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タントラ仏教 タントラぶっきょうTantric Buddhism

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

タントラ仏教
タントラぶっきょう
Tantric Buddhism

7世紀頃からインドに栄えたタントラ教の影響を受けた秘密仏教。現世の幸福,快楽を肯定し,衆生は本来仏性をもつということから,大日如来を中心とする諸仏を念じ,陀羅尼を誦し,曼荼羅や印契などを用いる特有の儀礼や修行にあずかることにより,究極の真理に達し,仏となることができるとするもの。インドでは 770年頃にダルマパーラ王が建立したガンジス川河岸のビクラマシーラ寺院がタントラ仏教の中心道場となったが,8世紀に仏教がチベットに伝えられたときに,タントラ仏教の学者パドマサンババによって紹介され,チベット古来のポン教と混合して,特異な発達をとげた。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

タントラ仏教
たんとらぶっきょう

タントラtantraとよばれる聖典に基づく仏教。密教の別名。タントラとは、一説に、スートラ=経(たて糸)に対して緯(よこ糸)を意味するとされるが、事実、タントラ文献は、それまでのスートラの仏教においては禁忌であった性的な表現と性的な実践を意識的に導入した点に特色があり、この意味でタントラ仏教は、通常の穏健な密教(右道)に対して、堕落した、いかがわしいというマイナスの評価を負う左道密教同義語とされる。しかし、後代になると密教文献はすべてタントラとみなされ、(1)所作(しょさ)タントラ、(2)行(ぎょう)タントラ、(3)瑜伽(ゆが)タントラ、(4)無上瑜伽タントラの4種に分類された。これらのうち、(1)はいわゆる雑密(ぞうみつ)(雑部密教)経典に対応する。純密(純粋密教)の『大日経』は(2)に、同じく『金剛頂経(こんごうちょうぎょう)』は(3)に属する。なお、密教の典籍がタントラとよばれるようになるのは、『金剛頂経』の付録部分からである。(4)はさらに〔1〕方便(ほうべん)タントラ(父タントラ)、〔2〕般若(はんにゃ)タントラ(母タントラ)、〔3〕般若方便タントラ(不二(ふに)タントラ)に分けられる。父タントラの代表は『秘密集会タントラ』であり、『ヘーバジュラ・タントラ』やサンバラ系の諸タントラは母タントラに属してタントラ仏教のピークを現出する。『時輪(じりん)タントラ』は不二タントラとされる。[津田眞一]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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世界大百科事典内のタントラ仏教の言及

【荼枳尼天】より

…人を害する鬼女として恐れられるが,手段を講じてなだめれば非常な恩恵をもたらす。タントラ仏教では彼女ら(〈母〉たち,現実には,特殊な魔術的能力を有するとされる低賤カーストの女性たち)のグループ(荼枳尼網)を,世界の究極的実在としての女性原理であり,悟りを生む知恵でもある〈般若波羅蜜〉とみなし,それと性的に瑜伽(ヨーガ,合一)することによって即身成仏の実現を期する。【津田 真一】 自在の通力を有する夜叉鬼である荼枳尼天の修法は,日本では諸願成就の外法として鎌倉時代ころから行われていたらしい。…

【密教】より

…さらにその女性原理的霊力の顕現である大母神ないしその下位の多種多様な神格の崇拝に,先住民的ヨーガの実修をも併せ,これら多様な土俗的要素を包摂した原インド的実体を有している。 歴史的には雑密(ぞうみつ),純密,タントラ仏教という過程をとって展開する。第1の雑密とは,世界の女性原理的霊力をそれと同置された呪文,術語でいう真言(しんごん)(マントラ),明呪(みようじゆ)(ビディヤーvidyā),陀羅尼(だらに)(ダーラニー)等の誦持によってコントロールし,各種の目的(治痛,息災,財福の獲得など)を達しようとするものである。…

【ラマ教】より

…翌843年王位継承をめぐって王室は南北に分裂し,崩壊した。 王朝が滅び,国家による援助と規制とがなくなると,禁制のタントラ仏教(密教),禅宗,ボン教が復活して民間に蔓延し,一部に混交もあったが,その間に仏教信仰のゆるがぬ基盤が固まった。11世紀に入ると,東北チベットに吐蕃(とばん)王家の末裔が建てた青唐王国が興り,仏教は昔日の繁栄をとり戻した。…

※「タントラ仏教」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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