不二(読み)フジ

デジタル大辞泉 「不二」の意味・読み・例文・類語

ふ‐じ【不二】


二つとないこと。無二。ふに。
「この不同―の乾坤けんこんを建立し得るの点に於て」〈漱石草枕
二つに見えるが、実際一つであること。ふに。「善悪不二
十分に意を尽くさないという意で自分文章をへりくだって、手紙末尾に記す語。ふに。
富士山のこと。
[類語](3かしこ敬具敬白謹言拝具草草怱怱頓首不一

ふ‐に【不二】

仏語対立していて二元的に見える事柄も、絶対的な立場から見ると対立がなく一つのものであるということ。
ふじ(不二)

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精選版 日本国語大辞典 「不二」の意味・読み・例文・類語

ふ‐じ【不二】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 二つとないこと。
      1. [初出の実例]「まことに不(フ)二の要道無双の重宝なれども」(出典翁問答(1650)上)
    2. ふに(不二)
      1. [初出の実例]「善悪不二(フジ)といへるとても」(出典:仮名草子・他我身の上(1657)五)
    3. 二つに見えて実は一つであること。ただ一つであること。ふに。
      1. [初出の実例]「その教学は、右に述べたように教えることと学ぶことの不二にして一如なるを意味するつもりであるが」(出典:彼の歩んだ道(1965)〈末川博〉教学十話)
    4. ( 十分に意を尽くさない意 ) 手紙の末尾にしるして自分の文章をへりくだっていう。ふに。
  2. [ 2 ] 富士山のこと。

ふ‐に【不二】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。二つの相対するものが実は二つに区別され、対立するわけではないこと。絶対平等であること。
    1. [初出の実例]「毛鱗角冠〈略〉動物植物、同鑒平等之仏性、忽証不二之大衍」(出典:性霊集‐六(835頃)為式部笠丞願文)
  3. ( 十分に意を尽くさないの意 ) 手紙の末尾に添えて自分の文章をへりくだっていうきまり文句。ふじ

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普及版 字通 「不二」の読み・字形・画数・意味

【不二】ふじ

専一

字通「不」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の不二の言及

【二柳】より

…姓は勝見,名は充茂。別号は桃左,三四坊,不二,七杉堂など。加賀国山中の人。…

【ガウダパーダ】より

…弟子がゴービンダ,そのまた弟子がシャンカラと伝えられている。彼に帰せられる《マーンドゥーキヤ・カーリカーMāṇḍūkya‐Kārikā》(別名《ガウダパーディーヤ・カーリカー》)には,覚醒時に経験する現象界は,夢で経験する世界と同じく虚妄であり,真実は不二advaitaであり,個我とアートマンは不異であると,不二一元論が初めて明らかに述べられている。後の章になるほど仏教的色彩が濃く,特に最終章では,世界は識vijñānaの顕現したものであると,仏教瑜伽行派の〈唯識無境〉〈識の転変〉説に酷似した説が見られる。…

※「不二」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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