翻訳|Tagalog
フィリピンのマニラを中心とする諸州に行われる言語で,アウストロネシア語族のうち西部語派(インドネシア語派)に属する。タガログ語を母語とする人口は約1000万(1975)で,それはフィリピン全人口の4分の1にみたないが,1937年にすでにフィリピンの国語に指定され(このタガログ語を基礎とした共通語はピリピノ語Pilipinoと呼ばれる),小学校の正課として教えられているから,タガログ語を理解する人口は多い。タガログ語と最も近い関係にある言語は,ルソン島南端のビコル語Bicolと,パナイ島,サマル島,レイテ島に行われる北部ビサヤ諸語(ビサヤ語)である。タガログ語の音素は/a,e,i,o,u,p,t,k,,b,d,ɡ,m,n,ŋ,s,h,l,r,w,y/および母音の長短である。語順はVSO(動・主・目(客))あるいはVOS(Sが代名詞の場合は常にVSO)。修飾語は1語ならば被修飾語の前に,長ければ後に現れる。動詞は態・相によってかなり複雑に変化する。
執筆者:土田 滋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
オーストロネシア語族西部語派に属するフィリピン諸語の一つ。マニラを中心としたルソン島中部、ミンドロ島低地の言語。母語率は全人口の約24%で第2位。公用語フィリピノPilipino語(理解率60%)の母体となった。スペイン語、英語からの借用語が多い。母音5、子音15のローマ字を用いるが、古くはインド系の文字を使用していた。アクセントは語末から2番目の音節にくることが多い。音節は子音+母音、子音+母音+子音が基本である。語構成には、接辞、重複が重要な働きをする。基本的な文構造は、動詞―目的語―主語。格標示にはang, ng, saの3クラス、動詞には不定、未然、完了、未完了の4相がある。Kumain ng isdâ ang batà(食べた―目的格―魚―主格―子供)「その子は魚を食べた」、Kinain ng isdâ ang batà「その子は魚が食べた」。動詞kainに割って入った接辞umとinは完了を表すとともに、umはangに導かれて主語になっている句が行為者であることを、またinはangに導かれて主語になっている句が対象物であることを示している。
[山田幸宏]
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オーストロネシア語族に属し,主としてマニラ首都圏および周辺の諸州で使用されているフィリピン最大の土着言語。1987年憲法で,この言語を母体としたフィリピノ語が国語に制定された。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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