改訂新版 世界大百科事典 「ソグド語」の意味・わかりやすい解説
ソグド語 (ソグドご)
Sogdian
インド・ヨーロッパ語族中,中世イラン語に所属し,本来は,サマルカンドやブハラを中心に栄えた古代ソグディアナで用いられていた言語。後にその使用者であるソグド人の商業・宗教活動に伴ってしだいに使用範囲が東方へと拡大していった。最も東は中国の西安や洛陽,北はモンゴル高原のオルホン川近辺,南はチベット西端のラダックあたりにもその使用が確認されている。ソグド語はソグド文献と呼ばれる文献に数種類の文字を用いて書き残されているが,最もよく利用されたソグド文字はアラム文字に由来すると一般に信じられ,表音文字であるが子音字のみからなり右横書きである。この文字はソグド文献内では書簡体文字,仏典文字,草書体文字と呼びうる字体に発達し,後に草書体文字はウイグルに借用されてウイグル文字となった。ソグド語は,タジク共和国ゼラフシャン(ザラフシャン)川上流のヤグノビYaghnobi峡谷で現在話されている東イラン語のヤグノビ方言と近親関係にあるという。
執筆者:庄垣内 正弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報