(読み)きり

精選版 日本国語大辞典「錐」の解説

きり【錐】

〘名〙
① 小をあけるのに用いる工具。普通、先の鋭くとがった鉄製の棒で木のにつけてある。
※正倉院文書‐(年月日未詳)(奈良)供養料雑物進上啓「一 納物〈略〉小刀一柄、吉利一柄」
※宇治拾遺(1221頃)一二「一尺許りの矢に、きりのやうなる矢じりをすげて」
② 「きりあな(錐穴)①」の略。
を射て、前に射当てた的の穴へ、後の矢を当てること。「きりを入る」
※黄表紙・鸚鵡返文武二道(1789)「あたりーやうきゅうならきりといふはだ」

すい【錐】

〘名〙
① きり。〔史記‐平原君伝〕
② 数学で、平面上の曲線の各点と平面外の一定点とを結ぶ直線によって作られる立体図形。錐面など。
③ 数学で、平面上の図形の各点と平面外の一定点とを結ぶ線分で作られる立体図形。錐体など。〔工学字彙(1886)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「錐」の解説


きり

物に穴をあける工具。石器時代には石錐でじょうご形に穿孔したものが多いが,鳥骨篠竹などの管状器具を回転させ,などを媒材とする方法もあったらしい。回転を与えるには,直接手で回したり,もんだりする方法と,弓を使う舞鑽法とがある。日本で金属製の錐を使うようになるのは弥生時代以後と考えられる。

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家とインテリアの用語がわかる辞典「錐」の解説

きり【錐】

などに穴を開けるための工具。細く先端のとがった鉄棒に柄がついており、比較的小さな穴を開ける際に使用する。突くだけの突ききり、柄をもむようにして回転させるもみきり、1方向に回転させる回転きりなど。

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百科事典マイペディア「錐」の解説

錐【きり】

木工具の一つ。小さい穴をあける四つ目錐,深穴もみに使用される三つ目錐,外周の定まった丸穴をあける壺(つぼ)錐,硬材・竹用などの鼠(ねずみ)歯錐などがある。→ドリル(工具)
→関連項目木工具

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デジタル大辞泉「錐」の解説

きり【×錐】

板材などに穴をあける工具。三つ目錐・四つ目錐・壺錐つぼぎりなどがある。
弓を射て、前の矢の当たった的の穴に、後の矢が当たること。
[類語]千枚通しドリル

すい【錐】[漢字項目]

人名用漢字] [音]スイ(呉)(漢) [訓]きり
工具の一。きり。「錐状立錐
先端がとがった形の立体。「錐体円錐角錐三角錐

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世界大百科事典 第2版「錐」の解説

きり【錐】

穿孔用の道具。左右両方向に交互に回すもの,1方向のみに回すもの,突き引く動作を反復するものの3種類がある。両方向回転の錐では,古代エジプト,ローマ,現代の中国,インド,西アジア,北アメリカ北部(エスキモー)におけるように弓錐(ボウ・ドリル)が一般的で,日本のように素手で回す舞錐は世界的にも珍しい。1方向回転の錐はヨーロッパで中世に登場した。コの字形に張り出した柄を右手で回し,柄頭の軸受左手で支える構造の曲り柄錐(ブレース・アンド・ビット)で,現在も欧米の錐を代表する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)「錐」の解説


きり

工具の一種。木材、竹、金属、石などに、細く小さい穴をあけるための道具で、おもに釘穴(くぎあな)をあけるのに使用される。工具としては古いものに属し、大まかな構造は、刃先と、刃先に回転運動を与える柄(え)からなっている。回転運動を与える方法は、柄を直接手のひらで揉(も)む方法と、他の機構を利用するものの二つに大別することができる。また、両手をこすり合わせて柄を双方向に回転させる方法とハンドル錐やボールト錐のような一方向のみに回転させる方法といった回転の違いでも区別することができる。日本の錐の主流は長らく手揉み錐であったが、ボルトを通すような深く大きな穴をあけるために、明治以降ハンドル錐やボールト錐も広く普及していった。

 錐の種類には、四つ目錐・三つ目錐・三又(みつまた)錐・壺(つぼ)錐・もじりなどがある。四つ目錐は四方錐ともよばれ、刃の先端が四角で、釘を打ち込む穴をあけるのに使われるが、木釘や竹釘の穴あけにも使われる。三つ目錐は刃の先端が三角形になっていて、釘を打ち込む穴あけ用にもっとも使われている錐である。三又錐は刃の先端が3本に分かれ、中央に高い刃をもつ錐で、釘の頭を隠すための穴をあけるのに使われる。壺錐はねじ錠を取り付けるときや埋木(うめき)をするときなど、円筒状の穴あけに使用される。もじりは柄のない四つ目錐の大きな形のもので、頭部に水平方向の回転柄がつく。四つ目錐や三つ目錐の穴をさらに大きくするために使われたが、ハンドル錐などのねじ式の錐が普及して使われなくなった。

[赤尾建蔵 2021年7月16日]


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世界大百科事典内のの言及

【ドリル】より

…工作物に穴をあけるために用いられる切削工具。錐(きり)と同義であるが,錐という場合には木工用の大工道具を指すことが多い。正確かつ能率よく穴を加工するため,ドリルは特殊な形状をしているが,穴の底で削り出された切りくずが容易に排出されるように,ドリル本体に2本のねじれみぞを設けたツイストドリル(ねじれ錐)がもっとも一般的である(図1)。…

※「錐」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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