ダルマ・シャーストラ(読み)だるましゃーすとら(英語表記)Dharmaśāstra

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ダルマ・シャーストラ
だるましゃーすとら
Dharmaśāstra

インドの古法典の呼称。法典は紀元前5世紀ごろから二千数百年間にわたって非常に多く著作され、いずれもバラモンの手によってサンスクリットで書かれ、ヒンドゥー教徒の生活規範、法規範として尊重された。法典に扱われた事項は、宗教的義務、生活規範、王の職務、法律、贖罪(しょくざい)など多岐にわたり、法規定はその一部にすぎないが、重要な部分であって、古典ヒンドゥー法とよばれる。最初期につくられたものはダルマスートラであり、各ベーダ学派所属のバラモンを対象として簡潔な散文で説かれ、そこに王の義務と法規定が加えられた。有名な『マヌ法典』はこれらを集大成し、しかも広範な人々を対象として記憶に適した韻文で書かれ、その規定は飛躍的に詳細となり、法規定は著しく発展した。この法典はバルナ(種姓)制度を完成した形で述べ、バラモンの間で権威を獲得した。そのあとマヌのような太古の聖仙が述べ伝えたとされる法典が次々につくられ、4~7世紀には裁判の準則を意図して法規定だけを記した諸法典が著された。7、8世紀ごろからは、これらの法典に対する注釈書、ついで各項目ごとに諸法典から規定を集めて解説した綱要書が著作されるようになり、11~13世紀にはその絶頂に達し、ベンガルの相続法の権威書『ダーヤバーガ』とデカンで著作された最高の法学書『ミタークシャラー』とが有名である。その後も19世紀初めに至るまで各地方で著作が続けられ、法に関しては訴訟法、相続法、刑法が発展した。

[山崎利男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ダルマ・シャーストラ
Dharma-śāstra

インドの法典。日常の宗教的儀式権利義務民法刑法訴訟などのことを述べ,さらに神話伝説に基づいた宇宙論,未来論にまで及ぶのをとし,通常韻文で書かれている。『マヌ法典』『ヤージニャバルキヤ法典』などが有名。

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