翻訳|drill
工作物に穴をあけるために用いられる切削工具。錐(きり)と同義であるが,錐という場合には木工用の大工道具を指すことが多い。正確かつ能率よく穴を加工するため,ドリルは特殊な形状をしているが,穴の底で削り出された切りくずが容易に排出されるように,ドリル本体に2本のねじれみぞを設けたツイストドリル(ねじれ錐)がもっとも一般的である。ドリルの先端は,ほぼ円錐状に作られ,ねじれみぞと円錐面との交線が2個の主切刃となり,中心部には短いチゼル切刃が形成される。主切刃の交差角は90~120度であり,工作物の材質によって変化させる。みぞのねじれ角は20~30度で,みぞの縁に沿って狭い帯状の部分(マージン)を残してある。この部分はすでに加工された穴の内面と接触し,ドリルがまっすぐに進む案内の役目を果たす。マージン以外の部分は少し細くして摩擦を少なくするが,さらに,ドリルの先端から遠ざかるにつれて外径を100mmにつき0.05~0.1mm程度細くする。これをバックテーパーという。したがって,ドリル先端の切刃の研ぎ直しを繰り返すと,ドリルで加工した穴はやや小さくなる。なお研ぎ直しをする場合,円錐面に12~15度の逃げ角をつける必要があるので,熟練した技能者でなければ手研ぎは困難であり,専用のドリル研削盤を使用することが多い。ドリルを保持するシャンクの部分は小径ドリルではまっすぐなストレートシャンクとし,ドリルチャックにくわえて使用する。大径ドリルではテーパーをつけ,ボール盤の主軸端のテーパー穴に直接か,またはスリーブやソケットの補助具を用いて取り付ける。ドリルの材料は高速度鋼がふつうであるが,切刃に超硬合金のチップを鑞付けしたものもある。ドリルには用途に応じて種々のものがあり,平錐は細穴用,すぐみぞドリルは軟質金属板用,深穴ドリルは銃身のように特別に深い穴をあけるのに用いられる。またセンタードリルは,旋盤や研削盤で,主軸と心押台の両センター間に工作物を支持する場合に,工作物にセンター穴をあけるのに用いられる。
→錐
執筆者:中野 嘉邦
霊長目オナガザル科ヒヒ属の旧世界ザル。ドリルとマンドリルは,顔面に独特の隆起があることや尾がきわめて短いことなどから他のヒヒ類とは区別される。ドリルとマンドリルは,アフリカのカメルーンからガボンにかけて広がる熱帯多雨林の西側一帯に分布しているが,カメルーン中央部を東西に流れるサナガ川をはさんでその北側にドリルが,南側にはマンドリルが生息している。マンドリルとの形態上の違いはおもに毛や皮膚の色で,とくにマンドリルが極彩色の奇怪な顔面をもつのに対して,ドリルは顔全体が真っ黒であり,体毛も褐色の単調な色彩である。森林に生息しているが,1日のほとんどの時間を地上で過ごす。果実食を中心に,花や葉などの植物性のもののほか,昆虫やクモなども食べる。頑健で耐寒性もあり飼育が容易であることから,動物園ではよく見かけるサルであるが,自然の生態や社会については,まだほとんど知られていない。
執筆者:北村 光二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
工作物に穴をあけるための工具で、主としてボール盤に取り付けて使用される。ドリルを用いた穴あけ作業は、切削加工のなかでも占める割合が大きく約3割にも及ぶといわれている。
ドリルのなかでもっとも広く用いられているのはツイストドリル(ねじれ錐(ぎり))であるが、このほかにフラットドリル(平錐)、センター穴ドリル、ガンドリルなどがある。ツイストドリルは切刃をもつ本体とつかみしろとなるシャンク部からなり、シャンクにはテーパーのついたテーパーシャンクと円筒形状のストレートシャンクの2種がある。フラットドリルは古くから使用されていたが、すくい角をつけにくい、正確な穴を加工しにくい、切屑(くず)の排出がめんどうであるという理由で、あまり用いられなくなっている。センター穴ドリルは、工作物を各種工作機械のセンターで支持するときに必要なセンター穴の加工や、大径ドリルの食い付きをよくするための下穴の加工などに用いられる。ガンドリルは穴径の20倍以上の深穴を加工するときに用いられる。このほかに特殊ドリルとしてコアドリル、ドリルリーマ、段付きドリル、皿取りドリル、ジグボーラ用ドリル、ラチェットドリル、シェルドリル、三角ドリル、油穴付きドリル、BTA(Boring and Trepanning Associationの略で、この協会で開発された)工具など各種形状のものがある。
ドリルの材質としては高速度鋼が多用されているが、刃先を超硬合金製として交換式にしたものもある。
[清水伸二]
