セーガン(読み)せーがん(英語表記)Carl Edward Sagan

デジタル大辞泉 「セーガン」の意味・読み・例文・類語

セーガン(Carl Edward Sagan)

[1934~1996]米国の天文学者・SF作家。NASA顧問としてアポロ計画などに関わったほか、火星や土星の研究に業績を残した。科学啓蒙書や小説も発表。作「コスモス」「コンタクト」など。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セーガン」の意味・わかりやすい解説

セーガン
せーがん
Carl Edward Sagan
(1934―1996)

アメリカの天文学者、SF作家。ニューヨーク市に生まれる。シカゴ大学で1960年に博士号を取得、その後、1960年から1962年までカリフォルニア大学バークリー校の研究員、1962年から1968年までスミソニアン天体物理観測所の研究員およびハーバード大学の講師、のち助教授。1968年にコーネル大学惑星科学研究所の所長に就任、1971年教授となった。おもな研究としては、惑星大気の物理と化学(とくに金星の表面温度、火星の山脈の存在)、地球原始大気での生命起源の研究(アデノシン三リン酸ATP)など生命に重要な物質の生成について)などがある。また、研究とは別に、多重核爆発による地球の結末、寒冷化現象を描いた「核の冬」という理論で核戦争の結末について警告したり、地球外知的生命体との接触を描いたSF『コンタクト』(のちに映画化された)やテレビシリーズで好評になった『コスモス』も書いた。そのほか、NASA(ナサ)(アメリカ航空宇宙局)の惑星探査計画の大半に関与し、アメリカの天文学者ドレイクFrank Donald Drake(1930―2022)とともにボイジャーゴールデンレコード(地球外の知的生命に向けたメッセージを刻んだ金属板)を作成した。惑星協会設立、地球外への人類進出を促すテラ・フォーミング(惑星の地球化)の提唱、ビッグ・バンから始まった宇宙の歴史を1年で表す宇宙カレンダーの考え方を示すなど、天文学の普及・啓蒙(けいもう)に多大な貢献をした。

[編集部 2023年4月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セーガン」の意味・わかりやすい解説

セーガン
Sagan, Carl

[生]1934.11.9. ニューヨーク,ニューヨーク
[没]1996.12.20. ワシントン,シアトル
アメリカ合衆国の天文学者,科学ジャーナリスト。フルネーム Carl Edward Sagan。シカゴ大学で学び,1955年物理学学士号,1956年同修士号,1960年天文学と天体物理学の博士号を取得。1960~62年カリフォルニア大学バークレー校で天文学の特別研究員を務め,1962~68年ハーバード大学とスミソニアン天体物理観測所に勤務。地球以外の天体に生命が存在する可能性に関心をもち,地球外文明探査計画セティ進展に貢献した。1968年にコーネル大学惑星研究所所長となり,1971年に同大学教授に就任。火星探査機バイキング(→バイキング計画)の着陸地点の選択や,太陽系外に向けて打ち上げられた探査機パイオニアボイジャーに搭載する地球からのメッセージの作成などに協力した。宇宙生物学における惑星大気および地球上の生命の起源について重要な研究を行なったが,その名声は科学的知識を広めるために天文学をわかりやすく説明したことに負うところが大きい。1980年放映のテレビ・シリーズ『コスモス』Cosmosで名声は頂点に達し,同名の本はベストセラーになった。その後も何冊か本を執筆し,SF小説『コンタクト』Contact(1985)は 1997年に映画化されてヒットした。1983年に発表した共同執筆論文では,核戦争後に地球が冷却して壊滅する「核の冬」という概念を提唱した。1978年に『エデンの恐竜』The Dragons of Edenでピュリッツァー賞(一般ノンフィクション部門)を受賞するなど,数々の賞に輝いた。1994年アメリカ科学アカデミーからパブリック・ウェルフェア・メダルを授与されたが,アカデミーへの入会は認められなかった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「セーガン」の意味・わかりやすい解説

セーガン

アメリカの天体物理学者。ニューヨーク生れ。シカゴ大学卒業。ハーバード大学で後進の育成にあたり,のちにコーネル大学教授となった。1980年には宇宙探査の啓蒙および地球外生命の調査を目的としたNPOの惑星協会を設立。専門の惑星研究のほか,宇宙の生成・進化などを分かりやすく解説したことで知られる。宇宙の歴史150億年を1年間にした〈宇宙カレンダー〉などで知られる著書《エデンの恐竜―知能の源流をたずねて》は,1978年にピュリッツァー賞一般ノンフィクション部門を受賞。ドキュメンタリーのテレビ番組《コスモス》では自ら司会を務め,同番組は日本でも放映され話題を集めた。SF作家としての顔ももち,SF小説《コンタクト》は映画化されている。核戦争が氷河期を引き起こすという〈核の冬〉の提唱者の一人でもある。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android