日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリクロロ酢酸」の意味・わかりやすい解説
トリクロロ酢酸
とりくろろさくさん
trichloroacetic acid
脂肪族ハロゲンカルボン酸の一つ。略称TCA。わずかに特異臭をもつ潮解性無色固体。クロラールを硝酸により酸化するか、光を当てながら塩素により酢酸を塩素化するかして合成する。水、エタノール(エチルアルコール)、エーテルに溶ける。溶液状態での酸としての強さは、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸の順となり、有機酸としては強酸で、腐食性がある。熱水、希アルカリによりクロロホルムと二酸化炭素に分解される。腐食剤、角質溶解剤(たこ、いぼ取り)、タンパク質沈殿剤、生体内タンパク・脂質の分画剤などに用いられる。
[谷利陸平]