トルコギキョウ(英語表記)Eustoma russellianum (Hook.) Griseb.(=Lisianthus russellianus Hook.)

改訂新版 世界大百科事典 「トルコギキョウ」の意味・わかりやすい解説

トルコギキョウ
Eustoma russellianum (Hook.) Griseb.(=Lisianthus russellianus Hook.)

切花や鉢植えに近年需要の多いリンドウ科多年草。草丈は30~60cm,茎は直立し,広卵形平滑な葉を対生し,夏季に上部でまばらに分枝し,径6~8cmの花をつける。つぼみはねじれるが,開けば5深裂した杯状の花となり,弁底に褐紫色の斑紋がある。めしべ柱頭は2裂している。原種の花色は淡紫色であるが,改良種はピンク,青紫色,白など。夏の切花として水揚げもよく,長野県下ではハウスでの切花栽培が多い。原産地は北アメリカのネブラスカ州からテキサス州に至る山地和名は産地からも植物分類からも適切ではない。種子は細かいので,ピートモスまたは水苔をならしてまく。冬はハウスやフレームで育苗し,春に植えかえれば夏に開花する。発芽には1ヵ月を要し,さらに発育しはじめるのに1ヵ月はかかる。宿根性はあるが,ふつう一年草として栽培する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トルコギキョウ」の意味・わかりやすい解説

トルコギキョウ
とるこぎきょう
[学] Eustoma grandiflorum (Raf.) Shinners
Eustoma russellianum Griseb.

リンドウ科(APG分類:リンドウ科)の半耐冬性一年草または多年草。古い分類属名からリシアンサスLisianthusともいう。北アメリカ原産で、和名のトルコとは関係なく、キキョウの仲間でもない。茎は細く直立し、高さ約60センチメートル。葉は長楕円(ちょうだえん)形、平滑でろう質を帯び、灰緑色を呈する。茎の頂部に大きな杯状の淡紫色花を開く。花弁の基部に濃色の斑(ふ)がある。園芸種には濃紫、桃、白色花などがあり、夏の高温下でも切り花の水揚げがよいので、近年は夏に多く利用する。普通、秋にビニルハウス下で播種(はしゅ)するが、種子はきわめて微粒で苗を育てるのに技術を要するため、一般家庭での栽培にはやや不向きである。

[伊藤秋夫 2021年5月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トルコギキョウ」の意味・わかりやすい解説

トルコギキョウ
Eustoma grandiflorum; prairie gentian

リンドウ科の一,二年草で,北アメリカに自生する。和名に反してトルコにもキキョウにも関係はない。属名のエウストマ (ユーストマ) や,旧属名のリシアンサス Lisianthusの名で呼ばれることもある。特に切り花として人気が高く,矮性品種は鉢植えでも流通する。全草が灰緑色で,細い茎が直立,草丈は 30~90cmになる。卵形または長楕円形の葉は互生し,平滑でろう質を帯びる。茎頂につく花は直径5~6cm。花冠は鐘状で5裂する。原種は本来,淡紫色であるが,育種によって桃色,白色,淡黄色,複色,八重咲き,半八重咲きなど多くの品種が生れている。水はけのよいひなたを好む。過湿になると立枯病が出やすくなるので注意する。

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百科事典マイペディア 「トルコギキョウ」の意味・わかりやすい解説

トルコギキョウ

園芸界では旧学名に基づいてときにリシアンサスとも呼ばれる。北米原産のリンドウ科の一〜二年草。切花,花壇用に向く。高さ30〜60cmに直立し,灰緑色,長楕円〜卵形の葉を対生。野生種の花は淡紫色であるが,園芸品種にはピンク,白,覆輪もある。径5〜6cmのほぼ鐘形で,夏に咲く。園芸的改良は主に日本で行われ,八重咲や半八重咲,あるいは受咲性のものもあり,草たけも高性〜矮(わい)性まである。実生(みしょう)でふやし,小苗の越冬は霜よけが必要。

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事典 日本の地域ブランド・名産品 「トルコギキョウ」の解説

トルコギキョウ[花卉類]
とるこぎきょう

北陸甲信越地方、長野県の地域ブランド。
主に長野・諏訪・上伊那地域で生産されている。長野県内では昭和20年代に長野地域で栽培が始まった。現在、長野県のトルコギキョウ生産量は全国トップクラス。

トルコギキョウ[花卉類]
とるこぎきょう

九州・沖縄地方、大分県の地域ブランド。
主に杵築市・佐伯市・津久見市などで生産されている。トルコギキョウは品種が豊富。結婚式のブーケや観賞用などとして利用されている。

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