コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

ダイナモ理論 だいなもりろん dynamo theory of geomagnetism

5件 の用語解説(ダイナモ理論の意味・用語解説を検索)

知恵蔵2015の解説

ダイナモ理論

地球磁場の原因を説明する最も有力な考え方地球の中心核は導電性のある鉄からなり、外核は溶けて対流しており、その流れが既存の地球磁場と作用し合い、双極子磁場のもとになる電流が誘起される。対流運動が維持される限り地球磁場は維持されるが、最初の地磁気が発生した理由や核内の流れのエネルギー源が、今後の重要な研究課題となっている。スーパーコンピューターを用いて、球殻内で磁気流体力学方程式を解き、双極子磁場の生成やその逆転が再現されつつある。

(斎藤靖二 神奈川県立生命の星・地球博物館館長 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉の解説

ダイナモ‐りろん【ダイナモ理論】

地磁気の原因に関する最も有力な学説。地球の外核をなす鉄などからなる流体の対流運動による発電作用で電流が誘起され、磁場が生じるというもの。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

百科事典マイペディアの解説

ダイナモ理論【ダイナモりろん】

地磁気の原因に関する最も有力な学説。地球の核は導電性をもつ流体で,これが磁場内を流動すると電磁流体力学的な作用で電流と磁場を発生し,そのため核内磁場は減衰せず一定(数百ガウス)に保たれ,それが外部に現れたものが地磁気であるとする。
→関連項目地磁気

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. ご提供する『百科事典マイペディア』は2010年5月に編集・制作したものです

大辞林 第三版の解説

ダイナモりろん【ダイナモ理論】

地球や太陽の磁場の発生機構を説明する理論。中心核にある電導性の流体の運動によって、電磁誘導で定常的な磁場がつくられるとする。この過程が発電機の作用に似ていることからの称。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ダイナモ理論
だいなもりろん
dynamo theory

地球や太陽など天体のもっている磁場が、その天体内部の電気伝導度の高い流体(太陽の場合は電離した気体、地球の場合は核内の流体鉄、木星の場合は高圧のため金属化した水素、など)の運動による電磁流体相互作用によって発生しているとする理論。発電機(ダイナモdynamo)は、強い磁場の中でコイルを回転させ、電磁誘導によってコイル内に発生した起電力を電流として取り出すもので、運動エネルギーを電磁的なエネルギーに変換する仕組みである。発電で得られた電流の一部を磁場をつくるのに用いれば、もともとは磁場がなくても、この発電の操作を継続することができる。このような仕組みを「自己励起的なダイナモ作用」self-exciting dynamo processという。この考えは、イギリスのJ・ラーモアが、太陽の磁場の成因として1919年にその概要を提案したもので、1950年ごろからのアメリカのエルザッサーWalter M. Elsasser(1904―1991)やイギリスのE・C・ブラードによる地磁気成因論への適用などによって大きな発展をみた。
 ダイナモは基本的に三次元の非線形問題であり、簡単な解は存在しない。このため、コンピュータの能力が十分に高くはなかった1960~1970年代にはダイナモ方程式系をそのまま解くことは不可能であった。そこで、さまざまな仮定に基づく単純化を方程式のいくつかの項に施して問題を解きやすくすることが試みられ、ある程度の成功を収めた。速度と磁場の相互作用の一部を磁場に比例する形に書き、その比例定数をアルファで表したことから、これらのモデルはしばしばアルファ効果ダイナモとよばれる。
 しかしコンピュータの能力は着実に増大し、1995年にはアメリカのグラツマイヤーGary A. Glatzmaier(1949― )とロバーツPaul Roberts(1929― )、および日本の陰山聡(あきら)(1965― )と佐藤哲也(1939― )の二組が、ほぼ同時にこうした仮定をまったくおかずにダイナモの方程式の厳密な解を得ることに成功した。その後は各国の多くの研究者によってダイナモのシミュレーションが盛んに行われており、磁場の逆転など地球磁場で観測されているさまざまな現象も、かなりよくシミュレーションから導き出すことができるようになっている。[河野 長]

