セントルシア(読み)せんとるしあ(その他表記)Saint Lucia

翻訳|Saint Lucia

デジタル大辞泉 「セントルシア」の意味・読み・例文・類語

セント‐ルシア(Saint Lucia)

西インド諸島東部、小アンティル諸島中部にある国。セントルシア島を占める。首都カストリーズ。1979年に英連邦一国として独立主産物バナナ観光業も盛ん。人口18万(2021)。

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精選版 日本国語大辞典 「セントルシア」の意味・読み・例文・類語

セント‐ルシア

  1. ( Saint Lucia ) 西インド諸島東部、ウィンドワード諸島にある国。一九七九年独立。イギリス連邦加盟の立憲君主国。バナナ、ココナッツを産する。首都カストリーズ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セントルシア」の意味・わかりやすい解説

セント・ルシア
せんとるしあ
Saint Lucia

中央アメリカの西インド諸島東部、小アンティル諸島中のウィンドワード諸島にあるセント・ルシア島を国土とする国。面積616平方キロメートル、人口16万7000(2006年推計)、17万2000(2008年推計)。首都はカストリーズ。セント・ルシア島は火山性の島で、島の南部には最高峰のギミー山(950メートル)とピトンズとよばれる双子火山があり、これらの山地を熱帯雨林が覆っている。この双子火山は2004年に「ピトンズ・マネジメント・エリア」(ピトン管理地域)として世界自然遺産に登録された。なお、セント・ルシアの名称は、コロンブスが島を「発見」したとされる日が聖人ルチアの祝日であったことに由来するといわれている。

 1605年と1638年の二度にわたってイギリス人が入植を試みたが、先住民のカリブ人に殺害されるかあるいは追い出された。1660年にフランス人が入植に成功したが、その後150年間にわたってフランスとイギリスが島の領有を争い、14回も帰属がかわった。1814年のパリ条約によって最終的にイギリス領となった。1967年にイギリスの自治領となり、1979年2月イギリス連邦の一員として独立した。同年に国連加盟

 政体は立憲君主制で、元首イギリス国王。議会は二院制で、上院は11議席でイギリス国王の代理である総督が議員を任命する。下院は17議席で、直接選挙により議員を選出する。ともに任期は5年。首相は、下院多数派の代表が総督の任命により就任し、内閣を組閣する。

 おもな産業は農業で、肥沃(ひよく)な火山性土壌を利用してバナナ、ココナッツ、マンゴーアボカド、柑橘(かんきつ)類が輸出用に栽培され、なかでもバナナは輸出総額の約25%を占めている(2005)。これらの農業活動は、所有農地2ヘクタール以下の小農民が中心に行っている。2001年以降減少していた観光客数は、2004年から増加に転じ、観光業からの収入は輸出総額を超え、セント・ルシアの重要な産業となっている。アメリカからの観光客が全体の35%を占める(2005)。バナナの輸出による収入は1960年代から国家の発展に寄与してきたが、ラテンアメリカ諸国からの安いバナナとの競合やEU諸国の貿易特恵が無くなったことによってバナナ産業は衰退している。政府は農業生産の多角化を促進するために、農民にココア、マンゴー、アボカドの栽培を奨励している。通貨は東カリブ・ドル(ECドル)。

 公用語は英語で、フランス語と先住民の言語との混合語のパトワ語(クレオール語)も使われている。住民の大部分(96%)はアフリカ系黒人とその混血で、3%がインド系。白人は1%に満たない。

 宗教はキリスト教カトリックが大部分を占め、ほかにイギリス国教会など。

 日本とは1980年(昭和55)に外交を樹立。貿易では、日本へ可変抵抗器、温度計、バイロメーター、光学媒体などを輸出しているが、輸出額はわずかである。日本からは自動車などを輸入し、輸入額は8.7億円である(2010)。

[菅野峰明]


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改訂新版 世界大百科事典 「セントルシア」の意味・わかりやすい解説

セントルシア
Saint Lucia

基本情報
正式名称=セントルシアSaint Lucia 
面積=616km2 
人口(2010)=17万人 
首都=カストリーズCastries(日本との時差=-13時間) 
主要言語=英語,パトア語 
通貨=東カリブ・ドルEast Caribbean Dollar

カリブ海東方,小アンティル諸島南部のウィンドワード諸島にある単独の島国。火山島で,地形は山がちであるが,肥沃な土地に恵まれ,最高峰のモーンギミ山(950m)を中心とする放射状の河川沿いに耕地が開けている。住民は,ほとんどがアフリカ系黒人かその混血だが,インド系住民や白人も若干見られる。公用語は英語だが,実質的にフランス領であった時期が長いため,フランス語系のクレオール語が広く使われるなど,フランス領時代の文化的伝統が色濃く残っている。カトリックの信者が多いこともその一つの現れである。首都のカストリーズが最大の都市で,人口は約5万5000人である。

