チアゾール(読み)ちあぞーる(英語表記)thiazole

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

チアゾール
ちあぞーる
thiazole

5員環複素環式化合物の一つ。化学式からわかるように環内に硫黄(いおう)と窒素の両原子をもつので、環内にある硫黄を意味する接頭語のチアthia-を窒素を含む5員環化合物の名称アゾールazoleの前につけて命名された。5員環にSとNをもつ複素芳香族化合物には、SとNが隣接している化合物と、一つのCを隔ててSとNがある化合物の2種類の異性体があり、前者をイソチアゾール(1,2-チアゾール)、後者をチアゾール(1,3-チアゾール)という。

 チアゾールはクロロアセトアルデヒドClCH2CHOと、チオホルムアミドHCSNH2との反応により合成される。無色の水より重い液体で、水にかなり溶け、エタノール(エチルアルコール)、エーテルなどの有機溶媒と任意の割合で混じり合う。芳香族性をもつ安定な化合物である。サルファ剤として知られているサルファチアゾール、チアゾールアゾ染料、ビタミンB1などはいずれもチアゾール環をもっている。イソチアゾール骨格をもつ化合物も、生理活性をもち医薬などとして使われている。

[廣田 穰]

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化学辞典 第2版の解説

チアゾール
チアゾール
thiazole

C3H3NS(85.13).N原子1個とS原子1個を含む複素五員環式化合物.とくに1,3-チアゾールをいう.クロロアセトアルデヒドとチオホルムアミドから得られる.無色のピリジンに似た臭いの吸湿性液体.沸点117 ℃.1.1998.1.5375.水に微溶,有機溶媒に可溶.2位の水素は活性であり,2-置換チアゾールを容易につくる.また,無機酸,塩化水銀(Ⅱ)と安定な錯体を形成する.誘導体は,加硫促進剤,殺菌剤,駆虫剤,医薬品などに用いられる.[CAS 288-47-1]

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百科事典マイペディアの解説

チアゾール

芳香族複素環化合物(5員環でNとSを含む)でピリジン臭をもつ無色揮発性の液体。沸点115〜118℃。水に可溶。クロルアセトアルデヒドとチオホルムアミドを縮合させて得られる。誘導体には染料医薬として重要なものが多い。(図)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

チアゾール
thiazole

化学式 C3H3NS 。硫黄原子と窒素原子を1,3位にもつ複素環式化合物。無色でピリジン臭のある液体。沸点 117℃。吸湿性,多くの有機溶媒に可溶。その誘導体は医薬,染料などに用いられる。ビタミン B1 もこの構造をもっている。

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世界大百科事典 第2版の解説

チアゾール【thiazole】

芳香族複素環化合物の一つ。ピリジンに似た悪臭をもつ,無色ないし淡黄色の液体。沸点115~118℃。水にわずかに溶け,ほとんどの有機溶媒によく溶ける。チオホルムアミドHCSNH2とクロロアセトアルデヒドClCH2CHOの縮合で合成する。チアゾール自体には実用的価値はないが,その誘導体には,染料,医薬(ビタミンB1サルファ剤),工業薬品(加硫剤)など重要なものが多い。【竹内 敬人】

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