(読み)セン

デジタル大辞泉 「潜」の意味・読み・例文・類語

せん【潜〔潛〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]セン(漢) [訓]ひそむ もぐる くぐる かずく ひそかに
水中にもぐる。「潜航潜水
中にひそんで表面に現れない。「潜居潜行潜在潜伏
思いをひそめる。物事に没頭する。「潜心沈潜
潜水艦」の略。「原潜
[名のり]すみ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「潜」の意味・読み・例文・類語

むぐり【潜】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「むぐる(潜)」の連用形の名詞化 )
  2. 水中にもぐること。また、その人。もぐり。〔和英語林集成(再版)(1872)〕
  3. こっそりと入り込むこと。潜入すること。また、その人。もぐり。
    1. [初出の実例]「深川の住人、桜川善好、むぐりながらもこれにあり」(出典:歌舞伎・御国入曾我中村(1825)中幕)
  4. 無許可で、縁日などで芸を披露し、稼いでいる人。もぐり。
    1. [初出の実例]「ムグリといふ者あり、芸人の鑑札を有せずして夜縁日に出でて三味線等を弾ける者、年取れる婦女多し」(出典:日本の下層社会(1899)〈横山源之助〉一)
  5. 鳥「かいつぶり(鸊鷉)」の異名。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「(にほ)はムグリといふ、池沼に棲み水に遊泳する事甚巧なり」(出典:博物図教授法(1876‐77)〈安倍為任〉二)

もぐり【潜】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「もぐる(潜)」の連用形の名詞化 )
  2. 水にもぐること。また、その人。その役目、職業などにもいう。むぐり。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「此辺には潜夫(モグリ)群居して、遊客の為めに身を逆にし海水に没入し鮑若くは海老、栄螺等を捕へ来る」(出典:風俗画報‐一七一号(1898)江之島の部)
  3. 法を犯し、こっそりと行なうこと。無許可、無免許で物事を行なうこと。無資格で行なうこと。また、その人。名詞の上に付けて用いることもある。
    1. [初出の実例]「もぐりなら、構はねえ、頭(かしら)の所へ引きずって行くが可(い)いわな」(出典:人情本・春色雪の梅(1838‐42頃か)初)
  4. ある特定の土地以外の者や仲間でない者が、素姓を隠して仲間のような様子をしていること。また、その人。
    1. [初出の実例]「柳橋で西巻さんを知らなかったらそれこそモグリ」(出典:春泥(1928)〈久保田万太郎〉みぞれ)

くぐり【潜】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「くぐる(潜)」の連用形の名詞化 )
  2. くぐること。
  3. くぐりど(潜戸)」、または「くぐりもん(潜門)」の略。
    1. [初出の実例]「然間東の門あけ候てと申〈略〉仍くぐりばかりあきたるとて候」(出典:石山本願寺日記‐証如上人日記・天文七年(1538)正月八日)
    2. 「くぐりのすこし明たる所より、そと入れてかへりしに」(出典:浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)二)
  4. 茶室建築で、潜って出入りするようにつくった露路口、中潜、躙口(にじりぐち)などをいう。
    1. [初出の実例]「せばき物之しなじな〈略〉ろぢ口のくぐり」(出典:仮名草子・尤双紙(1632)上)

かずきかづき【潜】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かつぎ」とも )
  2. ( ━する ) 水中にもぐること。水中にもぐって魚介などを採ること。
    1. [初出の実例]「淡海の海に 迦豆岐(カヅキ)せなわ」(出典:古事記(712)中・歌謡)
    2. 「海女(あま)のかづきしに入るは」(出典:枕草子(10C終)三〇六)
  3. 海にもぐって魚介などを採ることを業とする者。
    1. [初出の実例]「あま・かづき召しつどへて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上上)

かつぎ【潜】

  1. 〘 名詞 〙かずき(潜)

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普及版 字通 「潜」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 15画

(旧字)潛
15画

[字音] セン
[字訓] くぐる・もぐる・ひそむ・ひそかに

[説文解字]
[その他]

[字形] 形声
旧字は潛に作り、(しん)声。は祝を収める器の曰(えつ)の上に、(かんざし)をおいて、ひそかに呪詛し、譖毀(しんき)を加える呪儀を示す。ひそかに行為する義があり、水を潜行することを潜という。〔説文〕十一上に「水をるなり。一に曰く、(かく)るるなり。一に曰く、水を潛と爲す」という。漢水に、伏流するところがある。人に知られずに行動することを潜行・潜伏のようにいい、ものに没頭することを沈潜という。

[訓義]
1. くぐる、もぐる。
2. ひそむ、かくれる、ひそかに。
3. ふかい、ふち。

[古辞書の訓]
和名抄〕潛女 加豆米(かづきめ) 〔名義抄〕潛 クグル・シヅム・カクル・ヒソカニ・ククル・トホル・カヨフ・フカシ・カヅク・カナカキ・カフシ・ヤウヤク・イヤ

[熟語]
潜逸・潜隠・潜運・潜翳・潜淵・潜演・潜・潜懐・潜涵・潜感・潜逵・潜暉・潜擬・潜・潜牛・潜居・潜虚・潜魚・潜・潜形・潜計・潜結・潜見・潜候・潜行・潜蛟・潜在・潜・潜志・潜伺・潜徙・潜識・潜収・潜女・潜蹤・潜心・潜神・潜深・潜水・潜精・潜声・潜勢・潜跡・潜然・潜踪・潜・潜蟄・潜聴・潜通・潜邸・潜図・潜匿・潜徳・潜頓・潜入・潜波・潜璞・潜避・潜夫・潜伏・潜兵・潜謀・潜没・潜躍・潜竜・潜・潜霊
[下接語]
陰潜・隠潜・淵潜・潜・形潜・思潜・心潜・深潜・沈潜・逃潜・韜潜・幽潜・竜潜

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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