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トウゾクカモメ Stercorarius pomarinus; pomarine skua

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

トウゾクカモメ
Stercorarius pomarinus; pomarine skua

チドリ目トウゾクカモメ科。全長 65~78cm(中央の長い尾羽を含む)。体形はカモメに似ているが,尾羽は中央の 2枚がほかより長くて先がふくらみ,特殊な形をしている。頭と背面は黒褐色で下面は白い。頸は黄色。胸に黒帯がある。全身がほとんど暗褐色の黒色型もある。ユーラシア大陸と北アメリカ北部の北極圏ツンドラ地帯や島嶼で繁殖する。非繁殖期は赤道を越えて南半球まで移動する鳥もいる。日本では春と秋に旅鳥(→渡り鳥)として近海を通過するものが多い。や爪は猛禽類のように鋭く,すばやい動きで魚のほか鳥やネズミなどを捕食する。ミズナギドリ,カモメ,アジサシなどの群れのなかに入り,それらの鳥を襲って,食べた餌を吐き出させて奪う習性もあり,和名の由来となっている。日本ではほかに近縁のオオトウゾクカモメクロトウゾクカモメ S. parasiticus,シロハラトウゾクカモメ S. longicaudus が観察され,形態も習性も似ている。

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百科事典マイペディアの解説

トウゾクカモメ

トウゾクカモメ科の鳥。翼長35cm。腹面や頸(くび)が白い淡色型,全身暗褐色の暗色型とがある。ユーラシア大陸および北米の極北部で繁殖し,冬は南へ渡る。日本では旅鳥として4〜5月ころ,北海道,本州北部の太平洋沖合にみられるが,陸地に近づくことはまれ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

トウゾクカモメ
とうぞくかもめ / 盗賊鴎
skuajaeger

広義には鳥綱チドリ目トウゾクカモメ科に属する海鳥の総称で、狭義にはそのうちの一種をさす。この科Stercorariidaeの仲間は、全長45~65センチメートル、外形はカモメ類に似るが、初列風切(かざきり)の基部が白く、繁殖羽では中央尾羽が長く伸びる種があることなどが異なる。飛翔(ひしょう)性のグループで、ほかのカモメ・アジサシ類を追い襲って、餌(えさ)を吐き出させ、それを空中で受け止めて横取りする習性をもつことから、この名がつけられた。
 世界に5種いて、すべて極地とその周辺で繁殖する。最大種はオオトウゾクカモメStercorarius skuaで、北極に近いアイスランド、イギリス北部で繁殖し、南極周辺の島でも多数繁殖する。南極大陸で営巣する種ナンキョクオオトウゾクカモメS. maccormickiは、夏季、北太平洋に渡ってくる。残る3種は北極ツンドラ湿原や沿岸で繁殖し、それぞれに特徴のある中央尾羽をもつ。繁殖後、大陸沿岸沖合いを南に移動する長距離の渡りをし、南半球で越冬する。種のトウゾクカモメS. pomarinusとシロハラトウゾクカモメS. longicaudusは内陸ツンドラで繁殖し、小形の哺乳(ほにゅう)類をとらえて食べる。タビネズミが大発生するとそこに集まって繁殖する。クロトウゾクカモメS. parasiticusは海岸や沖に出て採食し、内陸湿地には入らない。自らも魚類をとらえるが、アジサシ類などから餌を横取りすることが多い。海上では群れることはなく、一羽ずつ分散して生活し、横取りするとき競争になるのを避けて、食物寄生の効率を高めている。これらトウゾクカモメ類には、胸から腹が白い淡色型と、全身が黒褐色の暗色型とがある。この羽色の多型現象は遺伝的で、中間型もみられる。しかし、似た羽色のものどうしがつがいになる傾向がある。その生態的な意味はよくわかっていないが、捕食、略奪の採餌(さいじ)法と関係していると考えられる。トウゾクカモメ類は、日本ではおもに春と秋の渡りのときに太平洋岸沖でみられる。[長谷川博]

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