原や,北海道で多く栽培される。ただし中国産のものにはLigusticum chuanxiong Hort.が用いられるが,繁用される生薬であるにもかかわらず,基原植物についてはなお不明な点がある。精油を含み,その成分はクニディライドcnidilide,リグスティライドligustilideなどである。川芎は強壮・鎮痛作用があり,他の生薬と配合して婦人病,脳溢血,脳血栓による半身不随,高血圧や感冒などの頭痛,神経痛や関節リウマチに用いられる。
センキュウと同じ属のハマゼリC.japonicum Miq.は海岸に生える二年草で,葉は羽状に分かれ,やや肉質で光沢があり,茎は10~30cm,夏に白い小さい花を複散形花序につける。果実は球形で太い肋がある。日本と中国北部に分布する。
執筆者:村田 源+新田 あや
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報