哺乳(ほにゅう)綱霊長目オナガザル科の動物。ヒヒ属のなかではまれな森林性の種で、カメルーン、ガボン、コンゴの熱帯多雨林に分布する。体毛は暗褐色で、顔の周囲の毛は白い。雄の無毛の顔はつやのある鉄色で、臀部(でんぶ)の性皮と下顎(かがく)は鮮やかな紅色を呈す。体長は雄で70センチメートル。性差が大きく、雌は小形である。尾は短く12センチメートル。地上性の傾向が強く、林床で過ごす時間が長いが、休眠は樹上で行う。食性は雑食性で、小動物も好む。群れは10~50頭の複雄群といわれるが、その社会構造などは明らかにされていない。マンドリルP. sphinxとは近縁で、両種をヒヒ属から独立させ、マンドリル属Mandrillusとする考え方もある。
[川中健二]
技能を定着させたり、その正確性、速さを高めたりするための反復練習のこと。ただし、運動的技能に対してではなく、漢字の読み書き、数の計算などの知的技能に対して使われることが多い。
ドリルの学習における位置づけは時代によって大きく変化してきたが、今日では、技能が、知識・理解、考え方、関心・態度とともに、目標の一分野を占め、技能の定着などのためにドリルは必要不可欠なものであるとされており、その位置、役割が安定してきた。ドリルを効果的に行うには、子供の十分な理解に基づくこと、系統的・計画的に行うこと、目的意識をもたせ、進歩がわかるようにしてやること、などがたいせつである。
[中原忠男]
わが国で、雲斎織という組織に同じものである。経緯(たてよこ)糸に18番手(綿番手)以下の糸を使い、綾織(あやおり)(2―1、3―1など)にした織物。用途に応じて、カーキ染めなどの無地染めにする。織物重量は中級から重目(おもめ)の綾織にした綿織物で、細綾ドリル、太綾ドリルなどの区別があるが、現在では化合繊維、あるいは綿との混紡糸を使用したものがみられる。古くは足袋(たび)底にしていたが、現在では一般に広い用途をもち、運動服、作業服、靴裏地、工業用織物など、じょうぶで強度を必要とするものに使われる。
[角山幸洋]
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…広い面積への播種にはヘリコプターや飛行機による航空播種が行われる。条播機はドリルdrillとも呼ばれ,その構造は,種子を入れるホッパー,種子を送り出す繰出し装置,種子を地上まで誘導する種子導管,地上に一定の深さの溝を切る溝切り器,溝に落ちた種子にかぶせる覆土器,その上を押さえる鎮圧輪などよりなり,一連の作業工程を行う機械である。一定量の種子を正確に地面に配置するためには繰出し装置の精度を高める必要があり,さまざまのくふうがなされている。…
…広い面積への播種にはヘリコプターや飛行機による航空播種が行われる。条播機はドリルdrillとも呼ばれ,その構造は,種子を入れるホッパー,種子を送り出す繰出し装置,種子を地上まで誘導する種子導管,地上に一定の深さの溝を切る溝切り器,溝に落ちた種子にかぶせる覆土器,その上を押さえる鎮圧輪などよりなり,一連の作業工程を行う機械である。一定量の種子を正確に地面に配置するためには繰出し装置の精度を高める必要があり,さまざまのくふうがなされている。…
…工作物に穴をあけるために用いられる切削工具。錐(きり)と同義であるが,錐という場合には木工用の大工道具を指すことが多い。正確かつ能率よく穴を加工するため,ドリルは特殊な形状をしているが,穴の底で削り出された切りくずが容易に排出されるように,ドリル本体に2本のねじれみぞを設けたツイストドリル(ねじれ錐)がもっとも一般的である(図1)。ドリルの先端は,ほぼ円錐状に作られ,ねじれみぞと円錐面との交線が2個の主切刃となり,中心部には短いチゼル切刃が形成される。…
…バブーンともいう。エチオピア,ソマリアからアラビア半島にかけてのサバンナに生息するマントヒヒ(イラスト),マントヒヒよりもさらに高地の,エチオピア高原の荒地に生息するゲラダヒヒ(イラスト),コンゴ民主共和国西部からナイジェリアにかけての熱帯降雨林に生息するマンドリル(イラスト)およびドリル(イラスト),サハラ以南の広大な地域に生息するサバンナヒヒの4群に大別される。このうち,サバンナヒヒはキイロヒヒ,ギニアヒヒ,チャクマヒヒ,ドグエラヒヒの4亜種からなるが,これらを独立した4種として扱う場合もある。…
※「ドリル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
働き手が自分の働きたい時間に合わせて短時間・単発の仕事に就くこと。「スポットワーク」とも呼ばれる。単発の仕事を請け負う働き方「ギグワーク」のうち、雇用契約を結んで働く形態を指す場合が多い。働き手と企...
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