 1502年12月13日の聖ルキアの日(国の祝日)にコロンブスが〈発見〉したといわれているが,ヨーロッパ人による〈発見〉の年代は定かではない。17世紀に入ってイギリス人,フランス人,オランダ人らが入植を試みたが,疫病と先住民カリブ族の抵抗にあい,いずれも失敗した。その後17世紀半ばにフランス人が入植に成功し,カリブ族と平和協定を結んで植民を進めた。18世紀半ばにカリブ海で砂糖生産が盛んになると,島の領有をめぐって英仏が対立するようになり,1814年のパリ条約でイギリスへの帰属が確定した。この間,英仏両国はアフリカから奴隷を移入し,彼らの子孫が今日の住民の大部分を占めている。20世紀に入ってからしだいに民主制が導入されるようになり,1958年には西インド諸島連合の結成に参加した。同連合解体後は67年に内政自治権を獲得したが,74年のカリブ共同市場加盟後,独立の要求が高まり,78年12月のイギリス議会の承認を経て,翌79年2月22日独立を達成した。イギリス連邦内の自治国で,英国女王の名代である総督が形式上統治する。議会は総督指名制の上院(11名)と選挙制の下院(17名)から成り,下院の多数党党首が内閣を組織する。東カリブ諸国機構に加盟しており,司法は東カリブ裁判機構に属する。

 かつてこの島の基幹産業であったサトウキビ栽培は,現在ではバナナ栽培と観光業によってとって代わられている。このうち,バナナの他にマンゴー,ココナッツ,カカオなど輸出用作物を中心とする農業部門は,国内総生産の14%,就業人口の40%を占めている。その中でも最も重要なのは輸出の約6割に及ぶバナナであるが,ハリケーンなど天候に左右される弱点があるほか,主要輸出先のEUが優遇措置の撤廃を検討するなど不確定要素が多いため,産業の多角化が急務である。工業は農産加工が主体だが,外資による輸出向け軽工業が伸びている。輸入では食料と工業製品が多く,貿易は恒常的な赤字で,外国借款や観光収入で補っている。輸出ではイギリス,輸入ではアメリカが最大の相手国である。1995年の1人当り国民総生産は3370ドル。
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百科事典マイペディア 「セントルシア」の意味・わかりやすい解説

セントルシア

◎正式名称−セントルシアSaint Lucia。◎面積−617km2。◎人口−17万人(2010)。◎首都−カストリーズCastries(2万2000人,2010)。◎住民−黒人系97%,白人3%。◎宗教−カトリック約80%。◎言語−英語(公用語),パトア語。◎通貨−東カリブ・ドルEastern Caribbean Dollar。◎元首−英女王エリザベス2世,総督ルイジPearlette Louisy(1997年9月就任)が代行。◎首相−アンソニーKenny Anthony(2011年12月発足)。◎憲法−1979年2月発効。◎国会−二院制。上院(定員11,総督が任命,任期5年),下院(定員17,任期5年)。最近の選挙は2011年11月。◎GDP−10億ドル(2008)。◎1人当りGNP−5110ドル(2006)。◎農林・漁業就業者比率−9%(1992)。◎平均寿命−男72.2歳,女77.5歳(2013)。◎乳児死亡率−14‰(2010)。◎識字率−90.1%(2003)。    *    *中米,西インド諸島中のウィンドワード諸島にある島国。火山があり,全体に山がち。バナナ,サトウキビ,柑橘(かんきつ)類の栽培が行われる。固有のバードウォッチングやハーブ庭園の整備など,近年はエコツーリズムへの取組みを強化している。 1502年コロンブスが到達。1650年にフランス人が入植したが,島の領有をめぐって英国と激しく争ったすえ,1814年のパリ条約で英領となった。1967年自治権を獲得し,1979年2月独立,イギリス連邦の40番目の加盟国となった。2007年9月コンプトン首相が死去し,キング首相代行が新首相に就任した。2011年11月の選挙では野党SLPが11議席を獲得し,政権を奪還。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セントルシア」の意味・わかりやすい解説

セントルシア
Saint Lucia

正式名称 セントルシア。
面積 617km2
人口 18万2500(2021推計)。
首都 カストリーズ

西インド諸島東部,小アンティル諸島南東部,ウィンドワード諸島中部にある島国。火山島で,南西部の旧火口に硫黄温泉が湧出。森林に覆われた山地が南北に延び,最高点 959m。多くの河川が山地を流下し,肥沃な河谷を形成。熱帯気候に属し,1~4月が乾季。年降水量は沿岸部で 1300mm,内陸部で 3000mm。1605年と 1638年にイギリス人が植民を試みたが失敗,1650年フランス人が入植。その後数回にわたりイギリスとフランスが領有権をめぐって紛争,1814年最終的にイギリス領となった。1967年西インド諸島連合州に加盟し,その一州として完全な内政自治権を獲得したのち,1979年2月22日独立し,イギリス連邦の構成国となった。住民の大部分は奴隷として連れてこられたアフリカ系黒人。公用語は英語。主産業は農業で,バナナを中心にココヤシ,カカオなどの栽培が盛ん。ラム酒,ココヤシ製品(コプラ,食用油,石鹸),たばこ,果実缶詰などの製造工業もあり,観光業も重要。

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