オランダのインドネシア経済の研究者。牧師の子としてウォルメルフェールに生まれ,最初アムステルダム大学でオランダ文学を学んだが,のちに政治学に転じ,1909年に卒業した。翌年ライデン大学でファン・フォレンホーフェンの指導の下に学位を取得し,インドネシアに渡って教育局に勤務したのち,政府の信用金庫に14年間勤めた。24-28年,バタビア法律学校(インドネシア大学法学部の前身)で経済学を教え,29年ライデン大学に熱帯植民地経済学の講座が新設されると,教授に迎えられた。第2次大戦中オランダがドイツに占領されて,大学は閉鎖され,彼自身も抑留されたが,戦後復帰して54年まで教授の職にあった。植民地における伝統的経済機構と,宗主国が導入した近代的経済機構との格差に注目し,〈二重経済〉論を唱えたことで知られ,主著《二重社会の経済学と経済政策》は今なお読まれる。
執筆者:永積 昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
花束のこと。生花や造花でつくった贈り物用あるいはアクセサリー用の花束。花束風の房飾り。紀元前600年ごろ古代ギリシアでは神々を象徴する花を定め、祭礼のときには神の像の頭上に、その花でつくった花輪の冠をのせた。ローマ時代は宗教的儀式や祭りに多く用いられ、ビザンティン世界、ルネッサンス、バロック、ロココ時代へと、社会背景とともに、色彩、デザインも発展した。ブーケのスタイルには、キャスケード(滝形)、ラウンド(丸形)、クレッセント(三日月形)、バスケット(籠(かご)形)、パラソル(日傘形)、ファン(扇形)、ボール(球形)、リボン(蝶(ちょう)結び形)、リング(輪形)スタイルなどがある。また、女性が胸につける小さいものをコサージュcorsageと称し、区別している。
[市川久美子]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…フラワー・デザインflower designともいい,近年使われるようになった言葉である。古くはブーケ・アートbouquet artなどと呼ばれていた。これらは日本古来のいけばなに対し〈西洋風いけばな〉として区別して扱われている。…
…しかしこの複層性をめぐる分析視角は,以下のように変化してきた。(1)二重社会論 植民地社会においては,伝統的部門が農村部にほぼそのまま残存し,沿岸都市部の近代的部門はそれとは断絶して併存しているという考え方で,最初J.H.ブーケによって提唱された。そこからは,伝統的経済をひとしく封建制とみなしてその残存を低開発の主要因と考え,ウェスタン・インパクトの農村部への伝播こそが発展を生みだすとする〈近代化〉論的開発政策が導きだされた。…
…非西欧経済が近代部門と非近代部門という二つの異質な部分から構成されていることを示すために用いられる言葉。二重経済論を最初に提唱したのはブーケJulius H.Boekeである。彼は,輸入された西欧資本主義が農業社会に浸透しながらも,後者の制度を破壊せずにいるところに二重経済を見いだした。…
※「ブーケ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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