改訂新版 世界大百科事典 「チヂミザサ」の意味・わかりやすい解説
チヂミザサ
Oplismenus undulatifolius(Arduino) Roem.et Schult.
林の下や縁の半陰地にやや普通にみられるイネ科の多年草。茎は細く長く,その下部は走出枝状に長く横にはい,まばらに枝分れし,上部と枝は立ち上がって高さ10~30cmになる。葉は狭卵形または広披針形で,長さは3~7cm,幅は1~1.5cm,先はとがり,質は薄く,鮮緑色である。夏から秋にかけて,茎の頂に長さ10cm内外の細い花序を出し,花序の中軸の5~9節に小穂が密集してつく。小穂は緑色の卵形で,長さは約3mm,短い毛があり,2個の苞穎(ほうえい)の先に長い芒(のぎ)が出る。小花は2個で,下の小花は雄性で,芒があり,上の小花はやや革質で光沢があり,芒はなく,果実を生ずる。ユーラシア大陸の温帯,亜熱帯に広く分布し,日本全土に見られる。変異が多く,葉,葉鞘(ようしよう)と花序の軸に毛のあるものが基本変種で,これをケチヂミザサという。チャボチヂミザサは全体に小型で,毛の少ない型である。
園芸界でニシキザサまたはパニカムpanicumと呼ばれているものは,南北アメリカに分布するチヂミザサの近似種O.hirtellus (L.) P.Beauv.の斑入葉型で,小穂が球状に集まらず,長さ1~3cmの短い側枝の上につく。
執筆者:小山 鐵夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報