地球磁場の起源としてのダイナモ

地球内部にコイルや導線があるわけはなく、ダイナモ作用が実現しているのは液体の鉄がある核の中である。したがって、地球磁場の起源としては一様な流体中での電磁相互作用を考えなければならない。核内の流体運動としては、内部ほど速く外部ほど遅く回転する非一様回転と、上部と下部の流体が入れ替わる対流が重要である。前者は双極子型(ポロイダルpoloidalという)磁場を東西方向に引き伸ばして、北半球で東向き、南半球で西向きの球面に沿った(トロイダルtoroidalという)磁場をつくる。この機構で強められた磁場を対流が南北に延ばして、結局もとのポロイダル磁場を再生すると考えられる。このような仕組みに基づく単純化したモデル(キネマティック・ダイナモという)が1950年代から1980年代にかけて多数研究された。これらのモデルは、磁場ができたときに運動に及ぼす反作用を考えていないなど、完全なものとはいえないが、ダイナモの働き方の根本的な点を理解するために役だった。たとえばポロイダル磁場からトロイダル磁場をつくる仕組み(差動回転が重要でオメガ効果という)、逆にトロイダル磁場からポロイダル磁場を再生する仕組み(対流が重要でアルファ効果という)の双方が働かないとダイナモはできないといったことが理解された。とくにアルファ効果には螺旋(らせん)運動(あるいは右ねじ、左ねじの運動)の重要性が示された。[河野 長]

計算機シミュレーション

計算機の能力が大幅に向上した結果、ダイナモの複雑な過程をもとの方程式からほとんど仮定を置かずに直接に解くことが可能になった。こうしたモデルは1995年にまず日本とアメリカの二つのグループから発表され、それ以後も他のグループによって次々にモデルがつくられている。こうしたモデルによって、地球磁場とよく似たふるまいをするシミュレーションを地球の時間にして百万年以上の時間にわたって求めることも可能になった。すでにいくつかのモデルでは、地球の磁場と同様な極性の逆転も報告されている。[河野 長]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典内のダイナモ理論の言及

【古地磁気】より

…地球磁場の反転,あるいは強度変化の観測がなされると同時に,地磁気そのものの原因を究明しようとする試みもなされてきた。地球磁場は地球の核に流れている電流によって発生する,と説明するイギリスのプラードの提唱したダイナモ理論が一般に受け入れられているが,未解決の問題はまだ残されている。岩石磁気【西谷 忠師】。…

【太陽磁場】より

…すなわち,電離した大気で物質は磁力線にくっついて行動すると考えられるので,例えば磁場の卓越したコロナでは明るい流線やアーチはそのまま磁場の形を表している。
[ダイナモ理論]
 太陽活動を太陽磁場の消長として説明しようとする理論である。太陽自転の赤道加速(微分回転)のために対流層内の磁力管は回転方向に引き伸ばされて磁場が強くなる。…

【地磁気】より

… 1600年にW.ギルバートは,球の形をした磁石の磁力線と地磁気がよく似ていることを指摘し,地球自体が巨大な磁石になっていると初めて結論した。現在では,地球が磁石であることは地球の中が高温であることから否定され,後述する磁気ダイナモ理論で説明されているが,地磁気は地球中心に置いた仮想的棒磁石のつくる磁場でよく近似することができる。このような磁石を磁気双極子,そのつくる磁場を双極子磁場と呼んでいる。…

※「ダイナモ理論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

ダイナモ理論の関連キーワード古地磁気学磁気異常自然残留磁気説文地球磁場分子説マントル対流説シュプニコフ‐ドハース効果標準磁場国際標準地球磁場

今日のキーワード

トランスアジア航空

台湾・台北市に本拠を置く航空会社。中国語名は復興航空。1951年、台湾初の民間航空会社として設立。83年に台湾の国産実業グループに経営移管され、組織改編を実施した。92年に国際チャーター便の運航を始め...

続きを読む

コトバンク for iPhone