ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナベヅル」の意味・わかりやすい解説
ナベヅル
Grus monacha; hooded crane
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鳥綱ツル目ツル科の鳥。全長約105センチメートル、タンチョウやマナヅルより一回り小さい。体はスレート灰色で、頭と上頸(じょうけい)は白く、頭上は皮膚が裸出して赤い。額は黒い。雌雄は同色、幼鳥は褐色に富んでいる。シベリア東部の湿原で繁殖し、日本、朝鮮半島、中国東部で越冬する。このうち日本は主要な越冬地で、鹿児島県出水市(いずみし)および山口県周南(しゅうなん)市八代(やしろ)に毎年渡来する。その数は出水市で1万0855羽(2000年)である。八代は1940年(昭和15)には355羽が飛来、1975年ころまでは100羽を超えていたが、年々減少して約20羽となり、保護策が講じられている。越冬地では主として水田や湿地にすみ、小魚、タニシ、水生昆虫などの動物食と穀物や柔らかい根などの植物食の両方をとっている。繁殖は最近まで不明であったが、1974年に初めて巣が発見された。その巣は湿地近くの地面が平らになった所にあった。しかし、繁殖生態についてはまだ知られていないことが多い。
[森岡弘之]
ツル目ツル科の鳥。全長約1m。雄は雌よりわずかに大きい。体は石板灰色で,頭頸(とうけい)部は白く,頭頂は赤い皮膚が裸出する。額は黒い。くちばしは黄色ないし暗黄色,脚は黒い。シベリア南東部で繁殖し,中国東部,朝鮮半島,日本で越冬する。しかし,最近は中国および朝鮮半島で越冬するものはほとんどなく,日本がこの種の主要な越冬地となっている。鹿児島県出水(いずみ)市荒崎とその周辺の農耕地帯には毎冬約6000羽のナベヅルが渡来し越冬する。また山口県周南市の旧熊毛町にも約20羽が渡来する。越冬地では一般に100羽以上の大きな群れとなり,水田や湿地や畑で穀物や水草の根などを食べている。ときには小魚,タニシ,カエルなども捕食する。夜間は安全な場所を選び,地上で休む。ナベヅルは森林に囲まれた湿地で繁殖し,長い間繁殖生態がわかっていなかったが,最近になって巣が発見された。
→ツル
執筆者:森岡 弘之
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(2016-3-16)
…【荒俣 宏】。。…
…熱帯や南半球のものは留鳥だが,北半球の高緯度地方で繁殖する種は,冬季南へ渡って越冬する。日本では,タンチョウ(イラスト)が北海道に留鳥としてすみ,マナヅル(イラスト),ナベヅル(イラスト),クロヅル,カナダヅル(イラスト),アネハヅル,ソデグロヅルの6種が冬鳥または迷鳥として渡来している。 全長70~150cm。…
※「ナベヅル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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