トピアリー(その他表記)topiary

翻訳|topiary

デジタル大辞泉 「トピアリー」の意味・読み・例文・類語

トピアリー(topiary)

人工樹形の一種樹枝動物・星・円錐などの形態に刈り込む人工的整姿法のこと。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トピアリー」の意味・わかりやすい解説

トピアリー
topiary

樹木を刈り込んで,立体的に仕立てた造形物の総称。原義は「装飾庭園」「装飾的な刈り込み」。古代ローマ皇帝アウグスツスの友人が考案したといわれ,その後ヨーロッパで普及した。樹形としては,幾何学形,動物形,鳥形,器物形(扇,王冠など),乗り物形(舟など),抽象形などが見られる。日本庭園では,乗り物形の例として,足利義満の乗った軍船を模して帆かけ舟の形にゴヨウマツ(→ヒメコマツ)を刈り込んだ鹿苑寺の「陸舟の松」があり,昔から鶴亀や宝船など縁起物がよくつくられてきた。西洋庭園としては,イギリスのレベンス・ホールやシンガポール植物園のトピアリーガーデンが有名で,樹木を装飾的に仕立てたものが多い。刈り込みに耐えられるように比較的葉が細く,病害虫に強く,四季を通じて観賞できる常緑樹が適しているため,日本ではイヌツゲ,マメツゲイチイ,欧米ではイチイ,ツゲがよく用いられる。短期間に完成させるには,成長の早いつる性のヘデラ(ウコギ科ヘデラ属,別名アイビー),オオイタビイタビカズラ(ともにクワ科イチジク属)が重宝されている。乾燥したコケで覆うモストピアリー,ミズゴケを詰めてつる性植物をはわせるスタッフドトピアリーなど,金網針金フレームを使った技術が開発され,一般の家庭でも楽しまれるようになった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トピアリー」の意味・わかりやすい解説

トピアリー
とぴありー
topiary

園芸用語。庭木を彫刻的に仕立てたもの。装飾刈り込みともいう。細かい葉や小枝の多い樹種を刈り込んで、人や動物、各種の幾何学的図形などの形に仕立てる。庭の装飾物として観賞する。ヨーロッパでは古代ローマ時代から行われ、刈り込みを行う庭師をトピアリウスtopiarius、その技術をオプストピアリーopustopiariiとよんだ。こうした装飾刈り込みが普及したのは、16世紀前半に整形式庭園が紹介されてからで、とくにイギリスにおいて急速に発達した。わが国での装飾刈り込みとしては文化(ぶんか)年間(1804~18)ごろに江戸・小石川の寺でゴヨウマツ、ヒムロシンパクなどの樹種で、動物や灯籠(とうろう)をおもにつくっていた。樹種としては、常緑性で葉が細かくて多く、小枝で芽吹きのよいものが適している。日本ではキャラ、イチイ、イヌツゲ(ツゲ)、西洋ではビャクシン類、ツゲ、セイヨウイチイなどが主として用いられる。

[堀 保男]

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「トピアリー」の解説

トピアリー【topiary】

樹木の枝や葉を刈り込み、動物や人、幾何学的な図形などの形に仕上げるもの。西洋庭園、特にイギリス風の庭園に多く見られる。

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世界大百科事典(旧版)内のトピアリーの言及

【園芸】より

…果実を収穫し,木陰をたのしむという実利性以上に,自分の小世界をもつという象徴的なたのしみがあったのであろう。古代ローマの貴族も同様であったが,すでに接木の技術も発達し,また特定の木を人や動物や各種の図形に刈り込むトピアリーtopiaryも盛んになった。こうなると園芸はまさしく〈芸(アート)〉であり,その洗練を賞賛することもできるが,その人工性を非難することもできる。…

※「トピアリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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